1176390362[樋口直人]


梶田孝道、丹野清人、樋口直人著 「顔の見えない定住化」(名古屋大学出版会,2005年)

第3章 移住システムと移民コミュニティの形成―移民ネットワーク論から見た移住過程―

【まとめ】


移住とは…安価な労働力需要に対する自発的従属??
     制約された機会からの「退出」?(Hirschman)
     単なる従属ではなく、「抵抗」という能動性も併せ持つ(Constable)

1.理論的前提
 ・移民ネットワークと社会的資本
  移民ネットワーク:個々の移民が利用可能で、移住過程に影響を及ぼす社会関係の総体
           =移住システム(移動局面)+移民コミュニティ(居住局面)
     鄯.移住過程の発生と展開の前提となる存在
       …送出地域と受入地域を接合する
     鄱.単なる個人的なつながりのみならず、各斡旋組織や交流協会、支援組織も
       そのようなネットワークの構成要素となりうる

  社会的資本(社会関係資本:social capital):ネットワークその他の社会構造に
       帰属することを通して得られる利益を確保する能力(Portes)
       …人的資本(個々人の学歴・技能)、経済的資本(カネ)に代わり、
        資源をもたらすもの(コネ)
       →社会的ネットワークにおいて持続的な関係が維持される(「信頼」される)
        ことによって形成

 ・移住システムと移民コミュニティ
  移住システム:移住を促進し、またその規模と移住先を決定する社会的ネットワーク
    移住ネットワークの2形態
     ?相互扶助型移住システム  「互酬」に基づく資源取引
     ?市場媒介型移住システム  「市場交換」に基づく資源取引

    ?…特定の相手との相互扶助関係―社会的資本の源泉になる
    ?…貨幣を介した任意の相手との取引―社会的資本の源泉となりにくい

  移民コミュニティ:移民特有のニーズに基づく制度が発達した社会空間
    →どのように形成される?=「誰」が「どのように」資源を提供するのか??









顔の見えない定住化―日系ブラジル人と国家・市場・移民ネットワーク

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