地獄でド派手にドンパチやるぜ!『キングコング: 髑髏島の巨神』を見た!!!感想

ジョーダン・ヴォート=ロバーツキングコング: 髑髏島の巨神』IMAX 3Dで鑑賞。

物語はベトナム戦争後、未知の島・髑髏島を発見したアメリカが、ロシアより早く地質調査に踏み切るぞと、軍隊を引き連れ満を持して髑髏島を目指すが、そこはバケモノが済む地獄の島だった…といった話。どうやら本作は1976年の『キングコング』を下地にしているようで、シリーズ的にはスピンオフになるよう。僕は、東宝の『キングコング対ゴジラ』(1962)、『キングコングの逆襲』(1967)に、ピーター・ジャクソン版『キング・コング』(2005)くらいしか見たことがなかったのだけど、めちゃくちゃ楽しんだ。

『マッドマックスFR』でも思ったのですが、撮影・コンピューターグラフィックスの技術革新によって、画面(ルック的な)の作り込みやコントロールといった面で、アニメーション作り(制作的な)に近づいてきているのではないか?と感じた。特に軍用ヘリで髑髏島へ行く途中に出現する嵐への突入は、まるで『ラピュタ』のように荒々しいシーンだった。そしてここからが圧巻であり、どうせすぐにはキングコングは出てこないんだろうな〜と、高をくくってみていたら、惜しげもなくキングコングの大暴れ!

ヘリが墜落していき竹林を歩いていると上から竹がグサッと隊員に突き刺さる!これは『食人族』か!!と思いながら、うげ〜と見ていると、その名もバンブー・スパイダ―の出現だ。真上を見上げるアングルから銃をバンバン撃っているシーンは、ゲームのような感覚で大興奮。それから水辺で休んでいると、巨大な水牛が出現!コングに見とれていると、巨大ダコとコングとのバトルが始まり、終いには、よっしゃ!島から脱出やぞ!!と思っていると、無数の鳥にさらわれてしまい食い殺されてしまう。

人間ドラマ以外の部分は殆どドンパチの殴り合いや、一方的な人間惨殺シーンの連続。惨殺は容赦なく湿っぽい瞬間がない。あくまでドライな殺人の嵐。トムヒが主人公のはずなのに、完全にキングコングおよび怪獣たちがメインになっている。*1完全にアトラクションムービーになっていて、いうなればホラー映画のショッカー演出であったり、死ぬ時に音楽かけたり、一人で歩いたり、夢を語ったり…と、定番の死に方の連続なので、意外性および卓越された演出で見ていくと、少し肩透かしな印象はあるかもしれないが、怪獣映画・地獄めぐり映画として、これ以上ない形で欲しいものをブチ込んできた!といった感じで大満足。

もちろんキングコングは素晴らしいルックだし、他の怪獣も気持ち悪い(褒め言葉)ヌメヌメした感じでよかった。まさに、この湿気は地獄!ただ、キングコングと張り合ったのはサミュエル・L・ジャクソンだろう。仲間を惨殺され、キングコングとの初対峙シーンは、眼力勝負。キングコングのスケールに引けを取らない憎悪の塊のような力強い眼力は、「お前を殺す!」といった迫力あるシーンだった。しかし、その人間VS怪獣といった部分はあっけなく終わりを告げてしまう。やはり、ここはヤツラの島なのだ。小さな人間がかなうわけもなく、ひたすらスケールのデカいかいじゅうたちの闘いに圧倒される。

正直なところ怪獣映画で120分は長いかと思ったが、気づいたら1時間半くらいたっていたし、ドンパチが絶え間なく続いたのでとても楽しめた。完全にドラマ削ったらトンデモナイ映画になったのではないか…なんて妄想してしまうくらい。小さい頃、怪獣のオモチャで全く関係ない怪獣同士を戦わせたりって遊びをしていたので、ここまでバブリーに遊ばれると羨ましくしょうがなかった。本作はそういった思い入れが監督のエゴにはなっておらず、目新しさはないが基本に忠実に演出されて、清々しい映画だったと思う。とても楽しめました。


*1:トムヒが毒ガスに突っ込んで日本刀でバッタバッタ斬っていくシーンは見せ場にはなっていましたが。