チリの風   その561  2014年1月27日―2月2日

毎週、同じことを書いていますが、今週も楽しく生活できました。
ラス・コンデス区役所のジャズ祭りがありました。今年で10回目。 夕暮れの野外劇場に座ってジャズを聞くのは最高の幸せ。満員の観客の前で、日本人がプレー。石黒明(あきら)カルテット。リーダーの彼は作曲とギター担当。流ちょうな英語で話しましたが、「皆さん相撲って知っていますか、次の曲はその相撲をテーマに書きました」
そんなの誰が分かるの?曲の終わった後、私は日本語で「明、最高!」と大声でどなりました。まぁ、つきあいやん。
プロビンシア山の第2展望台に仲間と登りました。日本人会の仕事もしたし、郊外ロンケンの現場の仕事も楽しみました。
土曜日は日本人学校のバザー。毎年の楽しみです。本を何冊か購入。
日曜日のマラソン練習は8名の参加。メンバーの子供たちは漢字検定で来れず。私は峰村さんと競り合って10キロを走りました。
 

(政治)

1) ペルーとの領海問題
予想された通り、現在のチリ領海の一部がペルー領海に変更になりました。チリが失った海域の面積は22500K2です。両国がそれを受け入れて、いつから変更になるのかはまだ決定されていませんが、ペルーがこの裁判で勝利したことは明白。16人の裁判官の中で6人は現状維持を表明しました。あと2名、それに続いていれば、変更なしのチリ全面勝利だった由。                
その判決のすぐ後にラテンアメリカ・カリブ会議がキューバで開催されピニェラはバチェレットを加えて参加、現地でペルーのウマラ大統領と面談しています。
2012年から2014年までの間に12隻のペルー漁船が領海侵犯で拿捕されアリカに係留されていますが、この新領海になればそのうちの4隻が領海侵犯になり、残りの8隻は正規のペルー領海での操業となっていた由。次回、チリの漁船がペルーに拿捕されると大ニュースになりますね。
領海のほかに海岸に面したサッカー場3面くらいの土地についても両国が自国の領土と主張していますが、これは採決に入らず。チリ・ペルーの同意事項では意見が異なる時はアメリカ大統領に相談するとなっている由。どうなるのかな? 近い将来に両国の外務大臣・軍事大臣が集まってこの問題について協議することが決定。どんな会議になるでしょう。
ペルーとの争いが終われば、次はボリビアとの戦い。チリは厳しい年月が続きます。しかしいつも守勢に回るのではなく、一度アルゼンチン相手にパタゴニアを不正に取られたと訴えてはどうかな。

2) バチェレット人事
教育省の次官に任命されたキリスト教民主党のペイナノは教育に長い間、携わってきたベテランですが、急に矢面に
立たされています。と言うのは彼女は以前に、教育の無償化は賛成できないと発表していたからです。共産党から今回議員になった、元学生運動代表のバジェホは、公式に私は間違っていましたと言わない限り彼女はその職に就くべきではないと強気の発言。新与党内で彼女の去就が注目されています。新内閣が発足する前に人事問題ですね。
バチェレットはまず大臣を発表、次いで各官庁の政務次官、そして最後に各州の長官を発表しました。彼女と各官僚は今週から2週間の休暇に入る由。

(経済)

1) チリ経済
銅の価格はやや落ちましたが、落ちたと言っても3.3ドルが3.2ドル。ほとんど変わりません。しかし為替の問題ではペソはさらに下がって1ドル554ペソ。
チリ株式市場は1月に7%も下げて2008年以降で最悪のスタート。日本も8.5%の下げですね。
2013年の失業者数は平均5.9%と悪くありません。ピニェラ政権の4年間で98万人が新たに仕事を得たとか。
3週間も継続していた港湾労働者のストは終わりましたが、チリ港湾を運営する権利を持つ会社が、義務を果たしていないと輸出業者がクレーム。この先のスムースな港湾運営のため何をしなければいけないのか議論に入るらしい。毎年ストなんかやめてほしいですね。
2) 家屋税  
2006年以降行われていなかった実地調査が終わり、国税局はその結果を発表しました。それによるとチリの家屋の78%は税金を払う必要がないとか。2月中に、結果が各家屋のオーナーに通知されますが、それで家屋税が上がるか下がるかが分かります。私の所は・・・・上がるやろな。
しかし心配されるのは国民の負債の増加で最近5年間で大幅に上がっている由。2012年にはチリの68%の家が借金を抱えているとか。もっとも日本政府の1000兆円負債とは重みが違いますが。日本の負債は毎年急上昇ですね。単年バランスも赤字だし、負債返済の可能性はあるのかな。

(一般)

1) 夏のバケーション
1月2月がチリでは夏休みのシーズンですが、1月のホテルの利用率が発表になりました。一番空室が少なかったのは第12州のプンタ・アレナス、マガジャネス海峡地区でした。何しろ90%とか。観光客の数は6万3千人。2位は第4州のラ・セレナとコキンボ。83万人の観光客でホテルの利用率は84%。3位は第8州のラハの滝で83%。私たちが先日訪問したチロエは第10位で72%。確かにいくつものホテルが満室でした。
しかしチリ観光業界は2014年をうまく始めましたね。
2) 麻薬関連
アリカを歩いていた二人の若者を警察が訊問したらしい。理由はこの暑い夏に服をびっちり着ていたので。なんと驚いたことに二人の体にドル紙幣が巻かれていて、その数が約65万ドル。もちろん、即時に警察署に連行されました。
地方裁判所で出た判決はお金は押収するが二人は釈放されるでした。まるで私の小説の世界ですが、麻薬の世界はすべて現金。その二人は麻薬業者に頼まれて現金輸送の仕事をしていたわけですね。バスでボリビアに入る予定だったとか。
彼らはアントファガスタから来ていますが、もうそこには帰られないと泣いているらしい。戻ればすぐに消されてしまうかな?
3) ピューマ
札幌市内にクマが出ると言うのは昔からありましたが、サンティアゴ市内にピューマが出ました。ある家の台所で音がするので犬でも入ったのかと見ると、なんとピューマ。あわててドアを閉めて警察に連絡。大騒ぎの後、捕獲して動物園に。しかし南部のテムコなら森から出てくることがありますが、首都のここは自然にはピューマはいませんね。どこかの家に飼われていた動物が逃げて入り込んだのでしょう。
4) マプチェ問題
アニータの母親が第9州テムコ近くの村に親戚を訪ねて訪問中ですが、彼女の話では毎日のように山火事が起き、広場に停めてある警察のヘリコプターが消火に当たっているとか。火事の原因はマプチェ族の放火と言われています。たまりませんね、こんな話。

(スポーツ)

1) テニス
デービスカップが始まりました。昔なら、テレビも新聞も飛びついたのですが、最近のチリの低レベルではほとんど話題になりません。チリ人プレーヤーが世界のトップ10に入っていたころはデービスカップも世界レベルでしたが、今では下がりに下がって世界の3部リーグで相手はバルバドス。最初のシングルに出た向こうの選手はATPランキングに入っていないとか。それがなんと2対3で敗戦。次回は3部リーグを守れるか4部リーグに落ちるかの情けない試合とか。もうプロじゃないですね。アマの世界。
2) サッカー
南米でクラブ別の大会では一番重要なリベルタドール杯の予選でチリ大学はパラグアイグアラニにホームで1対0の勝利。来週敵地でもう一度対戦し、その結果でカップの正式参加資格を得ます。リーグ戦はコロコロが勝って首位を守りました。先週トップだったパレスチーノはカトリカに負けました。

以上