目が覚める。外はまだ薄暗い。時計は5時半を指していた。日本時間だと、、6時半か。いつもの時間より少々遅い程度。体内時計の正確さに呆れる。

 窓外には明るくなりかけた香港島、ビクトリアピークへと続く高層ビル群が見えている。香港島、海景という名の付くホテルだが、安部屋なので見えているのは山景、と言うか街景。
 時差に馴れるなら1時間余計に寝るべきだろうが、無理に合わせこむ必要も感じないのでそのまま起き出す。外が明るくなるまでホテルの自室で、昨日書きかけの恥辱の続きを。
 7時になって外に出て見る。今回は一眼レフを久しぶりに持ち歩いている。ホテルから山側へ。急な坂道を上がって行くと石造りの立派な建物が現れる。

 西営盤のランドマーク。西営盤社区総合大楼。元々は精神病院だったものが放置されていたそうだが、再開発でリノベーションされた。この時間はまだまだ朝が早いから人影は疎ら。隣の公園に集まる年寄りの姿が目立つぐらい。
 山を下って行くとトラムが走る通りに出る。しばらくトラムを撮影してみる。


 久しぶりにミラーが動くパカパカという感触を楽しむ。本当に一眼レフで写真を撮るのが久しぶり。最初のうちは何とも思わなかったけど、次第にミラーの感触やら何やらに敏感になってゆくのが分かる。
 7時半になって街を行き交う人の波が慌ただしくなるまでを撮影に宛てた。少し汗が滲んできたので撮影を切り上げる。朝食に行こう。
 ホテルへ戻る途中、何軒か既に営業している店があって、多少は選べる。洋式早餐、港式早餐。色々とある中で何となく麺を食べたくなる。

 店頭に写真入りのメニューが出ていた、こんな店に入ってみた。 

 英語が通じずに困ったが、指さしを駆使してワンタン麺を注文。まもなく

 無事に頂く。一緒に港式のミルクティーも。普段口にすることのないミルクティーだが、香港では何故か飲みたくなる。出てきたのはインスタントの濃い味だが、香港に来たという気分になると共に、不思議と美味しく思える。
 食事の後は既に営業中のスーパーで少々買い物。

 ホテルに戻ると8時であった。すっかり汗をかいたのでシャワーで流しておく。
 今日は10時ぐらいにチェックアウトするつもり。多少散らかった荷物を作り、少々恥辱を進めておく。この後の移動に備えて調べごとも少々。
 段取り良く10時前にチェックアウト。香港駅に向かう。今度は機場快線のバスに乗る。20分毎にあるバス。たっぷり20分待ったからタイミングが悪い。

 乗ってしまえば香港駅まではさほど掛からずに、しかもチェックインカウンタの前まで運ばれる。圧倒的に楽である。
 機場快線、昨日のうちに往復券を買っている。そのままチェックインカウンタへ。搭乗手続きを済ませて荷物を預ける。これでだいぶ身軽になる。そのまま、

 空港行きの列車に乗ってしまう。時間帯が中途半端なのか、割と空いている。空港までの30分程、恥辱を進めるのに宛がう。
 空港に11時前の到着。普段と違って今日は第二ターミナルへ脚を向ける。

 馴染みの無いターミナルであり、慣れない事ばかり。目的地がどこなのか見当つかないが、適当に歩いていたら、

 こんなところにぶつかる。航空探知館。

 ちょっとした展示施設になっていて、こちらはボーイング377ストラトクルーザーのラウンジを再現したもの、だそうだ。

 こちらは戦前のデ・ハビランドDH86の座席を再現したもの。
 ただ、今日の目的地はこちら。

 空港の展望デッキ。
 11時から営業という認識で、この時間に合わせてきたのだが、土日は9時半からだそうだ。ならばもう少し早く出てくればよかった。
 第二ターミナルにある展望デッキ、

 第一ターミナルの向こうにスポットがあるので、駐機している飛行機は撮りづらい。が、両側に滑走路があるので滑走路の向きに掛かわらず、離陸機か着陸機は撮れるようにはなっている。

 若干逆光気味だが、キャセイB777-300が飛び立って行く。

 今度は貨物機。B747-8Fが飛び立つ。

 港龍は社名と塗装が変わるそうだが、今のところはまだ従来の塗装機が殆ど。今のうちに撮っとけ、か。
 途中、ランウェイチェンジがあって、今度は着陸機が撮りやすくなる。

