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2008年12月21日(Sun)

[]無償の善意が現場にとって悪意とされるストレス

「おせっかいな人」の孤独 (内田樹の研究室)

このエントリを読んで自分が長らく関わってきた印刷業界について考えさせられた。印刷業は完全な受け身の受注産業です。そして基本的に一定水準の生産設備と生産スキルのある印刷会社は商品の品質に差がありません。それ故、他社との差異化には「値段を安くする」か「安心をして発注できる」という二つしかポイントがありません。印刷通販会社の差異化は多面付による「極端な安値」です。インターネットというインフラで仕事をたくさん集めないと激安価格で利益を出すことは出来ません。

一点あたりの受注金額が激安であることの弊害

薄利多売のビジネスモデルでは安さとトレードして顧客に保証するサービスは限定的にしないと成り立ちません。率直に言うとクレーム対応で返金処理をしてしまうと、あっという間に10受注分ぐらいの利益が無くなってしまいます。そのリスクヘッジとして利用規約はかなり顧客の要求権を封じるような記載になってしまいます。要は「これだけ安いのだから細かい対応は保証しません」と宣言しているのです。

それでも

長年この業界にいて、顧客本位の営業をやってきた身としては染みついたものは取れません。やっぱり”完全データ入稿をお客様の義務”と宣言していても、微妙に解像度が足りない写真を使っているお客様や、塗り足しの確保を忘れているお客様には全て電話対応しています。そんなの当然だと思われるかもしれませんが、利用規約を超えてのお客様への確認をするだけのコストも無いほどの安売りをしているのが現実です。それでもコストを度外視した無償の善意の提供の積み重ねが固定客の増加に繋がると,特に私自身はそう確信してこの二年やってきました。

新しい業態のハズの印刷通販も印刷業の呪縛からは解放されない

しかし、無償の善意の発露が逆に利益を逼迫しがちなのが現実です。内田先生が仰るところの「おせっかい」に現場からは排除圧力がかかります。クレーム回避の為の「おせっかい」と無償の善意の発露であるところの「おせっかい」の線引きが難しいのです。私は、長らくの旧弊からどうしても線引きのラインを顧客よりにして、現場を怒らせてしまい,無償の善意が悪意ととらわれることが多すぎて、これが何よりものストレスです。

印刷業界のジレンマ

私のストレスの問題は,実は印刷通販に関わっているが故の問題ではなく,印刷に関わる人すべての問題です。顧客・営業・現場・経営の軋轢は誰もが体験しているでしょう。この業界が構造不況といわれるのと、あまり人から羨まれる職種ではないのは、この問題に集約されるのかもしれません。印刷通販業にて一定の顧客を確保した印刷会社は、そうでない印刷会社からは羨まれたり嫉妬されることも多いのですが、基本的なところでは一緒なんです。当たり前ですが気楽な稼業はありません。印刷に関わっていると特にそうです。