ホッキョクグマのツヨシ

 釧路市動物園から横浜市よこはま動物園ズーラシアにやってきたホッキョクグマのツヨシ。2003年12月11日生まれの12歳。

 僕がツヨシのことを知ったのは10年ぐらい前のことだったと思う。当時、釧路市動物園にいたメスのホッキョクグマクルミのお婿さんとしてである。
 1997年夏に釧路市動物園を訪れた時、前年暮れに生まれ、まだ生後7か月余りだったクルミがとにかく可愛くて、記憶に残っていたので、その後も同園のホームページを時折チェックしていたら、2005年1月22日に札幌円山動物園からクルミのお婿さんとしてツヨシがやってきたというニュースを知ったのだった。
 ただ、その時、ツヨシはまだ1歳。クルミは8歳になっていたから、かなり年下の男の子だった。
 それから数年経って、クルミとツヨシはどうなっただろうと思ったら、またまたびっくりなニュース。なんとツヨシはオスではなく、メスだったというのだ。
 5歳になったツヨシを繁殖のためクルミと同居させたところ、2頭はじゃれ合ったりしていたそうだが、その様子が男女の関係というより仲の良い友達同士のようだったので、改めて調べてみたら、ツヨシもメスだったというわけだ。
 上野動物園ツキノワグマ、「タロコ」(♀、現在は多摩動物公園に移動)も当初はオスだと思われていて、「タロウ」と命名され、のちにメスと判って改名された経緯があるが、「ツヨシ」の場合は名前はそのままになった。この名前で既に釧路の人たちに愛されていたからだろう。
 ただ、動物園の重要な役割の1つである繁殖のことを考えれば、同じ動物園に年頃のメスが2頭いても仕方がないので、クルミ秋田県の男鹿水族館に嫁入りし、そこで子どもを産んだ。それがいま釧路市動物園で人気者になっているミルク♀。
 一方、釧路に残ったツヨシのところには上野動物園からユキオがお婿さん候補として移動したが、繁殖に至らず、ユキオは2年で上野に帰ってきた(その後、死亡)。
 そして、ツヨシの次の縁談がズーラシアのジャンブイ♂だったわけだ。
 ツヨシは釧路市民に盛大な壮行会を開いてもらって、3月1日に横浜へやってきた。当日の北海道は猛吹雪。ツヨシはトラックに積まれて午前3時半に釧路を出発し、吹雪の中、千歳へ。しかし、猛吹雪で飛行機がなかなか飛ばず、その日のうち横浜に着けないかもしれないという状況だったそうだが、天気は午後になって劇的に回復し、無事に羽田に飛び、その日の夜、釧路から18時間かけてズーラシアに到着したのだった。
 ツヨシの一般公開が始まったのは3月19日から。ズーラシアでも歓迎イベントがいろいろ行われ、盛り上がっているようなので、僕も先日、ツヨシに会ってきた。名前は前から知っていたが、実際にこの目で見るのは初めてである。

 ツヨシに関する展示もいろいろ。
 プロフィール。

 これは釧路から横浜までの旅の様子。ズーラシアスタッフのブログでもその様子は紹介されている。

 釧路市民からのメッセージも展示されている。


 文字が滲んでいるのは雪のせい?

 釧路では「ツヨちゃん」と呼ばれていたようだ。
 ツヨシの思い出の写真パネルも展示されている。

 生後3か月のツヨシ。母親のララと一緒に。

 その髭、どうしたの?

 これは男の子と間違われても仕方がない(?)。でも、かわいい。

 ツヨシという名前は当時、北海道のスターだったファイターズの新庄剛志選手にちなんで名づけられたそうだ。

 記念品の展示。


 ウェディングドレス姿のツヨシ。

 さて、僕が最初に目にしたツヨシはちょうどプールで泳いでいた。





 ハートをくわえてきた。

 妙に人懐こい印象。




 これがツヨシの新しい生活の場。施設としては、いい環境だと思うが、北海道の夏しか知らないツヨシにとって、関東の気候はどうなんだろう?

 つづく。