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pc4beginnerの日記 RSSフィード

2011-08-21

「コクリコ坂から」を見てきた 追記

| 12:07 | 「コクリコ坂から」を見てきた 追記 - pc4beginnerの日記 を含むブックマーク

なんとなく書き足りなかったので追記。もちろんネタバレ有り。












で。コクリコ坂からのキャラクターについて。


男性視点で見ると、主人公の女の子である海は完全無欠少女です。決して出しゃばるではなく、しかし芯は強く、家事全般をあの歳できりもりし礼儀を躾られている。しかし学校をサボタージュ出来る柔軟性もあるし、ファザコンであるなど脆い部分も持ち合わせています。彼女としてだけでなく嫁としても(尻に敷かれそうですが)パーフェクトな女性です。反則。


こんな女性から好かれたらたいていの男性はコロリでしょう。家族かもしれないなんて思ったらそりゃイライラするってもんです。それすら中央突破してくる海の強さには脱帽なんですが。


で、それを受け止める側のもう一人の男の子側の主人公、俊も結構な反則野郎です。学校新聞を私物にして気になる女性にメッセージを送ったり、学校活動で一番目立つところで活躍したり、サラリと自転車デートの後でコロッケをおごったり(貧乏なんだろ、コラ!)とか。ちょっとイケメンでさわやか君にこんな事されたら、たいていの女の子はコロリです。実体験として(くそう)。


これに加えて中央突破を計った海を受け止める度量と良い、結果的にそうでなかった運の良さと良い、好き勝手に生きやがれとエールを送るしかありません。どこまでご都合主義なんだ。


結局、原作が少女漫画なのでこんな無敵カップルが誕生します。これが少年漫画では、結構な割合でカップルの男側は情けなく描かれます。理由は割愛。


そんなわけで、非日常的な理想的カップルが清い交際をしているだけで心が洗われました。まぁ、既に黒光りするほど真っ黒なので白くはなりませんが。


あと、出て来る登場人物がとにかくいい人だらけ。イラッとする愛すべきキャラクターは居ますが、そんなキャラも根はお人好しなので許せてしまう。


これは他のジブリ作品に通じるものがありますが、根っからの悪党が基本的に出てこないんですよね。ラピュタムスカぐらいか。借り暮らしのアリエッティの男の子も非道い子だとは思いますが、それはさておき。


良い人しかいないという「非日常」もこの映画を楽しむ要素でしょう。


あと、前回のエントリで書いた時代背景の描写について。


自分がガキの頃にはほんのりとそんな香りが商店街や駄菓子屋に残っていました。これを知るかどうかは30代後半ぐらいがその境目だと思います。つまり、時代的には80年代のバブルのちょっと前を知っているかどうか。


自分は両親が商売やってた事も有って、家が忙しいと隣の家(まぁ、ここも商売やってたんですが)で軒先にいる犬と遊んでたんですね。延々と。するとそのうちのおばちゃんやおばあちゃんが家に入れてくれて、そこでお菓子を食ったりメシを食ったりして育った記憶があります。俺のソウルフードにこの家の炊き込み御飯がリストに載ってるぐらいです(すげぇうまいんです)。


この隣人に育ててもらう感覚、田舎の方だと結構あると思うんですが今はどうなんでしょう。共同の空間がある下宿やお手伝いさんがいる、この映画の中にある境界線が曖昧な世界。隣近所や商店街の人との交流の中に自分という「個」が確立されている世界。長らく都会で暮らして忘れかかっている感覚が呼び起こされるものがありました。


それが良いかどうかではなく、かつてそういう時代があった。完全に外界と切り離された「個」が確立された現在を生きている世代の親たちは、そういう「個」の境界線が曖昧な世界で生きてきた人たちだったりします。そしてその次の世代の子供達は、コンピュータという道具とwebという仕組みを利用して「個」の曖昧な世界を築き上げつつある。


そんな事をこの映画を見ていた時ではなく、エントリを書きながら思い付いたわけです。


だからなんだよ、と言う話ですが。


この映画を見た後にベストセラーの「県庁おもてなし課」という本をやっと読んだのですが、こういう話がベストセラーになるのは今の日本はちょっと振り返りを必要とするタイミングなのかなと思いました。読むと分かります。※いろんな含蓄が含まれており、高いハードカバーでも元が取れるお勧めの本です。


