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二面楚歌 断章

2015-07-12

伊東屋新店舗再訪

そろそろ落ち着いたのではないかと出かけて見た。

どうにかしようとしている形跡は見られるのだけれど、どうにもならない、どうにもなっていない虚無と絶望だけが、そこにはあった。

パンドラの匣の底にすら希望はあったが、それすらだにも無い。


一階は相変わらずの人込み。 海外からの観光客の多さを耳から感じる。


エスカレーターで二階「SHERE」へ。

熨斗袋や便箋・封筒などか並ぶ階。

エスカレーターで上がった客はまずこの階から見るので、常に混み合っている。

前回来たときと同じく、陳列してある棚にも商品の見えるところにも価格が表示されていない。 そのため客は手にとって裏返して見なければならず、それが客の数だけ繰り返されるので殆どの商品の陳列は乱れており、したがって店頭にある在庫商品の殆どにも、誰かが触れた形跡がある。

店頭在庫の一番上だけならまだ良いのだけれど、封筒の棚などは一番下まで乱れている。 手垢の付いていないものを見ようとして棚に戻した結果だと思われる。


三階「DESK」、筆記具や事務用品などが置かれている。

ファイルが陳列されている棚が余りにぐちゃぐちゃなので悲しくなり、直していたら通りかかった店員に謝られた。

仕方が無いのだ。 レジには行列が出来ており、時折通りかかる店員も客からの頼まれごとや探し物で手一杯。 乱れた棚を直している余裕は精神的にも時間的にも無い。 明らかに手が足りていない。


四階「MEETING」、ノートやルーズリーフなど「書かれるもの」が並ぶ。

大通りに面した側にオーダーメイドのノートを作れるところがあるのだけれど、窓口の担当者が居なくなるくらいに、こちらも手が足りていない。

レジには行列が出来ているのだけれど、旧店舗や仮店舗の時のように明確な導線が示されておらず、自主的に並ぶ客のモラルでどうにかなっている状態。

見てくれ重視の店舗設計のツケが店員にも客にも回ってきている。

棚面積が限られているところに多様な商品を納めなければならないので、同じ種類でサイズの異なるノートを重ねて陳列。

少ないスペースを生かそうとする苦肉の策ではあると思うが、大きなサイズのノートが欲しい客の側からすると、上に重ねられたノートは邪魔以外の何者でもない。

初老の男性が下からA4のノートを二冊無理矢理引っこ抜いて、ぐちゃぐちゃになった棚はそのままにレジへ向かう。

仕方が無いので棚を直したが、別の客がやって来て、あっと言う間に元の黙阿弥。

直した棚を目の前でぐちゃぐちゃにされるのは気持ちの良いものではないが、それだけ客が苛立っていると言う事でもある。

私などはほんの数十分であるが、店員は日々そうしたことを経験している訳であり、無力感に襲われて乱れた棚に手を付けなくなっても不思議ではない。


五階「TRAVEL」、鞄や皮小物など。

店員がレジ以外にも常に居て、棚にも手を入れている。

ただ、手に取らないと価格が分からないようになっているシステムの弊害はここにもあり、荒れるのと直すのと鼬ごっこの感。


六階「HOME」、家庭用品のセレクトショップの趣。

ここにもレジ要員以外の店員は居るが、商品を手にとって使ってみるような陳列形態になっている為、矢張り手は足りていない。


七階「FINE PEAPER」、紙問屋の竹尾との協業で夥しい量と質の紙見本を陳列。

エスカレーターから降りた客が言葉にならぬ感嘆の声をあげるくらいで、壮観と言えば壮観。

しかし、この階も見えるところに価格表示が無い。

ポストカードや封筒のサンプルが纏められたファイルがあり、それを開くと価格表示があるのだけれど、ファイルの中に価格表示があることを示すものが店内には無い。


そしてファイルの中のサンプルも、よく手に取られるものはヨレヨレになりつつある。

これはまだサンプルだから良いが、他の階にあるファインペーパーの封筒やグムンド社の紙製品などは、商品そのものがヨレヨレになりつつある。

薄汚れてヨレヨレになった紙製品を喜んで買う客は居るだろうか。

私は厭だ。


八階「CRAFT」、旧パピエリウムに近い。

雰囲気として旧店舗時代の伊東屋に似ている。

紙の型抜きなどを実際に試せるのは良いが、ここも手が足りておらず切り抜かれた紙片が床に散乱。 客の靴で運ばれて階段まで紙くずだらけに。

ペーパークラフト講座のようなものが開かれていたので、そちらに人員が裂かれていたのかも知れない。

値札は表に付いているものと裏に付いているものが混在。

裏に付いているものの方がやはり乱雑になりやすい(されやすい)ようだ。


あまりに乱雑になってしまっているものについては直しながら各階を回ったのだけれど、そこで気付いたのが客の商品の扱い方。

品定めをする客と値札を見ようとする客では品物の扱い方が異なり、品物そのものを見ようとする客は静かに棚に戻し、値段をも見るために手に取った客は投げ捨てるように棚に戻す。

手に取らないと値段が分からない苛立ちが、客の振舞いに現れている。


こうした客の行動を観察して商売に生かそうとする取り組みは行われているのだろうか。

商品単価が高い五階から上にはレジ要員+αで人員が配置されているようだが、商品単価は低いが混み合っていて棚が荒れている四階から下にはそうした人員のゆとりはなく、客の行動など観察しても居られないように感じられた。


そう言えば、二階を見て回って三階に上がろうとエスカレーターに向かうところで一階から上がってきた客と鉢合わせ。 向こうは手にジュースを持っていたので、危うくこぼすところであった。


一階でジュースを売っている。 客の幾人かはそのまま持って上に上がる。 上は文房具屋である。 値段は手にとらないと分からない。 さて、どうなるか。

バカでも分かると思うのだが、どうしてこうなったのだろうか。


伊東屋新店舗の最大の問題は、「手垢のついていない商品が無い」と言うこと。

手に取らないと値段が分からないので、さほど興味がなくとも値段を確かめようとすると客は手に取らざるを得ない。

なのでどんな高価な商品でも、手垢にまみれている。


そろそろ売り物にならない店頭在庫も出てくるのではないか。

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