チリの風    その800  2018年9月10日―16日  

   
18(ディエシオチョ)が近づき国中がお祭り騒ぎです。
今週のトレッキングは久しぶりに郊外のカホン・デル・マイポに行って、前回と違うルートを歩きました。町に戻って公園の角の喫茶店でコーヒー。いつもと同じです。公園でクエッカの練習をしていました。
土曜日は登山教室でしたが、朝、霧雨になったので中止になりました。たまにはそういう運が悪いこともあります。夕方、小雨になりました。
日曜日はマラソン練習。仲間に引っ張られて10K完走。良かった。

しかし今週のチリの風は「その800」です。ここまで来るとは思っていませんでした。感慨深いものがあります。でも900号はどうかな?後2年は無理かも。その頃どこにいるかな?今の計画ではパタゴニア移住です。もちろん計画倒れと言うこともありえますが。

(政治)

1) ピニェラ動向
45年前、軍事革命の起こった問題の9月11日、モネダ宮殿で式典を行い、彼は次のようなスピーチをしました。「私はどんな状況でも人権問題を無視することは容認できない。しかし、その時期にチリの民主主義は大きな問題をかかえていたことも事実だ」と軍事革命を正面から非難せず与野党両方に顔を立てるよう立場を示しました。
モネダ宮殿前広場の東側にアジェンデの記念像が立っていますが、左翼側は花束を並べ思い出を新たにしました。社会党系のPSとPPD党がその記念像の前で集会の後、アジェンデがなくなった部屋の扉に花を飾りました。         
公園をはさんでモネダ宮殿の反対側に建つビルの事務所で1980 年から10年以上仕事をしていました。モネダ宮殿の前を毎日歩いていました。近くのビルに銃撃戦の弾の跡が残っていました。
このようにそこで左翼政権と軍隊の激しい戦いがあったことをいつも感じていました。
チリの会社で働いた時に、上司・同僚・部下にその日のことを聞きました。一人は、「私は、その時21歳で、軍隊に入りイキケにいたが、上司の指示で銃を持って地区を見回り、反政府運動があれば発砲しても良いと言われた」また「外出禁止令が出て会社から自宅に戻ることになったが、バスが来ず、普通1時間のところ半日もかかり泣いてしまった」「品物がないので困ったと良く聞いたが、なんでも闇市場があって、金さえ出せば、トイレットぺーパ−でも卵でも何でもあった」
昔はその日の前後にデモがあり左翼グループと警察が銃撃戦と言うのが普通だったので、毎年、市民は緊張しました。今年も小さな衝突はあったようですが、ほとんど話題にもならず。つまりこの問題が風化しているのが感じられます。
当時は反軍事政権が私の基本的な考えでしたが、その後の世界の左翼政権の多くの失敗を見て、右も左も同じと言う風に変わってきました。

2) キンテロの大気汚染
政府の無能ぶりが明らかになりました。環境省が先日、現在の汚染状況は規定の中ですと発言しましたが、二つの大きなエラーをしていました。
先ず、チリの規制(警戒警報、非常事態宣言)の数値は欧米・日本より低く、何と汚染問題で有名な中国より軽いものでした。つまり欧米基準なら操業規制になるのに、チリでは自由に操業が継続されていました。もう一つは汚染状況は時間によって違うのに、チリ政府は一日平均数値を規制に使用していました。例えば、子供の通学時に規制を大きく超えた汚染状況があっても翌日に、昨日は汚染状況は通常でしたと発表されていました。
確かにバチェレットもピニェラもこの問題に対するレベルの低さが明らかになっています。その女性大臣はテレビの番組で地区の住民と共に戦っていきたいと意味不明のコメント。その番組の中では、政府・環境省のエラーは取り上げられません。これは政府がこれ以上、この問題を取り上げないようマスコミに頼み込んだのではと思いましたが、そんな方法で問題解決は不可能ですね。週末の特別番組にも取り上げられません。でもどこかから歴代政府のエラーが暴露されるでしょう。
ただ該当地区の魚の汚染は問題になっておらず漁業組合の反対運動は報道されていません。
同地区のホテル・レストランなどは、この問題が大きく取り上げられるようになってから、売り上げが今までの90%も減少したとか。壊滅的ですね。
3) 国会の動き
先ず性変換法案が成立しました。年少児の場合、親の同意があれば戸籍の名前と性別を変えられます。例えば女性でマリアだった人が性別を男性にして名前をマリオにするとか。成人の場合、親の同意なく本人が手続きを開始できる由。
この法案が成立した背景に与党の分裂があります。与党(右翼)は今まで同性婚とか性別変更に反対していましたが、ここに来て柔軟な対応をする議員がでたからです。与党のRN党の党首は各議員の声を尊重する為、私は自分の意見をコメントするのを控えたと言っています。最右翼UDI党員でこの法案に賛成した議員は「もしピノチェットが健在ならお前を捕まえ殺していただろう」と言う脅しを受け取ったとか。
それから対司法の結論がでました。一部の裁判官の「人権問題で有罪になった軍人を優遇する」判断を疑問視してたわけですが、国会で彼らへのクレームは認められませんでした。64対73票でした。
その議論の後の議員のコメントですが「三権分立だから当然の結論だ」「被害者か加害者のどちらの側に立つのか」「人権問題の歴史的な責任を国会は未だに果たしていない」
チリが大きく2分されていることが分かります。   
4) 外務大臣のアジア訪問
先ず中国を訪問し、自由貿易の堅持を強調。米国の保護主義では世界の進歩は無いと確認。中国側もチリとの協調関係は進んでいるとしました。その後、日本訪問の由。
5) バチェレット動向
国連人権委員会メンバーとして彼女はベネスエラ外相と面談するとか。またニカラグア政権にも国連機関として住民の生活不安に関し苦情を出しました。
チリのUDI党はバチェレットは良くやっていると褒めまくり???チリ共産党はバチェレットのコメントを非難する声明を出しましたが、彼らのベネスエラに関しての基本見解は「他国への内政干渉は止めましょう」ですから。
6) ボリビアの海
オランダのハーグ国際法廷でボリビアがチリを訴えている裁判の結審が10月1日に行われることが発表されました。どんな結果になるかな?

