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読書の記録

松岡圭祐「ミッキーマウスの憂鬱」

ミッキーマウスの憂鬱ミッキーマウスの憂鬱
松岡 圭祐

新潮社 2005-03-23
asin:4104751014

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 ディズニーランドへ派遣で就職が決まり、希望に胸ふくらませる若者。彼がそこで見た、夢と現実とは。
 
 ディズニーランドとシーについて某作品中でも自説を展開していた著者のこと、ディズニーランドの精神に関する物語を描きたかったのだろう、と思わされた。ランド内の紹介も詳しく、ディズニーファンならばおそらく知っていることのオン・パレードなのかもしれないが、行ったことのない私(シーは一度体験した)にはへえ、そうなんだ〜とウンチク本として読めた。
 面白いかどうかと言うと、なんだかTVでよくやる2時間スペシャルのような内容と言うのか…。いい話ではあるし、エンタメのツボをおさえてあるとは思うのだが、サプライズはあまりなく、ひたすらライトな本なのだった。
 読後感はいいのだけれど、疑問も。とある行方不明事件で女性が疑われてしまうのだが、それがプレッシャーだからって、何をしてもいいってことにはならないと思うのだよな。責められてつらいにしても、あの行動はないだろうと。その女性側の非はおいといて、管理者側ばかりに逆らう主人公もどうかと思うのだよな。情熱の上滑りと言おうか、なんだか心情的に納得できないお話であった。
 ランドファンの人にはあまり楽しくない本かもしれないなぁ…。