カネに基づかない経済

近頃というわけでもないけど、本屋でweb2.0関連の本が目立つ。
今更何を言ってるんだかと思うが、自分がそれを知ってからまだ1年も経ってない。
流行り廃れが激しくなったものだと思う。まあそれは良いとして非常に気になるのが、
「ビジネスに活かすweb2.0」みたいなやつ。web2.0仕事術とか。
いかに先手を打つか、いかに儲けるかみたいなの。なんなんだか。
なんというかそのすぐ仕事とかお金に結びつけたがるところが
せせこましいというか情けないというかけちくさいというか器が小さいというか、
まあそういう印象を抱いてしまう。今いろいろなところで起きていることに対して
その程度しか想像できないのなら仕方ないけど、そんなもんじゃないと思う。


まあ自分も数年前に梅田さんの本(今は文庫・シリコンバレー精神になってる本)の
リナックスの部分を読んでなかったら、いかに儲けるかみたいな考え方に特に違和感が
ないかもしれない。端末の向こう側への信頼とか単に楽しいからやるという姿勢とか
そういうことを知って、自分がこれまで知っていた世の中とは変わりつつある気がした。
当時は漠然としかわかってなかったけど、近頃けっこう形になってきた気がする。


まだ買ってないが未来学者のトフラーの本が面白そうだ。

富の未来 上巻
富の未来 上巻A. トフラー H. トフラー 山岡 洋一

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日経ビジネスかなにかで記事が出てたので、ちょっとメモってみた。

富の未来
金銭を介さないボランティアや自己完結型の日常の行為、無給労働などが、科学技術の進歩に伴って、実は金銭経済と同等以上の規模に膨らんでいくのだという。これによってまったく新しい市場が次々と開かれ、古い市場は消えていくと論じている。

カネに基づかない経済が年々拡大していることです。
消費者と生産者が一緒になって製品を作る動きが目立ちます。プロシューマーが急増しているのです。貨幣経済だけでなく、貨幣に基づかない経済にも目を向ける必要があります。貨幣に基づかない経済が貨幣経済に深刻な影響を与えているのです。この新しい構造の経済を革命的な富Revolutionary Wealth.
個人がプロシューマーとなり、貨幣ではない形の富を築き始めたのです。

この変化を理解できなかったら、いろいろとちぐはぐになってきそうである。
ビルゲイツの引退についてもこの流れで考えられる気がする。
虚をつかれ、感動したビル・ゲイツ「後半生」の選択
http://book.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u119.html

つまりゲイツはこれから先「本当の引退」に至るまで、六百億ドルから一千億ドルの運用資金のもと、年間三十億ドルから五十億ドル規模の拠出金で、世界中のプロジェクト群から選び抜いた慈善事業ポートフォリオ(医療、教育……)を組成し、個々のプロジェクトの成果を厳しく評価しながらポートフォリオを組み替え、投資対経済効果ならぬ寄付対社会貢献効果の最大化を目指すのだ。まだ誰もやったことのないスケールで、未踏の領域に彼は足を踏み入れていくのである。

アンカテ(Uncategorizable Blog) - 負けず嫌いの慈善
http://d.hatena.ne.jp/essa/20060712/p1

誰もが、とは言えないが、ちょっと頭がよくてガッツがあって運がいい人間なら、簡単に金を稼ぐ。大金を稼ぐことは、もはやエキサイティングな事業ではないのだ。実際、金を稼ぐことで、ゲイツの後を追っている人間はたくさんいる。
これからエキサイティングでチャレンジングなのは、金を使うことである。ゲイツは、金を使う側の人間としてのパイオニアになりたかったのである。
ゲイツは、おそらく自分の金が無駄になったりルーズな使い方をされたり無意味な使われ方をされるのは我慢ならない。慈善をするとなったら、目標を決め、そこに向かって全力で邁進する組織を作りあげた上で、一円たりとも無駄にせず、自分の金をそこにつぎこむだろう。
もともと、大量の頭のいい人間を組織化することにおいて、たぐいまれなる才能がある人間が、彼の長年の経験を生かして、「金を使う側」の組織を組み立てるのだ。

「ちょーちょーちょーいい感じ」の保田さんが立ち上げようとしている
プロジェクトもよくわかんないけどこういう流れの1つかもしれない。

当プロジェクトでは

労務を提供する人が一番偉い
アイデアを出す人が二番目に偉い
お金を出す人は三番目に偉い

そんな感じでイメージしています。ので、いわゆる株式会社とは異なる、むしろ逆かな…?

儲けようと思うと急にアイデアがでなくなるから
何か楽しいことをやろうというのがベース。
まあこういうことはある程度生活に困らないくらいのお金と、日々ある程度時間が
ある人だけが言えることであって、そうじゃない人には考えにくいかもしれない。
でもそれは各自が選んだ方法なんだから、変えられないわけでもないし
変える気があれば自分が好きなように変えれば良いと思う。
「残業してちょっと稼いで見栄を張って浪費して」
という思想とは正反対のところに位置するこの思想が個人的にしっくりくる。
人と会うときだって、ビジネスに役立つ人脈とか考えてるやつはつまらない。
この人面白いとか、視点が違うからいろいろ興味深いとかそれで良いと思う。