パラダイス鎖国つれづれ

国連フォーラムメーリングリストでの投稿でパラダイス鎖国という言葉があることを知り、言葉のもととなったブログを読んでみたら、これがおもしろかった。シリコンバレーでIT企業をやっている海部美知さんという方が書いているのだが、半年も前のものなので、既に知っている方も多いかもしれない(上の「ブログ」のところからリンクで飛べます)。


ちょうど日本にいる友人とそんな話をしていたところだったので、メールでこのブログを紹介して感想を書いていたのだけど、以下、自分の備忘録のためにここにも貼っておきます。

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鎖国産業の例としての携帯の話がおもしろかった。


戦後の復興からアジア通貨危機に至るまでの時期に東アジア(日本・韓国・香港・シンガポールとそれに続くタイ・インドネシア等) が目覚ましく発展したアジアン・ミラクルは、アメリカのワシントンを中心とした政界やIMF世界銀行などの国際金融機関が推奨する自由市場主義による発展理論(ワシントン・コンセンサス)に対する大きな反例だと言われているのだけど(発展したこれらの国では政府介入型の輸出奨励、優遇産業政策だった)、未だ旧国営企業のもとで国内の足並みを揃える日本が世界市場を捨てる結果となって、市場主義信奉の強いアメリカでは市場メカニズムによる取捨選択に時間を割いている間に、国策で指導力を発揮した韓国にメーカーシェアを取られているのだから、なんだか皮肉。一方で、アフリカにいる友人は、指導者のリーダーシップが強くて、ふっと沸いた話に急に制度が変わるような国は、本当に投資に向いてないと溜息をついていたし。自分の職業柄、政府と産業のあり方ってなんなんだと考えさせられます。


また、ブログにルワンダの話が出ているけれど、ルワンダに赴任している先輩によれば、いまのルワンダは紛争は一段落して極めて平和なんだとか。未だにルワンダ=虐殺と民族紛争の戦国時代 と思っているってのも日本人の鎖国の表れかもしれませんね。アメリカ人もそうだけど。

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ついでに、その国連フォーラムでの投稿へのレスとして、法政大学の方が、「小生が1年ほど前に帰国したときには表題のように日本は「パラダイス鎖国」の国のように見えましたが、最近私が感じている日本は「悲壮感深まる鎖国」の国です。日本は世界でも数少ない裕福、公平で法の支配に徹している優等生でありますが、政府そして国民が自国の抱えている問題の難しさに悲壮感を感じており、他の国のことを考える余裕がなくなってきているように思えます。貴殿や多くのUNフォーラムの会員のように日本を外から観れば自信と勇気そして「ゆとり」も出てくるでしょう。そして世界平和と開発に貢献する意欲も沸いて来ると思います。」とコメントしておられて、興味深かった。半年後に日本に帰ったときに、私はどう感じるのか。