ごめんね日常 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-07-05

[]普通の人々

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ひよっこ」、毎日たのしく拝見しています。今の住所に引っ越してきてから通勤時間が短くなったので、朝ごはん食べて、8時から放送見て、着替えて、家を出てる。最初の3〜4回見逃しているので初回から全部ではないのだけど、見始めてからは欠かさず見ています

見ていて、出てくる女の子たちはみんな、かわいいし、男の子は基本、気は優しくて力持ち(そうでもないタイプもあり)だし、よく「悪者がいないよね」なんて感想を目にしたりもします。確かに。でも、それなのに、こんなにおもしろい!それが本当にすごいと思います個人的には悪者がいない、というよりも、カリカチュアライズされた登場人物がいない、というようにも感じています。彼らはみな、市井の人々、普通の人々、誰でもない誰かで、それはつまりあなたであるしわたしでもある。

ただ、普通であれば面白いかというとそんなことは勿論ないわけで、むしろ私は「等身大」なんて言葉くそくらえ、エンターテイメントこそ過剰であるべき、トゥーマッチなものにこそお金を払いたいよわたしは!と常々思っているのだけど、その点からいくと「ひよっこ」はぜんぜんトゥーマッチじゃない。なのになぜこんなに物語登場人物に心打たれるのか。それはなんというか、ほんのすこしでも、人間として「そうありたい」と願う姿が時折描かれるからかもしれません。

みね子が、お給料手取りが減ってしまって、すずふり亭で食べていたメニューがまた一番安いコロッケに戻ってしまって、頼めばそれはなんでも食べさせてくれるのかもしれないけど、それはいやで、父親がいなくなって、東京に働きに来て、家族のためにお金をおくって、「それだけじゃ自分がいないから」、こうして毎月ちょっとずつ高いメニューをオーダーすることを楽しみにしてきたのに、と語る姿。

つっけんどんな物言いしかできなくて、勉強ができるのに進学できなくて、その鬱屈を全身で表していたような豊子が、時子に、もういいじゃん、もうそういうのやめていいんだって言ってもらえて、だからこそ工場が閉鎖するときにどうしても納得できなくて、いやちゃんと納得してるんだけど、ただ、「いやだってしゃべりたい」、この場所自分にとって、どれだけ失い難いものだったのか、を必死で訴える姿。

宗男さんが、あんなにビートルズが好きで、命と命の挟間のような瞬間に敵兵からかけられた笑顔がわすれられなくて、こうして生きてるっていいたい、笑って生きてるっていいたい、それほどビートルズに思いをかけているのに、島谷くんが差し出したチケットを「どうして黙ってた」って聞いてあげて、そのチケットをみんなの前で出せなかった彼の心情をちゃんと汲み取って、そうしてそのチケットビートルズに会えなくて泣いてる女の子にあげてしまう姿。

私だったら?私だったら、お給料さがったことを泣きついて甘えるし、あんなに素直に自分の心情をさらけ出すのはこわいし、目の前にビートルズチケットがあったら、それが自力で当てたものであろうとなかろうと行ってしまう。「行きたい気持ち」は誰にも負けないんだからなんて免罪符をつけて、行ってしまう。

ひとつひとつ描写がていねいで、展開をあせらず、「書きたい何か」のために人物エピソードが歪められていく感覚がなく、時には「こんなにのんびりした展開でいいのかな?」と不安になったりするのに、でも振り返れば「思えば遠くにきたもんだ」なのだ。たとえば、お正月に里帰りした回なんて、とてもよかった。みね子はほとんど寝ていた。主人公が、ほとんど寝ていて、15分。でも、そうだよね、と思う。実家って、なんか、寝ちゃうよね。きっと安心しきってるからなんだよね。それだけの時間と緊張を、みね子が東京で過ごしてきたってことなんだよね。

主人公であるみね子の周りで、ドラマらしいドラマといえば父親失踪の一点に尽きるんだけど、そのドラマ(謎)ばかりを追いかけているわけでもない。実際に今日(7月5日)の放送回で、「どうしているかからないことに慣れてきた」という台詞もある。劇的要素が日常に埋没していく残酷さ。みね子が父に語り掛けるモノローグと、増田明美さんのやけにメタナレーションの味わいも、とてもいい。

この間実家に帰ったときひよっこ見てる?と父と母に聞いてみた。もちろん見てる!すごくおもしろい、あの時代東京上京していくときの感じがよく出てる…と嬉しそうに話していた。父も母も、ひよっこたちとそれほど変わらない時代に、「田舎から都会に出てきた経験がそういえばあるのだった。

先週から、ずっと1966年6月ビートルズ旋風が描かれており、今週はまさにビートルズを愛してやまない宗男おじさんの熱い思いが語られるすばらしい回が続いています明日はそんな宗男さんを演じる峯田和伸が「あさイチ」にゲストで登場!これからどんな展開が待っているのか、胸をときめかせつつ明日を、来週を、来月を楽しみに待つことができる、嗚呼、なんと素晴らしき朝ドラ!みなさんもぜひ!