ダイアログ・イン・ザ・ダーク

神宮球場の近くの、とあるビルの地下の一室。ちょっと不思議なイベントに参加してきた。シンプルだけど、これまでに経験したことがない奇妙な体験だった。

ダイアログ・イン・ザ・ダークは、まっくらやみのエンターテイメントです。
 参加者は完全に光を遮断した空間の中へ、何人かとグループを組んで入り、暗闇のエキスパートであるアテンド(視覚障害者)のサポートのもと、中を探検し、様々なシーンを体験します。

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見ず知らずの人たちと共に、一向に目が慣れてこない真の暗闇へ足を踏み入れる。今回のテーマは「ぼくたちの夏休み」。よくある夏休みの光景だけど、暗闇のなか白杖片手に歩き回った。ちなみに、これは以前ほぼ日に取り上げられていたようだ。

なんとなく思っていたこと、そのまんまなのですが。
ちがう! ちがうんです。深度がちがうのです。
実際に行って、あの暗闇を体験すると、
行かなきゃわからなかったと、つくづく思うのです。

ほぼ日刊イトイ新聞 - ほぼ日ニュース

ことばにするとそのまんまだけど、違うとしか言いようがない。耳で聞き、鼻で匂いを嗅ぎ、手で触れることで体験する。見えないってことは、水があるとか、竹があるとか、自分が見つけたものを声に出して言わないと伝わらないわけで、何も言わないと自分がそこにいることすら伝わらないというのが、非常に新鮮だった。
そして、初対面なのに(物理的にも精神的にも)非常に距離が近づくのが興味深かった。手は2つしかないけれど、まわりの人とのコミュニケーションを通じて、何倍ものエリアをカバーできる。独りで手の届く範囲だけを知るよりも、協力してやった方がずっと面白い。
それから、目は全然慣れないからずっと見えないままだけど、だんだん何も見えないということが当たり前のように感じてきて面白かった。暗闇の世界ってのは寂しくつらいイメージがあったけど、案外普通なんだな、ただ見えないだけじゃないかと自らの体験を通じて理解できて良かった。
一番ショックだったのは終了直後。少し明るい場所に来て、椅子が見えたので参加者が全員座ったとき、視覚障害者のガイドの人が座れずにいたことである。今自分は当たり前のように椅子が見えて、座ったけど、それはついさっきまで不可能だったことだ。見えない世界があるということを、ずっと心に留めておきたい。暗闇の中で感じたこと、思ったことを忘れずにいたい。そして、この気持ちを誰かに伝えたい。
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