 キャセイの残り少ないB747-400がやって来る。

 ジェットスターが来た、と思ったらよく見るとJA11JJ。成田からの飛来機だ。

 時折、機場快線が出入りするのも眺めつつ1時間程。

 空港に出入りするタクシーの待機場も見えたりして、普段見えない空港の様子が分かって楽しい。
 羽田あたりだったら、日蔭が合ったり、簡単な食事や飲み物が手に入ったり、過ごす、という事に重点が置かれたつくりになっているけど、香港の展望デッキは基本的に飛行機を見る、という機能に徹している。平たく言うと、潤いがない。
 1時間ほど炎天下ですっかり水分が無くなって、いい加減、やめ。そろそろラウンジに籠る。
 第二ターミナルから第一ターミナルへ向かい、保安検査を受けて、出国。出た所にあるキャセイパシフィック航空のファーストクラスラウンジに入ってしまう。

まずは飲み物。ダイニングでドラフトビアを頼む。出てきたビール、一気に飲み干したいほど喉は乾いているが、さすがに下品なので少しずつにしておく。

 妙な組み合わせで選んでしまったアラカルトを頂いたのち、

 注文ベースで出てくる鴨肉のステーキを頂く。飛行機に乗る前からこんなもの頂いて良いのだろうか、と思ってしまうほどの料理が出てくる。
 ビール、飲み干すともう一杯勧められる。出てきたのが、

 缶の青島であった、そうか、こういうカラクリであったか。まぁ良いけど。アラカルトを頂き、そろそろおしまい、と思ったら、コーヒーを勧められる。それならばと

 コーヒーと一緒に甘いものも頂いておく。ちょっとしたコース状態。ここまで30分程。機内で受けるような喰わせる攻撃ではないにせよ、飛行機に乗る前からこれだけ出てくるのは、さすがに喰わせるエアライン。
 さて席を移ってフライト時間まで。

 席にいると飲み物を勧められる。ひとまずお水を頂き、恥辱を少し進めておく。

 水が空いた後、スタッフがお代わりを聞いてきたのでシャンペンを頂く。引き続き恥辱は進捗中。
 搭乗機の出発は16時。香港駅で搭乗手続きをした時には搭乗口が決まっていなかった。ひとまず出国してすぐのラウンジに入ったのだけど、後になって搭乗口、35番と知る。今いるラウンジからは少々遠い。早い目に席を立つ。

 フィンエアがいる。よく見るとA350-900である。この機種は初めて見た。

 先程、着陸してくるのを出迎えたキャセイB747-400、B-HUIがいる。

 見慣れない飛行機が居ると思ったらアフリカ大陸からやってきたエチオピア航空。成田にも来ているけど、夜の飛来だし、アライアンスがスターアライアンスで馴染みがないから、見るのは初めて。
 35番の搭乗口に着く。

 待っているのはA330ですかねぇ、当初予定とは違う機材。それでは、搭乗しますか。

 あれ、行先が違う。出発時刻が同じで勘違いしたか。それとも搭乗口が入れ子になったか。じゃぁ乗る飛行機はどこからと探す31番とある。案外と近くて助かる。これで18番とかだったりするとm、飛んでもない距離を戻らなくてはならなかった。
 35番から31番へお引越し。歩いて行くと

 33番からは港龍のペナンゆきが出発する所。ペナンかぁ、いいなぁと思いつつ先へ急ぐ。

 と言う訳で31番に到着。向かうのはクアラルンプール。

CX729 B-HNB B777-200 HKG→KUL

 搭乗口では既に16時出発の飛行機、搭乗が始まっている。先程35番まで行くときに31番に停まっている機材はスルーしているので改めて機材の写真を撮るために少し通り過ぎる。

 待っているのはB-HNB。B777-200。ちょっと残念。
 このCX729という便。時刻表上はB777-200なのだけど、実績を見ているとA340が入ったり、A330が入ったり。本来のB777-200は4日に1度ぐらいしか来ていなかった。機材の変更が激しいので、もしかしたらA340に乗れるんじゃないかなぁと思っていた所。
 さて搭乗する。キャセイでは少数派のB777-200の機内も昨日と同じ新新リージョというやつになっている。クアラルンプールまで4時間程度だし、充分ではあるけど。

 ウェルカムドリンクを頂き出発を待つ。15:46、機長さんから挨拶があったのち、15:52にDoorlose。

 機内ほぼ満席。隣もお客さんがいる。華僑のようだ。乗継らしい白人の姿もちらほら。定刻出発かなあと思っていたが16時を過ぎても飛行機は動かず。結局、16:07、Pushbuck。

