バガヴァット・ギーター(赤松明彦)、マルクス・アウレリウス(荻野弘之)
- 赤松明彦『バガヴァット・ギーター』(2008)
- 荻野弘之『自省録』(2009)
思想史研究ではもはやひところのような「比較」という方法は使えないと感じるものの、インド=ヨーロッパ祖語の研究はじめ、『バガヴァット・ギーター』受容史の研究などでも、比較によっていくつもの面白い論点を浮き彫りにできることはたしか。
「比較」を「文化の三角測量」のようなやり方で洗練させる方途もあるかもしれないが、これも比較項のいずれかになにかしらオルタナティヴを求めてしまうという陥没を完全に避けられはしないように思う。比較を基礎づけられるとすれば、結局それは比較がなされたという事実それ自体にもとづくほかないのかもしれない。