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映画『シュガーマン 奇跡に愛された男』(監督:マリク・ベンジェルール)観賞。★★★★★。
素晴らしき哉、人生! 生き続けていれば、たまには良いことだって起こるというタフで優しい人生賛歌。事態の進展するきっかけが、ロドリゲスのファンが書いたCDのライナーノーツだってのも素敵じゃないか。たとえばこうやってブログを続けたり、CDのライナーノーツを書いたり、外に向けてアクションを行っていれば、時には奇跡が起こることだってあるんだねえ。こういう奇跡が起こる可能性が(ほんのわずかでも)あるから、人生は面白いんだっつうの。
ドキュメンタリー映画としては、あくまでも南アフリカ側の視点(=ロドリゲス・ファンの視点)に絞って描いているのが非常にクレバー。「自分達の世界を広げてくれた、海を隔てた遠い国のミュージシャンへの深い敬意・愛情」は日本の洋楽ファンの目線とも自然に重なってくるし、だからこそロドリゲスの音楽の素晴らしさがしっかりと伝わってくる作品に仕上がっているのだと思う(本作のサントラがロドリゲスのベスト盤的内容なので、興味がわいたらまずはそこから聴いてみるよろし)。大必見の大傑作!
映画を観た後で考えてみると、ロドリゲスの「自殺」にまつわる伝説は、彼が70年代末〜80年初頭の一時期だけ音楽シーンに復帰してオーストラリア・ツアーを行ったことに端を発しているのではないだろうか(南アフリカほどではないものの、オーストラリア/ニュージーランドでもかなりの人気があったらしい)。また、この映画で描かれている以降の話ではあるが、ナズの「You're Da Man」(2001年発表)で、この映画のタイトルにもなったロドリゲスの代表曲「Sugar Man」がサンプリングされていることも付け加えておきたい。