チリの風  その607 2014年12月15日―21日

いつものように山歩きをしました。第1展望台まで。雨が降らないので下草は枯れてしまい緑がありません。サボテンの花がもう少しで咲きそうです。その日は山歩きの間、誰にも会いませんでした。森の中で仙人のような生活も憧れていますが、下界にいる間は他の人のためになるようなことをしたいです。今週も楽しかったです。
サンティアゴの週日は連日30度を超える暑い日でしたが、週末に崩れ、土曜日は小雨になりました。日曜日のマラソン練習のときも霧雨が少し。それでも12名の仲間は諦めずコースを走り切りました。そのあとアンデス会の月例会に参加。これからの日本人会をどう支えていくか議論しました。どうなるかな来年のチリ日本人会。

(政治)

1) チリとボリビアの復縁?
しかしあっと驚くニュースでしたね。アメリカとキューバが復縁するなんて。チリ共産党の国会議員が「キューバの勝利です。喜ばしい知らせ」と言っています。
そのすぐ後に、与党のDC党党首がそれならチリとボリビアも昔のように大使の交換をすればよいのではとコメント。
アメリカのこの発表の前に、オバマがCIAの拷問事件を暴露しました。それらを合わせて考えるとこれは彼にとって最後の切り札だったのではないかと思います。おバカと言われるほど人気の低いオバマにとって次の大統領選挙で民主党に勝たせるにはこの作戦しかなかったのでは。CIAの拷問事件は自国の恥さらしですが、「それをやったのは共和党のブッシュ、民主党はそれを退け、世界の平和のためにキューバと国交回復」こういうストーリーでしょうね。もっとも次の候補者ヒラリーは共和党以上に好戦的と言われますが。
じゃチリもボリビアと大使交換をしましょうと言い出すかな?ラテンアメリカ・カリブ連合(ALBA)がボリビアの海問題で一方的にボリビア支援を打ち出していますが、キューバ、ベネスエラ、エクアドルなどの国は、チリより同盟国ボリビアが大事なのは当然ですね。天然ガスなど鉱産物の輸出が国家収入の80%を占めるボリビアは昨今の価格減少で経済ピンチです。
2) 選挙資金問題
右翼UDI党の多くの議員が銀行から怪しい選挙資金を受け取った件が問題になっていますが、そのUDIが逆にバチェレット大統領の選挙経費に疑惑があると訴え出ました。政府側は疑惑の引き換えで引き分けにしようとする作戦だろうが、当方にはやましいところはないとし、問題を選挙管理委員会に預けました。その結果は「全く怪しいことはない」でした。ホンマかな。
ところで与党の中でどうして閣僚の交代がないのかバチェレットの考えが理解できないとするグループが出ています。
前大統領のピニェラが新聞のインタビューとテレビのインタビューでバチェレットを激しく攻撃。「この半年でチリの勢いは大きく変わった。新税法で新規投資が激減し、消費者にもマイナスイメージになって消費に陰りがで、すべてが後ろ向き。彼女はこの動きをどうやって変えるか考えているようには見えない。大蔵大臣も前政権が悪い、世界が不景気と責任を転嫁しているが、チリの環境は昨年より悪くないと自分は考える」
もちろん政府側は、「彼が次期の大統領候補になりたいのはよくわかる。つまり候補者として私たちを攻撃しているわけで前大統領としての見識でコメントしているのではない」と冷たい対応。

(経済)

1) 労働法の改正
工業連盟のトップが、今回政府が準備している労働法改正案は先の新税法よりも大きなマイナス影響を企業に与えると警告しています。12月29日に国会に提出されるこの案件は企業側から言わせると会社・労働者にはネガチィブで、労働組合だけが権利を得るとか。共産党員のフィゲロア労組委員長は「私は労働者の皆さんのために戦っています。政府から法案が提出される前に脅しをかける経営者のやり方は納得できない」とコメントしています。
2) 原油価格の変化
100ドルから大きく下がっていますが、この先どうなるのか誰もわからないでしょうね。8週連続でチリのガソリン価格は下がっていますが、来週の木曜日にさらに17ペソほど下がるとか。
私はサウディアラビアがアメリカと争って、シェールガス叩きに原油価格ダウンを図ったと見ていましたが、今はそうではなく、全く逆にアメリカとサアウディアラビアが組んでロシアつぶしを図っていると見ます。どうかな?  銅の値段は3ドルの下で右往左往。年初は3.4ドルくらいでした。その他の価格では鉄が銅以上の下落で年初トン当たり133ドルだったのが91ドル。しかし魚粉はトン当たり1347ドルだったのが1922ドルに上がっています。セルロースも上がっているので、新聞には2014年はチリにとってそれほど悪い年ではなかったとなっています。
ペソの為替は6年ぶりに620ペソを超えるところまで下が りましたが、金曜日は612ペソまで戻りました。年初の1月頃は520ペソくらいだったのですが、大きな変化ですね。
さぁ、来年の経済成長はどうなるのでしょう。南米平均は2.8%。チリの予想数字はちょうどそのあたりの2.5―3.5%です。

(一般)

1) イスラム
シドニーの喫茶店イスラム過激派が人質を取って立て籠もった事件がありましたね。そのイスラム過激派のシンパを増やす動きが欧州で盛んですが、スペインでチリ人の若い女性が逮捕されました。彼女はビーニャ出身で16歳の時、家族とスペインに渡りその後帰国はしていません。向こうでモロッコ人の男性と知り合い、子供が生まれましたが、そのあと怪しい運動に入ってしまい、今回過激派グループのメンバーとして逮捕されたもの。
2) サンティアゴの高速道路通行料
来年から平均10%ほど値上げになるそうですが、時間・場所によっては大幅値上げが待っているとか。たとえば街の中央部で朝のピークには現在の480ペソが1051ペソに上がるとか。会社がそれを払ってくれるサラリーマンはともかく自営業の人はきついですね。

(スポーツ)

1) サッカー
前期リーグ戦は終わっていますが、その上位チームの中から来年のリベルタドル杯に参加するチームを決める戦いでパレスチーノが勝ち、35年ぶりに南米大会に参加。チリから参加するのはチリ大学、コロコロとパレスチーノです。
チリには外国関連チームとしてスペイン、イタリア、パレスチナの3チームが1部リーグに参加しています。


以上