John Doe/A Year In The Wilderness
★★★★★
ジョン・ドー、齢53にして狂い咲き。
Xがレコーディング・アーティストとしての活動を停止してからは地味渋ロック・アーティストとしての道を邁進してきたジョン・ドーだが、本作ではそこからの脱却に、つまりXの名盤『See How We Are』のさらにその先に到達することについに成功。(カントリー/フォーク風味の)ウェルメイドな「うた」が満載された瑞々しいロック・アルバムを仕上げてきた。
前作『Forever Hasn't Happened Yet』の路線を引き継ぎ、女性シンガーとのデュエット曲が多いのも好感で、しかも面子がエイミー・マンにキャスリーン・エドワーズにジル・ソビュールって、おいらを狙い撃ちかよ! 最高。特にキャスリーン・エドワーズとの息の合ったデュエットを聴かせる「The Golden State」はジョン・ドーのキャリアを代表する名曲だ。ジル・ソビュールとの「Darling Underdog」も良いなあ(しかも作詞・作曲はジョン・ドー&エクシーン・セルヴェンカ!)。
そういえば、「アンチフォーク」というジャンルは、ロック史的にはラッチがオリジネイターということになっているけど、ああいった音楽の根底に流れる「フォークとかカントリーってパンクみたいにシンプルで生々しくてクールだぜ!」という認識の形成においては、Xやブラスターズやリプレイスメンツといったオルタナ・カントリーのオリジネイターとなったアーティスト達からの影響の方が遥かに大きいということはもっと語られてしかるべきだろう(だからニッターズの『Poor Little Critter On The Road』は重要なのだ)。そういう意味では、アンチフォーク好きの方々も本作は必聴。ライアン・アダムスやウィルコのファンにも自信を持ってお勧めだ。全12曲35分。
John Doe - The Golden State (Acoustic Version)