 35番からもジャカルタ行きの719便がほぼ同じタイミングでPushbuckしている。16:11 Taixng。係員がパイロットに向かって手を振るとさっさとこちらに背を向けて、引き上げてゆく。
 先任乗務員がやってきて機内食のメニューを配る。その後でリクエストを先に聞かれる。何となくNoodleを選ぶ。

 飛行機は誘導路を進むと早々に滑走路端へ。CX719と同時にPushbuckしたけど、滑走路に近いこちらのの方が先に回り込む。

 滑走路端では貨物エリアからやって来たカーゴルクスとお見合いに。順光で日が廻っていて、この時間の展望デッキから良く撮れることだろう。順番はこちらが先。
 16:25、Takeoff RWy25L。地上を離れると間もなく見えてくるのが

 香港とマカオを結ぶ橋の工事現場。結構順調に工事が進んでいるみたいだ。

 2017年の開業だそうだが、そう思うと、間に合うの?という気がしないでもない。
 外の景色はだんだんと霞んでゆく。  

 香港の島かマカオの島か、霞んで見えているのを最後に洋上飛行となる。16:38、ベルト着用サイン消灯。4時間のフライトなので食事はゆっくり。ちなみにメニューの表示にはrefreshmentとある。軽食らしい。

 16:50になってまずはドリンクが出てくる。一緒のおつまみはナッツ。日本線以外はナッツ、と言う事で良いのかなと思う。頂いたシャンペンはゆっくりと飲む。サービスがしばらく途切れる。
 テーブルがセットされてトレーが運ばれてきたのは17:15になってから。


 なんかいきなりデザートが出てきたみたいだが、メニューにはスターターとしてフレッシュフルーツ、と記載があるからこれで間違いない。さっきラウンジで食べているからこれで十分だよねと思わなくはない。それに、クアラルンプールに着いてから夕食にマレー料理を食べられるかも知れないし。
 飛行機は南シナ海の洋上を進んでいる。

 今見えている島はどこの国のものだろうか、と思いつつ。
 フルーツに合わせる酒、に迷ったが何となく白ワインを頂き、少しずつフルーツを頂く。メインが到着するまで今度も20分程。今度は先程お願いした、ヌードルを頂くことになる。

 丼で運ばれてきた。汁ありの麺である。

 しっかし、ラウンジでステーキ食って、機内で麺って、普通逆だろと思いながらも、インスタントじゃない麺を頂く。初めてかと思ったが、一度JALで食べたことあるか。ちょっと温めなのは残念だが、これは極端に熱いものを好まない中華民族の好みなのかも知れない。
 麺を頂き終わる頃、ちらっと窓外に地上が見えた。どうやらベトナム中部に差し掛かっているようだ。

 空は少し影を帯びてきた。時刻は18時。香港からだいぶ西に来ているのでまだ夜には間があるが、何もしないうちに夏休みの二日目が過ぎてゆく、そんな気がする。何しろまだ目的地に着いていやしない。

 間もなく今日の食事、最後を飾るアイスクリームが供される。軽食が供されるフライトなので、チーズorフルーツは飛ばすようだ。というかここでフルーツが出たらフルーツ二度目か。

 いくつか言われた選択肢の中から辛うじて聞き取れたマンゴーを選ぶ。通路側ならワゴンを見て選べるのだろうけど、この辺りは窓側の不利な所。
 クアラルンプールまで残り2時間を切る。

 飛行機はベトナム南部をかすった後、再び洋上飛行となる。外は急速に暗くなり、雲も目立つようになる。暫くの間、PCを出して恥辱の続き。19時を過ぎてまもなく降下を開始し着陸準備に入る旨、機長さんから案内がある。キャセイの場合、必ずこのタイミングで機長が放送するようになっているらしい。

 再び熱々のおしぼりが配られる。アジア系の人は受け取っているが、欧米系の人は半々だろうか。
 再び熱々のおしぼりが配られる。アジア系の人は受け取っているが、欧米系の人は半々だろうか。
 飛行機が降下する感触を覚える。

