読了:赤目四十八瀧心中未遂(車谷長吉)

赤目四十八瀧心中未遂

赤目四十八瀧心中未遂

生きて何になるのか、と主人公は自問し続ける。もとは大学まで出て広告代理店に勤めていたのに、厭世観に付き纏われて職を辞した男である。作中でも流れ着いた貧民街で「あんたはここで生きられるお人やない」などと女たちに看破されるように、育ちが良いというのかどこか堕ちきれない甘さがある。それはぬるいとかダメだという意味もあるが、人が生来の性質として持つスイートな甘さでもある。
以下は畳んでおくので、未読の方はご注意を。

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