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Peepooblue’s Notebook

1980-04-01

[]南部縦貫鉄道 14:19

 南部縦貫鉄道青森県野辺地七戸を結ぶ20.9キロのローカル私鉄。東北旅行の最後に寄ってみた。

 野辺地駅七戸まで480円の切符を買い、改札を通る。

 南部縦貫鉄道の乗り場は構内のはずれ、駅舎から一番遠いところにあり、そこへは国鉄の立派な跨線橋東北本線を跨ぎ、さらに継ぎ足したような狭くて古い木造の橋を渡っていく。南部縦貫鉄道野辺地から次の西千曳までは複線電化前の東北本線旧線を譲渡されて使用しているというから、この古い跨線橋も当時のままなのだろう。

 さて、由緒ある(?)跨線橋を渡って雪に埋もれたホームに立つと、さすがにひっそりとしている。

 16時08分に七戸からきたレールバスが身を揺すりながらゴトゴトと登場した。わずかな乗客荷物を下ろしてから乗り込む。

 初めて見るレールバス・キハ102は本当にバスのような姿。内部もバスに似ていて、運転席にはギアのチェンジレバーがついている。バスと違うのは、ハンドルがないこと、運転台が車両の両端にあること、ドアが車両の両側にあることぐらい。ちなみに運転席は、バスが右寄り、列車は左寄りにあるのが普通だが、このレールバスは真ん中、つまり線路の真上にある。座席はロングシート

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 さて、雪の降るなか、わずかな客を乗せて16時18分に発車。 

 駅は西千曳、後平(うしろたい)、坪、坪川、道ノ上、天間林、中野、営農大学校前、盛田牧場前、七戸の順。途中駅では天間林だけが行き違いのできる有人駅で、残りは駅というより停留所と呼ぶにふさわしい小さな存在。

 もう夕暮れ時なので、駅に停まるたびに車掌がホームに降りて、駅の電灯をつけていく。乗降客はほとんどいないから、まるで各駅に点灯するのがこの列車の役目みたいでもある。後方を見ていると、ホームの灯がポツンとひとつ、降りしきる雪の彼方に遠ざかっていくのが印象的だった。

 雪野原や森や牧場の中をひどく揺れながら走って、16時53分、終点の七戸に着いた。車庫があり、隣のホームには数両の貨車も止まっている。

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 雪の降り積もったホームに数人とともに降り、線路を渡って改札口へ。ほかの乗客は雪の町へ消えていき、待合室には僕と売店のおばさんだけが残った。その小さな売店でパンを買う。まもなく、おばさんも店を閉めて帰ってしまった。

 薄暗い待合室にたったひとり取り残された僕は重厚な扉をゴロゴロと開けてみた。外は一面真っ白な雪の世界。僕の知らない日常を持った町だ。この駅にはもう来ることもないだろうと思い、記念に駅の入場券を買った。

 帰りの列車を待つ間、改めて駅の中を眺め回す。改札口の上に掲示された時刻表には、上下5本ずつの列車の七戸駅発着時刻や野辺地での連絡列車が出ている。また、「お知らせ」と書かれた紙に4月1日より「研修所前」を「営農大学校前」に改称したとある。4月1日とは今日である。

 17時30分発の野辺地行きは来た時と同じレールバス。これが上りの最終列車。僕を含めて3人の乗客とわずかな荷物を乗せ、乗降客のない駅は通過して、野辺地には18時06分に到着した。

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