The Dragon Scroll

Be just and fear not.

一緒に仕事をする人と、いい仕事がしたい。だから、社内勉強会を開催する。

3月25日に、DevLOVEイベント社内勉強会のつくり方をTIS竹芝ビルで開催しました。
テーマが、"(社内)勉強会"だったからでしょうか。たくさんの方にご参加頂きました。
参加者のみなさん、事例発表をお願いしたみなさん、ありがとうございました。


イベントの構成ですが、前半1時間は、社内勉強会の事例発表の部としました。
さまざまなケースが聞けるように、発表者の方を選出させて頂きました。
私自身は、当日の運営でこまごまとやることがあり、発表の方は、あまり聞くことが
できませんでした。残念です。後日、公開資料を鑑賞しました。
後半1時間は、事例発表を踏まえ、参加者同士でテーマを深堀りする時間として
ワールドカフェを行いました。
こちらは少しだけ参加しましたが、会話をする時間というのは良いですね。
参加した人の声も聴きたいですから。
ワールドカフェの司会進行は、id:gaoryuさんがが仕切ったわけですが、これが素晴らしかった。
最初の、アイスブレイクは、空気が変わりました。


ところで、事前準備はともかく、当日の運営でこまごま時間をとられて、本編の内容をリアルに
聞けないというのは、本末転倒になってないかと、少し考えさせられたが、いや、
それでもいいんだ、という結論が得られたので、もう考えることもないでしょう(今度書く)。
とはいえ、私はともかく、「運営やると、内容が聞けない」では、スタッフのやり手が
いなくなってしまうから、"役割分担で負荷分散"というのは推し進めたいところ。


さて、そもそも、なぜテーマが"社内勉強会のつくり方"なのか。
"勉強会"ではなくて、"社内勉強会"。
勉強会を開催して、新しいつながりができたり、これまでのつながりがより深まったり、
知識を得たり、新たな視点を手に入れたり、というのは、社外の勉強会、コミュニティイベントでも
十分獲得することができる。
"社内勉強会"には、それらとは別の動機がある。少なくとも私には、ある。


それは、"一緒にチームを組んで仕事をしたり、何かしら仕事の上で絡む可能性が高い人々"、
"社内におけるコンテキストを共有していて、それをベースとしたビジネスや仕事の進め方について
会話ができる人々"、つまり、同じ屋根の下にいる人々と、一緒に強くなりたいという思い、
相手の考え方を知っておきたいという思いが、動機になっている。
それは、"一緒に仕事をする人と、いい仕事がしたい"ということに集約される。
社内におけるコンテキストというのは、往々にして、物事を進める上で制約になることも
あるのだけど*1、それをベースにした議論、新しい発見というのは、成果に結びつきやすく、即効性がある。


ところが、社内勉強会を自分もこれまでいくつか開催してきたが、終わり方について、良い
印象がない。参加者が集まらない、参加者が減って、減って、解散、という惨めなシーンが
記憶に、かなり残っている。これは、事例発表資料を読んでいても、良くあるケースのようだ。
かねてから、社内勉強会には、特有の難しさがあると感じていた。
今回、参加者のみなさんの大半が期待していた、"社内勉強会を上手いことやる方法"についての
ヒントが、どうにかして掴めないか。私も、同じ思いから、今回のイベントの企画時には、
テーマとして"社内勉強会のつくり方"を推させてもらった。


今回のイベントを踏まえ、改めて、人が集まらない理由を考えてみた。
それは、"知られにくさ"ではないかと思う。
開催されていること自体が知られにくい。これは組織によるところだが、仕事と直結しないような
情報を共有する仕組みが無い組織では、これがなかなか伝わらない。会社内という限定的な空間にも
関わらず、会社外での出来事の方が容易に情報を押さえることができたりする。
ただ、この問題については、インフラで一定の解決を見出すことができる。SNSであったり、
Wikiであったり、もっと簡単にメーリングリストであったり。そこそこアンテナを持っている人は
ちょっとした仕組みがあればそれを上手く活用することができる*2


より本質的な問題は、"メリットの知られにくさ"と考える。
その勉強会に出ることで、何が得られるのか。そのことを、あらかじめ伝えることの難しさ。
例えば、アジャイルな開発についての勉強会で、それを全く知らない人たちにどんなメリットが
あるのか。それを、"事前に"伝えることの難しさ。
テーマとしては、"分かりやすいもの"、つまり、身近にあって、困りやすいもの、
身近にあって、気になっているもの(本当は大事なんだろうけど今はできていないこと)、
そのようなものが、相手に伝わりやすく、引き込みやすい。
勉強会を開催する目的は、ただ、人を集めることではない。
とはいえ、勉強会という文化が薄い場所では、まず、取り掛かりとして、テーマの工夫を
考えるのは、先を見据えた戦略として有効だと思う。最初は、空気を作るところから。


私の実体験から書けば、最初の"存在自体の知られにくさ"は、社内SNSがあったため、クリアする
ことができた。次の、"メリットの知られにくさ"は、苦労した点で、例えば、アジャイル
ラクティスの読書会を開催するときは、"開発の現場で有効な工夫、習慣について学ぼう"という
言葉を前面に押し出すようにした。これは、もちろん本の内容が読者をひきつける、素晴らしい
ものだった部分が大きいが、盛況であり、さまざまな学びが生まれ、良い終わり方を迎えることが
できた。


最後に、事例発表の内容も踏まえて、私が考える勉強会プラクティス。

何がメリットか

この勉強会で、われわれは何の獲得を目指すのか。

自分たちにあった方法で、頻度で、レベルで開催する

これから学ぶのは自分たちであって、他の誰かではない。自分たちにあった方法で学ぶ。

終わりがある

勉強会自体にメンバーが慣れていない場合は、明確な"終わり"があった方が良いかもしれない。
だらだらすると、惨めな終わり方に繋がる。


また「社内勉強会のつくり方」、やりましょう。




ところで、社内勉強会の、"土壇場での不参加率"は、社外のそれに比べて、非常に高いと感じている。"仕事が忙しい"、"仕事が調整できない"というのは社内勉強会だけにあてはめる理由としては、挙げられないだろう。これは、"懇親会の有無"が、大きいと考える。例えば、社外の勉強会であれば、懇親会がほぼセットで企画されている。参加者は、申し込むときの勢いで、本編の後の懇親会も申し込んでいたりすると、土壇場で欠席という手段にはなかなか、出られないものである。本編の人が集まるか、見込みを立てにくい勉強会で、その後の懇親会の世話まで考えるのは困難というものだが、"懇親会までが勉強会"という真実を理解してもらうことも案外重要だ。きっと。

*1:例えば、「そんな前例は今までない」という会話。

*2:その先に抱える問題は別の解決方法が必要。その問題と、解決のための仮説は、今度書く