(経済) 

1) 大蔵省は2018年の予想として国民総生産は3.7%の上昇。銅価格は2.8ドルとしました。予想は当たるかな?
2) 銅価格と為替
ポンド当たり2.7ドルと低め安定。1ドルは685ペソと700ペソを越えることは無く、落ち着きました。
3) 物価指数
ペソが対ドルで弱くなっていることと、食品価格の上昇から9月と10月のIPC物価指数は0.5%アップになるだろうとされました。

(一般)

1) ディエシオチョ
月・火・水の3連休に週末を加えると5連休になり国中が大騒ぎですが、それは平和・繁栄の象徴で喜ばしいことです。なんでも首都圏から60万台と言われる車が郊外にでるとか。このため高速道路の料金徴収所で長蛇の列。土曜日も日曜日も運転手がクラクッションを鳴らして抗議。いつものことですね。戻りも同じことが起こるでしょう。交通事故は土日の2日で18人が死亡、昨年の10人を大きく超えています。
この建国記念祭りで1家族平均20万ペソが消費されてる由。各地で屋台が集まったフォンダが開かれ市民がそこで飲食を楽しみアルコールを飲んでからダンスを踊るわけです。
2) カトリック
またカトリックの事務所に検察の手が入りました。数カ所です。まるで日本で犯罪組織のxx組関係者を追いかけているようです。どこかの司教がにっこり笑いながら一市民として検察に協力しますとコメント。ほんまにアホやなと思いました。そのコメントをするときは涙ぐみながら、信じられない事態ですと言うべきでしょう。
ローマ法王クリスティアン・プレッチを追放しました。彼は軍事政権時、人権保護の運動を行い、カトリックとして左翼運動家を援護し有名になりましたが、年少児の性的問題が明らかになり追放処分になったもの。
さて今日プロテスタントは1年で最も重要なミサを実施しましたがテレビの中継はなくなりました。ただケーブルTVで一部の報道はされました。
去年のこのミサで、出席したバチェレットを批判する信者が多く出たのを思い出します。性変更法案が成立したことから与党各政党の党首は喧噪を避けて全員欠席とか。ピニェラ夫婦は出席していました。
教会内ではもめませんでしたが、外ではピニェラは嘘つきだと書いたパンフレットを持ってデモ隊が抗議しました。
こうして一般市民の宗教心が薄れていくでしょうね。
3) 商業捕鯨
日本が捕鯨を開始すると言うニュースが流れますが、もちろん基調はそれに反対すると言うものです。日本批判が多くなりそうです。

(スポーツ)

1) サッカー
火曜日の朝、チリ対韓国戦がありました。アメリカップ2連勝のチリはアジアの中クラスの韓国に0対0の引き分け。
その試合のテレビの中継を全部見ましたが、レベルが低くてがっかり。もちろん新メンバーを育成中と言う意見もありますが、今のチリのレベルは世界的には低いですね。


以上