丁寧な仕事は必ず伝わる(けいおん!)

pedalfar2009-04-24

いいよね「けいおん!
素人が見ても丁寧に作ってあるとすぐにわかるほど丁寧に作られている。
表情、髪の揺れ方、指の動き、スティックのしなり・・・etc。これくらい丁寧に作られていると「アニメ作品」としてはもちろんだけど、純粋なアニメーション(動く画)として見ていて楽しめる。ま、そういう僕の楽しみ方はちょっとマニアックだとは思うけど(笑)
画像はオープニングの中のワンシーン。この自転車の描き込み。通学用ママチャリじゃなくてミニベロだ。気になってコマ送りで見てみて驚いた。特徴的なフレーム形状。知っている人が見れば「BROMPTONだ!」とすぐにわかる。ブレーキと変速のケーブルの描き分け、泥よけやリヤキャリアの形状。背景の描き込みもすごい。しかし、ここまで描き込んでいるにも関わらず、この自転車が登場するシーンはわずか1秒しかない。
主人公達が使う楽器の描き込みも丁寧だ。主人公の平沢唯が使うギターも「只のギター」ではなく、ちゃんとレスポールだ。なぜ彼女はレスポールを選んだ(欲しがった)のか、それがたとえストーリーで語られなくても、視聴者は「彼女はレスポールが好きなんだ」と認識する。「なんでレスポールなんだろう」と想像する。多分そのことは視聴体験に深みを与える。彼女は「ギターを弾く女の子」じゃなくて「レスポールを弾く女の子」なのだ。
本当に丁寧な仕事は、それに詳しくない人が見ても「どこか他とは違う」と気付かせてくれる。その拘りはマニアやオタクだけの楽しみっていうわけじゃない。自転車はちゃんと自転車として、ギターはちゃんとギターとして描かれている。そういう丁寧さが全てに厚み、深みを与えてくれるのだと思う。

インテル元会長、アンディ・グローブの「パラノイドだけが生き残る」という言葉が好きだ。拘り抜く、端から見れば偏執症的、神経症的なくらい。人の心を動かすのは結局そういうこと、そういうものなんだろうな。
(現会長のクレーグ・バレットのこのインタビューもおもしろい)

一冊目の本を書くことが決まったとき、最初に決めたことがある。
ささやかながら、そのことには最後まで拘った。そして二冊目の本でも拘った。
それは一言で言えば「嘘は書かない」ということだ。この話は次のエントリーで。


けいおん!オープニング /YouTube
(HDで見るがよろし。自転車が登場するのは1:19辺り)