突出した曲は無いけれども、安定した楽曲製作で安心して聴ける。安定して曲を作り出すことが出来る力というのは本当に大切だ。
The Greatest Hits 25 / Simply Red (2008)
しばらくぶりにこのコンパイルと引っ張り出してきた。つるっと25曲を。ミックおじさんの美声に骨抜きにされる。バックのメンバーがどれだけ入れ替わっても、ボーカルはぶれない。その強さと美しさに惚れる。
君は僕の宝物 / 槇原敬之 (1992)
20年前の槇原敬之最高傑作。ということは、この後はずっと惰性か?いや、そういうことではなく。
「君は…」シリーズは結局3部作となったわけだけれども、その中でももっともポップスとしての鉄壁さを保ったのがこの作品だったのではないかと思えるのだ。とにかく無駄のない作りと、それでいてとことん作り込んでいるトラック。当時の槇原敬之青年がその全てをつぎ込んでこのアルバムを作り上げたことが、聴いていてもよく伝わってくる作品になっている。だからこそ20年を経てもその色合いは褪せることがなく、恋愛ソングとして時には応援ソングとして古びることなく成立しているのだと思っている。
この人はSMAPというツールを借りて、ついには国民的ソングを書き下ろしてしまうのだけれども、それはまだそのずっと後の話。まだこの青年が自分だけの力で曲を書き下ろすことに専念していたがむしゃらな時代の名盤。
ETERNITY 〜Love & Songs〜 / 倖田來未 (2010)
「bitch bitch JAP JAP ランランラン」というフレーズが頭の中に降ってきてしまったカバーアルバム。倖田來未の根底にあるのはビッチとしてのボーカリゼーションだと思っているので、いかんなくそれが発揮されているカバーアルバムを聴くというのは、ある意味マゾ的な満足感を味わえるという点で上出来じゃないかと思うのですよ。もう自分でも何を言っているかわかりませんけどね。
この人は縦に区切ったリズムが明確な曲に滅法向いている人だと思うのです。だから横に伸びていくストリングスには全然合わない。ロングトーンではなく鶏の首を絞めたようなキツイボーカルが非常に特徴的な人だと思うのです。それがまた、この借り物的なカバーアルバムで聴くと味わい豊かになるという点でも、これは資料的価値のあるアルバムじゃないかと思えるのですよね。