彼女のランプの魔術師の

イナイ×イナイ (講談社ノベルス)

イナイ×イナイ (講談社ノベルス)

え、Gシリーズまだ終わってないですよね…と思いつつも購入。シリーズの主役となるであろうコンビ(あるいはトリオ)の会話は良かったです。特に小川さんが可愛い。真鍋とのやり取りは何処となくVシリーズの錬無と紫子さんを思い起こさせますが。まあVシリーズ好きなんで問題ないですし。二人の年の差考えるとむしろ美味しいです、とても。
事件に関しては、とうとう専門的な要素を外れた展開にしてきたな…という感じ。真相もかなり予想しやすいんじゃないかと思われます。それでも、つまらないとバッサリ言えない仕上がりなのは、これまでの森博嗣作品で築き上げた世界観が上手く作用しているからではないでしょうか。浮世を離れた人物描写が、21世紀世界で許容できるのは中々に難しい事でしょうし。横溝的情緒に還ってそうで還っていないバランスがとても作者らしいというか…逆にトリックや仕掛けがテクノロジーを離れても大丈夫なんだなーと妙に感心しました。
それに、事務所のボスと最後に出てきた「先生」だけで結構満足しちゃう俺森信者、みたいなー。今後もチョクチョク出番ありそうですね、この分だと。ところでイナイ×イナイのばってん部分ですか、Xシリーズって要するに。後、ピーカーブーって単語が何処かで聞いた気がしてでも思い出せなくて悶々。その横の「死んでしまえば良いのに。殺してしまえば良いのに。」という文句は非常に美しい響きなのでお気に入り。何の感想だか。兎にも角にも森ミステリィ新章、またまた追いかける事にはなるでしょうて。