香港滞在三日目の朝。今日は帰国となる。毎回毎回二泊三日ばかりでなかなかゆっくりできない。仕事もバタバタしているし仕方ない所。

 この三日間、天気が曖昧で今朝も曇り空、という感じのどんよりした空気が広がっている。視界を奪うマンションの下に広がるささやかな公園を大あくびをしながら眺める。
 ホテルのチェックアウトは12時。朝食を取って近所のスーパーで買い物をし、荷造りをするぐらいで12時、という方向で考えてみる。まずは朝食。9時過ぎにホテルを出る。
 今日は特にゆく所は決めていない。近所にある店、適当な所に入ろうと街をぶらぶら。北角の方へと歩いてみる。

 歩く間にトラムの北角折り返しにぶち当たる。このカーブ。夏にジョージタウンで見た廃線跡に似ているかも知れない。
 この時間帯、まだ街が目覚めていないのか、営業している店があんまりなかった。結局、少しホテルの方に戻って、

 パン屋兼茶餐廳みたいな店に入ってみる。

 内装はレトロ風。直角座席のボックスシートが連なる。レトロ茶餐廳って香港の流行り、らしい。それだけ香港が豊かになったのと同時に今に自信を持てない、って事なのかも知れない。

 ここにもトラムのディスプレイがある。レトロ香港の象徴に祀られているようだ。
 頂いたのは麺とパン、目玉焼きに紅茶というセットメニュー。

 日本人からすると妙な組み合わせだけど、こちらでは標準的な朝食メニューである。麺がビーフンになったりマカロニになったりはあるけど。これで36HKD。1HKD=15JPYと換算すると540円という事になって決して安い食べ物ではない。レートとかインフレ率とか色々あって日本円で考えるといろんな物事が割高に思えてくるのは仕方ない所。
 朝食を終えてホテルに戻る途中、ホテルの前にあるマンションの向こうが気になって脚を伸ばしてみた。

 ビクトリア湾なのだが、その前には自動車道路がでんと構える。

 隙間の向こうに九龍半島が見て取れる。取り立ててよい景色ではなく、むしろ殺風景な所だが、海が見えただけでひとまず満足する。
 続きは買い物。マンションの1階にWelcomeというスーパーのチェーン店があったので寄り道する。一通り見て回る。
 うどん、香港の言い方だと烏冬になるけど、に一コーナー割かれている。その中に

 稲庭風きしめん、という何を間違えたらこんな事になるのか、という一品が並んでいる。商品企画の分かれ道で全てをすべて間違えた、ぐらいの勢いだ。
 買い物少々、ホテルに戻る。あと1時間強でチェックアウト。荷造りに勤しむ。今回はこーとなんて嵩張るものを買ってしまったが、ひとまず何とか荷物がまとまる。
 12時前にフロントへ。大陸のお客さんで賑々しく煩い。行列の進みが遅かったが、自分たちのチェックアウト手続きはものの数秒で完了する。あまりにあっけなかった。
 空港に向かう。まずは機場快綫に乗るべく中環にある始発の香港駅に向かう。

 ここのホテル、機場快綫のシャトルバスが来ていた。着いた時には気付かなかったけど、滞在中にシャトルバスが走って来るのを見かけて気付いた次第。

 香港駅、九龍駅から周辺のホテルを巡回するシャトルバスは機場快綫の利用客なら免費、つまり無料で乗る事が出来る。巡回するホテルは超高級ホテルや高級ホテルが殆どであり、中級というべきこのホテルにバスが来るのは珍しい。
 20分毎に走りバスをたっぷり20分待って乗り込む。マイクロバスを無理矢理2-2列に座席を並べた車内は狭苦しいが、荷物を載せるスペースは別にあるし、ちょっと距離のある中環の乗継を歩かずに済むので、荷物が大きい時には助かる。
 ホテルのチェックアウト時間だからか、次のホテルでは乗り切れない客も出るほどの賑わい。結局、12時半を過ぎての香港駅到着となる。

 同じようにホテルを出てきた人が香港駅にはたくさんいて、時ならぬラッシュになっている。切符を買うのに少々並ぶ事になる。乗車券売り場の奥はインタウンチェックインの窓口。香港は自国他国問わず多くの航空会社でインタウンチェックインが出来るようになっている。JALの利用客でも香港駅で搭乗手続きを済ませ、荷物を預けた後に、身軽になって最後の市内観光が出来るようになっている。


 今日搭乗するJL26は15:40香港発。今日は手続き後にまっすぐ空港に向かうから、インタウンチェックインの恩恵は小さいけど、それでも早い段階で重い荷物から解放されるのはありがたい。
 機場快綫に乗る。香港駅では半分ぐらいの乗車で出発となったが、九龍駅で満席になり、青衣駅では立客大勢になる。 

 こんなに混んでいる機場快綫は初めて来たかも知れない。
 電車は順調に空港へ。30分弱で到着となる。時刻は13時ちょっと過ぎ。飛行機の出発までは2時間半ほど。早々に出国するとラウンジに転がり込む。JALからはカンタス航空のラウンジを指定されているが、ここは香港。香港をホームグラウンドにするキャセイパシフィック航空のラウンジを使うのが一番である。今日のJL26、31番スポットからの出発、とのことだったので、搭乗口に近いラウンジ、と言う事で最新のザ・ブリッジに行ってみる。
 前回は深夜の利用だったのでがら空きだったけど、今回は昼間の利用。結構混んでいる。まずは食事。ダイニングへ。 