今の日本は大震災が起こり、原発問題を長く引きずる状態で、なおかつ戦後に構築された政治やマスコミ、社会のシステムが維持しきれなくなりつつある(そこまでではなくても、疑問を呈されている)。いままでの「普通」の価値観が根底から覆されつつあります。


しかし今も昔もそこに生きているのは変わらぬ人間で、なんだかんだ言いながらたくましく生きています。そして今の時代でもたくましく生きている事を自覚している人たちは、人の可能性を信じて(信じられるので)昔と同じようにたくましく生きています。でも、それを自覚できていない人たち(人、ではない)は心が折れたり、動けなくなったり、傷ついたりしています。


そんな人たちは、たくましく生きている人(人たち、ではない)がどうやってたくましく生きているのか。この映画を見て、それに気付く事が出来ればプロデューサーの鈴木さんのキャッチコピーも生きてくると思うのです。


そう、このキャッチコピーが。


上を向いて歩こう


今日はそんな感じで。でも、足下にも気をつけて。

【関連リンク】

 ・コクリコ坂から(公式サイト)

県庁おもてなし課
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有川 浩
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2011-08-20

「コクリコ坂から」を見てきた

| 23:58 | 「コクリコ坂から」を見てきた - pc4beginnerの日記 を含むブックマーク

面白かった。

おそらく少女漫画を読んで涙を流せる人は、じーんと感じるものがあると思います。

そうでない人は、映像のすばらしさに感じるものがなければなんてこと無い映画かもしれません。


今日はそんな感じで。


・・・これだけだとtwitterで呟けという話になるので、もう少し。

以下、ネタバレ含む内容です。全く見たくないという方はここまでで。













さて。


主人公の女の子、海は母親は海外にいて長期不在、父親は死別、妹と弟がいて家庭を切り盛りしている典型的な「苦労人」タイプのキャラクターです。ついで?に下宿まで切り盛りしていて、とにかくタフ。


もう一人の主人公である男の子、俊はさっぱりとした感じの割と誰にでも好感を持たれる好青年です。こちらも家庭の事情で色々悩みを抱えているお年頃です。


そんな二人が、クラブハウスの存亡というイベントで仲良くなる。ただそれだけの話です。恋に落ちるためのいろんな仕掛けもありますが、王道的な「フラグ」が多く良く言えば安心、悪く言えばありたきりな話の進行でしょう。私はこれだけでも十分楽しめる人間でした。


しかし本当にすごいのは時代の設定と、それを丹念に描く描写。オリンピック前という「戦後」が完全に切り離されるギリギリのタイミングで、日本がこれを機に失っていく風景がものすごく緻密に描かれているのです。オート三輪や未舗装の道路、木造の建物、そして横浜だからこそ描ける船の数々。氷川丸もそこにいます。40年前、私が産まれるほんの少し前まであった風景が話にとても自然に組み込まれている。何度も唸りました。


そして「アナログ」な人達。スタジオジブリは作画をアナログな手法に頼る、日本の「ディズニー映画」だったりします(あちらはCGも取り入れていますが)。アナログな人物が、アナログな絵で、アナログなアニメ手法で生き生きと動く。他のスタジオジブリの作品にも共通する魅力ではありますが、冒険活劇ではなくこのような恋愛の物語でも魅力になるのだと気づかされました。いえ、むしろこちらのほうがより力を発揮するのではないかと。


付け加えれば、舞台に何度も登場する坂がいろんな意味を持っているような気がします。これは震災を受けた場所にも通じる、日本の海沿いの街の特徴でもあります。そこでたくましく生きる大人や子供達。津波の被害を受けた場所で無料公開もされたようですが、同じ時代を生きた人達には何か通じるものがあったのではないでしょうか。

この坂を舞台にしたアクションも組み込まれています。冒険活劇はありませんが、アクションの爽快感はこれで十分感じることが出来ました。


実際の所、見終わった後に特に大きな満足感を感じることのない映画です。しかし、後でじんわりとやってくる何かを感じられる心を持つ人なら長く楽しめる。そんな物語ではないでしょうか。


今回は日テレのプッシュが静かに感じますし、嫁さんの反応も薄いものでした。しかし見終わった後の「何か」を長く感じられる、良い映画だったと思います。


今度こそ、本当に今日はそんな感じで。