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映画『ママの想い出』(監督:ジョージ・スティーヴンス)観賞。★★★★。
とっくに観ているものと思っていたら、それは同じくアイリーン・ダン主演の『ママのご帰還』の方だった*1。30〜40年代に軽妙洒脱な娯楽映画を連発していたジョージ・スティーヴンスは、第二次世界大戦を経験したことによって重厚な人間ドラマを撮るようになっていくわけだが、1948年に公開された本作はその過渡期にあたる作品といえるだろう。「清貧」を繊細に描いた家族ドラマで、傑作『アンネの日記』はこの延長線上にある。とはいっても、戦前の作品群にあった軽みがなくなっているのが個人的にはやっぱり不満なんすよ。ちなみにおいらが選ぶジョージ・スティーヴンスのベスト3は『有頂天時代』『希望の降る街』『The More The Merrier』(『歩け走るな』のオリジナル!『悪魔とミス・ジョーンズ』の主演コンビ、ジーン・アーサーとチャールズ・コバーンの再タッグ作!)なのでそこんとこよろしく。
余談だが、小津安二郎は当時のハリウッドの人情コメディから強く影響を受けていて、たとえば『東京物語』の元ネタがレオ・マッケリーの『明日は来らず』であることはよく知られていることだけど、本作なんかからも大いに影響は受けているんじゃないだろうか。ジョージ・スティーヴンスはレオ・マッケリーの直接の弟子にあたる人なわけだし。