 このラウンジにはヌードルバーは無いのだが、他の食べるものはそこそこ揃っている。点心やら何やら、簡単につまむものを頂く。空腹と騒ぎだしていたお腹が落ち着くようにはなる。

 ついで場所を変えて出発までを過ごす。バーテンダーに作って貰ったカクテルを飲みつつ時を過ごす。

JL26 JA708J B777-200ER HKG→HND

 出発30分前にラウンジの席を立ち搭乗口へと向かう。

 31番搭乗口。季節のご挨拶、というぼやかしたメッセージ。しかも日本語で書かれている様子に目を奪られるが、JL26便、羽田行きの出発準備が進んでいる。

 搭乗口の向こう、待っているのはJA708J、二日前に羽田で見かけた機材が今日は香港に来ている。まもなく案内が流れる。搭乗開始だ。
 今回は元々からのビジネスクラス。帰りは一番前、という席を宛がわれている。

 広い。そして

 遠い。。。。
 乗務員さんがコートを預かってくれる。新聞を受け取り出発までしばらく目を通す。15:34、Doorclose。羽田着陸前に揺れが予想されるそうだ。
 15:40、Doorclose。作業員が離れてゆき手を振ると15:45、Taixing。各国の飛行機が並ぶ中を進んでゆく。

 イスラエルのエルアルがいる。

 誘導路を進むTG。滑走路の向こうは妙な灰色。まるで北京の薄汚れた空だ。

 滑走路端に到着する。隣のいるSQが先に滑走路へと進んで飛び立って行く。ついでこちらに順番が回って来る。15:55、Take off RWY07R。

 まもなく空港が霞の中へと消えて行く。視界が薄汚れる。段々と

 7分程で日が差してくる。そして16:08、ベルト着用サイン消灯。

 まもなくおしぼりが配られる。手を拭くと気分が改まる。間もなく回収。そして飲み物と食事の希望を聞かれる。まだ16時過ぎだが、日本時間だと17時。食事が出てくる頃には少し早い夕食、と言える時間になるだろう。

 空はすっかり青空になった。眼下はどこまでも続く雲の海。飛行機は一路東京を目指し、まずは東へ機首を向ける。

 先程お願いした飲み物が先にやって来る。ラウンジでも飲んでたジントニック。エコノミークラスでも飲めるものをわざわざビジネスクラスで頼まなくても、とは思うが、まぁ良い。
 飲み物を頂く。映画は気が向かず、気楽に見ることが出来るテレビ番組を眺める。飛行機は順調に羽田へ向かっている。機首は東北へと向きを変えた。
 今度は食事が運ばれてくる。時刻は16:30、ちょっと早いかなぁと思いつつ、

 頂くことにする。今日は和食にした。海外発で和食、ってのはどうかと思わなくはないけど、頂いてみる。

 前菜のセットが並び

 洋食のサラダに代わって和食は酢の物。

 何故か必ず付く蕎麦。

 久しぶりに頂く気がする俵ごはん。

 メインは鶏と魚のハイブリッド仕様。

 無理ない範囲でゆっくりと頂く。案外と美味しく頂ける。蕎麦も案外と美味しい。洋食を頼んだ妻からバターを少し貰って、ご飯をバター醤油にしてみたり。 
 40分掛けてゆっくりと食事を頂く。
 その間に日が傾いて行く。時刻は17時を過ぎた所。日本時間なら、18時。そろそろ日が沈んでゆく時間帯。

 最後にアイスクリームとベイリーズアイリッシュクリームを。ジャパニーズイングリッシュだとなかなか伝わらないのだけど、日本人相手なら難なく通じる。
 アイスクリームとアイリッシュクリームをゆっくり、本当にゆっくり頂いて、〆に

 コーヒーを頂いて終了。たっぷり1時間半楽しんだ事になる。既に羽田まで1時間半というタイミング。偏西風に乗る帰り道は本当に速い。
 シートを倒す。コーヒーで〆た筈なのに眠くなる。気が付いたら意識が無くなってしまった。気が付くとベルト着用サイン点灯。時刻は18:47。日本時間で1時間進んで19:47だ。席を元に戻す。19:55、あと15分で着陸する旨、案内が流れる。

 窓外に房総半島から木更津が見えてくると最終コース。東京湾を横断するコースとなる。黒々とした海を越えて空港へ。20:09、Landing、RWY34L。20:14、Spot in SP114。
 この時間、到着ラッシュの筈だが、適当にばらけたのか入国審査はすんなりと進む。荷物を受け取ると

 20時半過ぎには制限エリアの外に出ることが出来る。
 さて帰宅。京急のホームに出て横浜方面、エアポート急行に乗車。

 21D運用1561編成と

 21運用1307編成の乗継。羽田から自宅まで1時間弱で到着。
 荷ほどき少々荷造り少々。明日の仕事に備える。