『ヤン川の舟唄、その他の物語』(洋書)がハズレだった。

日常的にダンセイニの洋書は買っているのだが、久しぶりにひどい目にあったので、報告しておきたい。ひどい目にあったというのは、洋書を買う上で普通によくあることで、洋書を購入し続けていれば、いずれは本を手に取った瞬間にこれはハズレだと判ってしまうようになるものである。タイトルと作者名で思いつきのように注文した私も悪いのではあるが。
さて、今回のハズレは、『ヤン川の舟唄、その他の物語』Idle Days On The Yann And Other Stories(Kessinger Publishing)である。私はこれをタイトルからしボルヘス編纂のバベルの図書館シリーズの英訳だと思って注文してみたのだが、収録内容からしてまったく別物だったのである。
収録内容は、『ヤン川の舟唄』と『見過ごし通りの店』の二作(英文)。テキストは、改行するたびに一行開けるというWEB仕様になっており、アメリカ国内で著作権切れになったダンセイニのテキストを公開しているサイトからコピペしてきたのがまるわかりになっている。(アメリカ国内では、ダンセイニの著作権は後期のものはまだ消失していないらしい)また、短編の途中で意味不明のテキストが書かれたブランクページが挿入されており、一通りのテキストチェックすらされていない低コスト体質の出版社なのがよくわかる。仕事があまりに粗雑すぎてあきれる気にもなれない。
アメリカのダンセイニ再販ものだと、WILDSIDE PRESSから出たものが日本のダンセイニマニアの間で購入されていることもあるが、紙の品質が低く、印刷も荒いのであまり評判はよくないが、さすがにブランクページ挿入までやることはないので、いま思えば、良心的な出版社なのかもしれない。
ともあれ、ここ数年で大量にデータベースに登録されたダンセイニのブックオンデマンド仕様がまったく信用ならないのは判りきったことだったのだが、身をもってそれを体験することとなった。まあ、ブックオンデマンドだろうがなんだろうが、将来的にはすべてのダンセイニ刊行物を集めるつもりなので、ブックオンデマンド部門の購入の先駆けとして意味はあったのかもしれない、と自分を慰めておく。