「キャンディーズメモリーズFOR FREEDOM」

 今から37年前、1978年4月4日に後楽園球場で行われたキャンディーズの解散コンサート「ファイナルカーニバル」の完全版がついに発売というニュースは先月初めに取り上げ、僕もすぐに予約したが、発売日の11月4日に自宅に届いた。


 解散コンサートでは4時間にわたって50曲が演奏されたが、これまでに映像作品として出ていたのは21曲だけだった。ファンにとって完全版の発売は悲願でもあったのだ。
 解散30周年にあたる2008年4月4日に後楽園球場跡地のJCBホールで記念イベント全国キャンディーズ連盟大同窓会が開催された時、ファイナルの録画放送(関東地区の視聴率32.3%は単独アーティストの音楽番組としては歴代1位)を担当したTBSの倉庫からビデオテープ5本、5時間分の映像が発見され、イベントでも一部が公開された。完全版発売を待望する声はますます高まり、署名活動も行われたりしたが、その後も表向きは発売に向けた動きはまったく見られず、実現は難しいらしいという声すら出ていたのだが、発売に向けたプロジェクトは密かに(?)進行していたのだった。
 2008年に発見されたマスターテープが7年の歳月をかけて映像デジタル・レストア編集およびサウンド・マスタリングを施され、ついに全50曲(208分)がDVD化されたわけだ。
 それに加えて、デビュー直後から解散前日の最後の生出演まで、NHK、フジテレビ、TBSの各局の番組での歌唱映像も大量に作品化。さらにファンの誰もがキャンディーズとさよならする日が来るなんて想像すらしなかった1976年10月11日の蔵前国技館でのキャンディーズ・カーニバル2のライヴ映像の現存する24分もあわせてDVD化。
 トータルでDVD5巻のボックスセットだが、とにかく映像がきれい。40年以上前のものでも、画面が4:3であることを除けば、現代のテレビ番組に当時のままのキャンディーズが出演しているのか、と錯覚してしまうぐらいの画質。
 第1巻はNHK編。「レッツゴーヤング」と解散直前の「ひるのプレゼント」から。2006年に初めて放送され、多くのファンを過ぎ去った時代に引き戻した「わが愛しのキャンディーズ」で使われた、なじみのある映像も少なくないが、シングル曲以外の貴重な映像も含まれている。
 第2巻はフジテレビ&蔵前2。フジは「夜のヒットスタジオ」より。解散前日、会場設営作業の進む後楽園球場からの生中継で3人が私服姿で歌った「微笑がえし」も収録。
 第3巻はTBS編。「8時だョ!全員集合」からシングル全17曲、さらに「歌のグランプリ」「ザ・ベストテン」の映像で、長峰由紀アナのナレーション入り。このTBS編が特に画質がきれいに見える(ような気がする)。
 そして、残りの第4・5巻にファイナルカーニバルを完全収録。観客席のファンが映るシーンもかなりあるが、「あ、自分が映っている」なんていう人もいるのだろうね。羨ましい限りだ。おそろいのピンクのハッピを着た女の子だけの応援団もいたんだね。
 それにしても、ラン・スー・ミキの3人が少女から大人の女性へと成長していく様子が克明に記録されているなかで、東京西郊出身のランちゃん(吉祥寺生まれ、当時杉並区在住)とミキちゃん(世田谷区)のいかにも東京のお嬢さんっぽい路線と、同じ東京でも足立区出身のスーちゃんの下町のおねえちゃん路線とのギャップというのがだんだん鮮明になっていくのが面白い。

 このDVDボックス。ソニーミュージックTBSのネットショップのみでの販売だが、予約殺到で初回分は即日完売だったらしい。追加分はまだ買えるが、そのうち入手困難になるはず。ファンの方はお早めに。