ごめんね日常 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-08-27

[]野田桜の森の満開の下、無事大千穐楽

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終わってしまいましたね。終わってしまいました。待っていた時間は長くても始まったら終わってしまうんですね。とはいえ、千穐楽を見届けて、なんだか今はすがすがしい気分です。「ヒメの笑顔におされることもなく、この仕事、まっすぐ素直に戦えている」という耳男の心境でしょうか。違いますか。違いますね。

初日のあと、中日あたりにもう一度拝見して、終盤も見に来る予定だったので、筋書はお写真が入ってから買おうと控えていました。24日の観劇の際ちょうどお写真が入るとのことだったので、そこで初めて野田さんが筋書に寄せた文章を読みました。んもーーー!!秀樹!(呼び捨てすな)もしこれおセンチメートル満開時期の初日に読んでいたらそのままトイレに駆け込んで嗚咽待ったなし案件じゃんかよ!この文章まで七五で書いていることを、勘三郎さんが「相変わらずバカだねお前は」そう喜んでくれれば…とかほんと…うおーん(泣いている)。しかし、その最後に、本気でものを創る者らの心に棲むと言われている鬼の話です、とあって、野田さんが作品についてこういうことをストレートに書いたことに驚きました。その日の観劇のことはちょっと忘れられません。なんというか、頭に物語がぐんぐん入っていくような、今まで解けなかった問題がすらすらと解けていくような、そんな快感がありました。芝居もすばらしく、自分も集中して舞台を見ることができて、観劇愉悦を凝縮したような2時間でした。「オニの息吹がかかるところがないと、この世はダメな気がする」という私の大好きなマナコの台詞オニの息吹って、そうした向こう岸から届く芸術芸能)のことなのかもしれないなあと思いましたし、見届けてやるという俗物マナコは私(たち)だよなあとも思いました。でも、桜の木の下にはひとりで行かなくてはいけないのだ。そうして舞台の上というのは、われわれがどれだけ見届けても、ひとりで桜の木の下へ行かなければならない者たちの場所なんだよなあと思いました。

千穐楽、あの「殺し」の場、はらはらと散っていた桜の花びらが渦を巻き(というか、あのはらはらとした風情から吹雪へ、そしてまたはらはらと散る桜の加減が絶妙すぎて、そういう細部に至るまで磨き抜かれた裏方さんの力量を見せつけられる思い)、そこで対峙する夜長姫と耳男のふたりが、その姿勢、手の動き、すべてが絵のように美しく、自分が長い間、本当に長い間夢に見ていたものがそこにある、ということにひたすら感動しましたし、なんというか、いろんなものが洗い流されたような気持ちになりました。なんだかとってもすがすがしい気持ちです今は(冒頭に戻った)。

芝居の感想初日のあとに書きましたので、それぞれの役者さんについて(全員ではないけれど)いくつかメモ書きを。

  • 染五郎さんオオアマ。なんという完成度、まさにオオアマファイナルアンサー出ました!な気持ちでした。あんなに人を上から見下すのが似合う人っていますでしょうか(全力の褒め)。耳男の「これからはこの耳から永久に俺を名人と呼ぶ声が聞こえてくるのでしょ?」のあとの「あ?」が大好き。大好きです。そのあとの「耳男、お前こそがオニだな」「耳男お前がオニになれ」の台詞トーン!あの視線!俺がファーストエンペラー!って台詞がこんなにしっくりくる人いない!最高かよ!!!(興奮)
  • オオアマはセリフにもある通り、前半は野心を隠し、後半はその野心を顕す役ですが、この二面性も染さまにぴったりハマったよな〜と思う。まさか出でイルカ背負ってたひとが最後あなるとはっていうね。笑いどころは逃したくない染さまらしく、壁ドンしたりセ・巻物にゴム仕込んだり(あれ初日見事にクリーンヒットした染さまに勘九郎さんも猿弥さんも半笑いでしたよね)、早寝姫を追っかけるときにわざわざこれ見よがしのターン決めたり(そしてそれにマナコが続いたり)、いろいろサービス満点でした
  • そういえば初日はオオアマの冠のツクリがもろく、ヘンナコとの絡みの場面でぽっきりいきそうだったのが懐かしい。すぐに補修されてましたけども。
  • ヘンナコとの絡みと言えば、王冠を拾いに行って足に当てるのは初日はやってなかったような。あの足に当てた後、この足が!この足が!みたいにじたばたするとこ大好きです
  • 襲名前のこのタイミングで染さまにオオアマをやっていただけて、本当にありがたいしここで実現してよかったって心底おもいますし、ほんともう染さまに足を向けて寝られない

