Lazycame/Finbegin
★★★
シスター・ヴァニラのアルバムが良かったので、最近はジーザス&メリー・チェイン関連の音源を聴き返している。その過程で手を伸ばしたのが本作。一応「レイジーケイム」というユニット名義になっているが、実質的にはウィリアム・リードのソロ・アルバムである。1999年に発売されて一度は発禁になった(裏ジャケに男性性器などがモロに写っていたらしい)が、2001年にアートワークを一新して再発している。掲載したジャケットは再発盤の方。
世評が最悪だったので全く期待していなかったのだが、おいらはかなり気に入った。そもそも、ジーザス&メリー・チェインの歴史とは、『Psychocandy』という本人達の意図しないところで名盤になってしまった作品に対しての敗戦処理の歴史である。で、スポーツなんかと違って敗戦処理の方が面白いのが音楽の素敵なところ。本作もその延長線上にあるわけで、面白くないわけがないのだ。
ジザメリのラスト・アルバムである『Munki』でも垣間見られた、ぼそぼそとした弾き語りが延々と続くだけなのだが、音はグダグダでもソングライティング自体はしっかりとしているので飽きる事はない。再発盤にはシークレット・トラックとしてシスター・ヴァニラの「Pastel Blue」の音源が収録されている(という事はウィリアム・リード主導で書かれた曲なわけだ)ので、別に彼の才能が完全に枯れ果てたわけでもないのだろうし。確信犯のシド・バレットという感じ。全12曲40分