「マグニフィセント・セブン」


いわゆるクラシック映画の名作、というのをたくさん見ているわけではないんですが、うちの父がそれはそれはもう「荒野の七人」(とそれのもとになっている「七人の侍」)が大好きで、それこそ日曜洋画劇場とか、なんかの折に放送されるたびに見てたんですよねー。でもチームもの好きには文字通り黄金律の詰まった作品だよなあと思います。子供のころに見たときは何がショックだったかって、善玉なのに全員が助かるわけじゃないってところでして、そんな…いい人たちなのに死んじゃうのいややー!とか思っていた、あの頃の私の純真さは今どこに…(仲間を呼吸をするように袂を分かって戦わせるマンにもそんな時代があったんだね…)
以下、遠慮会釈なく物語の展開をバラしております!

ということで、その「荒野の七人」のリメイク?リブート?「マグニフィセント・セブン」です。デンゼル・ワシントンユル・ブリンナークリス・プラットスティーヴ・マックイーンにあたる役どころになってるほか、イーサン・ホークイ・ビョンホンヴィンセント・ドノフリオなどなど豪華なキャスト。冒頭で出てくるものすごい目の蒼い人めっちゃマット・ボマーに似てる!と思ってたらご本人でした。うそー!もっと長生きさせてよー!ボーグのばかー!

西部劇ときたらこうでなくちゃというか、ガンアクションのかっこいいところ総取りしましたみたいなシーンの連続なのでむちゃくちゃ見栄えのするシーンの連打でよかった。ファニングショットってなんであんなに絵になるんでしょうね…あと馬上でのガンアクションがたくさんあって眼福だった!!ところであの時代のガトリングガンはあんなに射程距離あったのか…と思ったり思わなかったり(笑)

さすがに現在の多様性を反映させたキャスティングだし、物語の展開だし、特に各々のキャラクターについてはうまく現代で受け入れられるようにアップデートされているなーと思いました。サム・チザムにボーグに対する個人的な因縁があるか、ないかというのはオリジナルと比べた時にかなり大きい改変のような気がしますが、まあ、そういう動機付けが物語として必要だという判断だったのかなー。こういった、チーム戦で巨悪と対峙するという場合、その巨悪(ラスボス)を「どう倒すか」っていうの割と難しい選択ですよね(例えばMIRNはめずらしいぐらいの成功例と思う)。今回も、まあサムとボーグが最後対峙するんだけど、これでサムが負けるのを想像する客たぶんいないじゃないですか。だってむたんこ強いから、サムが。そうするとどうしてもなぶり殺しみたいな形になる(一発で仕留めると観客がテンションの持っていき場を失う)わけで、そうするにはやはりサムに「そうするだけの動機付け」が必要だろうという。

7人のキャラクターはほんっとに魅力的に描いていて、これはチーム戦好きな人なら文句なく楽しめそう。個人的にはイーサン・ホークがすばらかしすぎた。なんだあのキャラ。いい男のトラウマ持ちなんておなごの大好物に決まってますけども、ビリーとの関係性(薄い本が百科事典になるぐらいのポテンシャルあり)ももちろんですが、あの村を去る時のサムとのやりとりなー!「昔の俺を覚えておいてくれ」っくーーー!!!なにがずるいって、あれ帰ってくるのわかってるじゃないですか、帰ってくる前提で観客見てるわけじゃないですか、いやもう待ってました!ってなるよね。この複雑で魅力的なキャラクターをイーサン・ホークがほんとにものの見事に体現していてうっとりしました。名前もグッドナイト・ロビショー、またの名を死の天使。かっこよすぎかよ!

クリス・プラットもよかった、よかった、彼ほんとすばらしい。最終的に一番ヒロイックなキャラクターで、かつ終始ブレのない描かれ方でよかった。軽妙洒脱な感じもちょっとスターロードを思わせるところもあり、減らず口に隠されたやさしさと強さを感じさせる佇まいでしたよね〜〜。バスケスとの間に生まれるほのかな友情もすごく良かったです。ドノフリオさんのホーンもね、なんかもふもふでかわいかったね…個人的にはレッドハーベストとホーンさんのやりとりもっと見たかったなー。でもって、監督はきっとデンゼル・ワシントンのことが大好きなんだね…わかる私もだよ…まさに漆黒のダイヤモンドのような輝きとかっこよさ…頼りになる感…

あと、今回生き残る数はオリジナルと同じですが、人選は異なる、という感じですよね(オリジナルではスティーヴ・マックイーンは生き残るけど、それに相当するファラデーは死んでしまう)。これ、どういうところで選んだのかなと思ったんですけど、思えば死んだ4人はいずれも劇中で「私闘」による殺人が描かれているんですよね。ファラデーは銃を触った男を殺し、ビリー(とグッドナイト)は金を賭けた決闘で殺し、ホーンも自分を襲った男を殺す。サムは酒場のシーンで手配書の男しか殺していないので私闘での殺人にはあたらない。バスケスは小屋の男は「自分が来たらもう死んでいた」と言っているのでこれもあたらない。レッドハーベストは言わずもがなですね。いやまあ気のせいかもしれないけど、こういう整合性取ろうとするの、アメリカ映画っぽいよなーと思いました。