  • 猿弥さんマナコ。いやもうね、千穐楽のあの大仏に上って「展覧会の絵」がかかる場面、その前日は「どっちが親指だー!」っていう、あの場面でこれ心の臓が強い人でなきゃできないよ!ってギャグをかましてきていたのもすごかったけど、まさかの鬼ごっこスタイルから入るっていう、もう今日終わる芝居なのにまだカチコんでくるその精神に完敗、いや乾杯です
  • マナコは本当にカッコイイ役だけど、それだけじゃなくてキュートさをふんだんに振りまいてくれた魅力的なマナコだったなー。自分ギャグをかましてからの「落ち着け」とか、手のひら返してみせる場面のロボ振りとか、こういう細部に情報ねじ込んでくるタイプの役者さんめっちゃSUKI…ってなりました。
  • 勘九郎さんの耳男ともどんどん息が合っていって、幼馴染であったよな〜、あったあった!の間とか、比喩自転車の場面とか、そのあとの去るマナコを執拗に(千秋楽執拗さたるや、もう許してあげて!と思ったし、マナももう、ごめんなさい!と言っていた)追いかける耳男の場面も楽しかったです。
  • オニオニたち、亀蔵さん赤名人の七五へのこだわり具合と絶妙の間、すばらしかったですね。そして巳之助くんのハンニャ!毎回毎回出ている場面で色んなことしてるのでついつい目で追っちゃうし、ホント初日から完成度が高かった!そして喉が強い!豪族となってから声のトーンが変わるけど同じ舞台で違う声色いったりきたりしていてもビクともしない。一幕ラスト殺陣もめちゃくちゃ絵になる動きが多くてほんと目に耳に楽しい役に仕上げていてすごいな!
  • 梅枝くんの早寝姫もすごく好き。「いささか気が引けますからの「いささかも気が引けません!」とか、巻物覗き込みながらのオオアマとのやりとりとかとてもよかった。
  • エナコ(ヘンナコ)の芝のぶさん、野田さんぜったい芝のぶさん好きだよな〜私もだよ〜。感想とか検索していると「なんで女性が出てるんだ…?」と思ったひとが少なくないのでほんとすごい。私エナコの「聞かせるがいい念仏を」の芝居が大好きなのよね…あと「あたし、みっちゅだよ!」のとこも好き。エナコが耳男の左の耳を切り取ったあと、あの小太刀をすっとかざしてみせるところもすごくよかったです

  • そして七之助さん夜長姫。以前ブログにも書いたけれど、遊眠社での上演時にこの役をやった毬谷さんが本当に強烈で、私も台詞を覚えるほどビデオやDVDを繰り返し見ていて、七之助さんに夜長姫をやってもらいたい、この人の夜長姫が見てみたい、という気持ちと、脳内に残る毬谷さんの声にひきずられたらどうしようという気持ちがあったのだけど、初日第一声を聴いたとき、ああ大丈夫だ…!って思ったのをすごく覚えています。本当にすばらしかった。この役を演じてくれたことに感謝したい。
  • 後半になればなるほど凄まじさが増していて、だんだんオニとヒメの境界線が見ているこっちにも曖昧になってくるような、同じ場面でも、ヒメにも見え、オニにも見えるような佇まいがあって、これは女形からこそできる造形だよなと思ったし、それを演じている七之助さんそのものさえなんだかその役の向こうに溶けていくような感覚が何度もありました。
  • 一幕ラストの耳男のミロクを見ながらオニオニと話す場面とか、声はオニなのに姿はヒメっていう、でもそれが自然に思える、ヒメさま誰と話をしているので、と耳男の気持ちになてしま
  • ところで七之助さんはなんであんなに「ボッ」という火を灯す音が似合うんでしょうかw耳男の小屋に火をかける場面、芋を焼いていたかと思ったら楽前には火祭りの踊りみたいなのに進化していて笑いました
  • 艮の時刻と方向のダイヤルを合わせる儀式、っていうのが毬谷さんがブログで「残っててうれしい」と書かれてたやつかなー。あれ私も大好きです。「願いをかけているんです」「呪いともいう」最高
  • いちばん好きなのは、転がるように永遠下り続けていくのですよ、というあの場面の、私はおまえと…もとい、お前はわたしと一緒でなきゃ、生きていけないのよという台詞、だからお前が転がるなら、私も転がっていくよって…あの場面の耳男と夜長姫の約束は、たとえようもなく切なくて美しい
  • 最後の鬼面となってからの夜長姫には、もう尽くせる言葉も尽きるという感じだ。見終わった後、観客の魂まで一緒に連れて行ってしまう夜長姫…

はー本当に夢のようだったな。夢のようでした、ってお前は何回言ってるんだよ。すいません。でもそうなんだから仕方ない。上演が決まってから初日、いや千秋楽まで、自分思い入れをつららつらつらと書かずにおれない病にあったわけですけど、そうすることによってまだこの物語に触れていないひとの「体験」を阻害したところがあったかもしれないです(エモバレ?とかい意味でも)。それは本当に申し訳ない。それによってなんだか距離をおいてしまったひとがいたとしたら、もっと申し訳なかったと思う。でも、どうだろう、とにかく、すごいから、見て!と言いたくなった私の気持ちも、こうして芝居が終わった後は、共感してくださるかたもいるのじゃないかとおもいます。そうだったらいいな。長年芝居を観ていても、自分が夢見た公演が実現して、なおかつそれが自分想像を超えていくという体験は、めったにできるものじゃありません。私にとってはそういう八月でしたし、このブログを読んで下さっている方にも、そういう八月だったらいいなと心から思います

さて、オイお前耳男のことを書いてないじゃないか、というツッコミがありやなしや、大丈夫です例によってこの先は勘九郎さんカッコイイしか言ってないエントリリターンズです!

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