『いろは引写真薬局』 (1907)


明治末の写真に関する薬品名や技術を知る上で欠かせない基本文献『いろは引写真薬局』。
某所で3,000円ほどで入手。国立国会図書館にもあります。


 『いろは引写真薬局』
   1907(明治40)年7月18日発行、1円
   著述兼発行者 芦野(蘆野)敬三郎 (東京市芝区三田通町19番地)
   印刷人    田中勝次      (東京市日本橋区本町2丁目11番地)
   発兌所    淺沼商会      (東京市日本橋区本町2丁目16番地)


著者の芦野敬三郎は理学士で、『科学芸術 純正写真術』(博文館、1903/1910)『写真製版術全書』(淺沼商会、1904)という編著書もある人物。
数学関係の書物を多数ものしており、1896(明治29)年には『初等代数学教科書』を内田老鶴圃からやはり編著者として出版しています。

また、東京天文台国立天文台の日食観測隊にも参加していたようです。

1896(明治29)/8/9 北海道
 寺尾寿、国枝元治、水原準三郎、中野徳郎 (観測地:北見枝幸
 菊地大麓、芦野敬三郎、平山信 (観測地:厚岸)
 結果:曇
  http://solarwww.mtk.nao.ac.jp/jp/expeditions.html


「この書には一通りの写真術、写真製版術等にかかはる種々の手続を行ふ時に入用なる薬品(くすり)、材料(しろもの)を残らず書き集め一々その様子と学問上の性質と写真上の効果(ききめ)を示せり」(p.1)

とあるように、イの部「いんどごむ」から始まってスの部「すとろんちうむ塩」まで、その「略説」「効用」「試験」が記載されています。

さらに付録として「処方帳」「和英仏量衡表(写真用)」が掲載されています。
これもなかなか便利。


【参考リンク】

■淺沼商会 http://www.asanuma.gr.jp/