 雲が目立つ中を降下してゆく。段々と空が赤味を帯びてくる。時計は19時を回っている。標準時+8時間のまま、だいぶ西に来たとは言え、夕暮れ時だ。

 間もなく空が真っ赤に染まる。雲の切れ間からクアラルンプールの街が見えた。そして19:28、ベルト着用サイン点灯。

 クアラルンプールの南側にあるKLIAまで最終コース。

 高度を下げるのと日が沈むのと、競い合うように暗くなってゆく。ゴムだかヤシだか分からないけどプランテーションが近付きつつ、闇をまとってゆく

 日が暮れて暗くなる直前、空港が現れる。19:42、Landing。滑走路はRWy32Lだったと思う。
 ゆっくり長々と誘導路を進み国際線が発着するサテライト側のターミナルへ。19:58、Spot in SP C32。
 今日はクアラルンプール止まり。ここで入国となる。サテライト側から入国手続きを受けるために本館側へ。

 新交通の乗り場まで来るとこんな看板に気付いた。

 ちょっと前まで世界一の高さを誇ったペトロナスツインタワーの高さ自慢。東京として紹介されているのは毎日のように目にしている横浜ランドマークタワーである。まぁ、横浜も世界から見ると東京のうち、か。
 新交通と言うか、そんな乗り物で本館側まで運ばれ、入国審査へ。ここが恐ろしく混んでいる。マレー国籍の人むけも混んでいる。ましてや外国人向けの窓口はとんでもないぐらい。今日はビジネスクラスで来ているので、ファストレーンの利用券を貰っているのだが、こちらも長蛇の列。
 結局入国までに40分近くかかる。それでも早い方だったようだ。荷物を受け取るレーン。大量に残されたキャリーバックが延々回り続けているなかから自分の物を見つけて引き取る。

 制限エリアの外に出ると20:48。飛行機が着陸してから1時間以上が経っている。
 空港ではもう少しやる事がある。まずは両替。香港では手持ちの外貨で済ませたがマレーシアでは両替をしておく。1万円が350リンギット程。更に今回はSIMカードの購入にも挑戦する。妻の助言で通信会社は決めており、25リンギットで無事SIMをお買い上げ。日本語の設定になっているスマホでも係員はちょちょっと設定を弄って、簡単に接続可能になる。
 それでは市内に向かうのにKLIAエクスプレスに乗る。出札口でKLセントラルまでの切符を買うとこれが55リンギット。随分と値上りした。正直高いと思うがひとまず乗る事にする。

 ちょうど列車が入って来る。慌ててKLセントラル行きと思って乗ったら反対側に動き出した。KLIA2ゆきであった。一旦KLIA2まで行き、そのまま折り返しになる。LCCターミナルの利用者は高価なKLIAエクスプレスなんて乗らないのか、がら空きのままでKLIAに戻り、KLセントラルへと向かう。
 先程の機内で、割と早いタイミングでクアラルンプールの街が見て取れたことから分かる通り、空港からクアラルンプールは結構な距離がある。真っ暗中を20分近く走ってようやく街並みが見えてきて、30分で目的のKLセントラルの駅に到着となる。

 KLセントラルの駅は、クアラルンプールにおける交通の結節点。国鉄に相当するKTMの長距離列車、郊外列車。それにLRTとモノレールの路線も乗り入れる。明日からの動きに何かと都合がいいので、今日はKLセントラル駅の近くにホテルを取った。ホテルの案内によるとモノレール駅の近く。
 2009年にクアラルンプールに来た時はKLセントラルの駅からモノレールのKLセントラルの駅まで、工事現場みたいなところを歩かされた記憶があるのだが、2016年の今日は、モノレールの駅はそのままの位置で間に百貨店が出来ていた。距離は同じだけど歩きやすくはなっていて、

 何となく見覚えのあるモノレールの駅に着く。ホテルはこの脇、ちょっと入った所。 

 KLIAエクスプレスを降りてから15分程でホテルに到着。ホテルセントラルKLという所。よく見るとジョージタウンで泊まったホテルセントラルと同じ系列であった。KLセントラルのホテルと認識していたが、そうじゃなくてホテルセントラルのKL、か。
 昨日よりは広いのに値段は半額と言う部屋に通される。クアラルンプールに限らないがマレーシアはホテルが安い。昨日と同じ値段を出せば結構なホテルに泊まれるので迷ったが、ランクはそのままで値段を下げた次第。

 真ん前はKLセントラルの駅、というか百貨店。
 時刻は22時になるところ。ちょっと外に出てみる。この辺りはインド人街。ナシカンダールの看板が出ていて、香辛料の匂いが漂っている。中にはバーがあって外国人が賑やかに酒を飲んでいる。マレーシアの国教はイスラム教だが、華僑や印僑も多いので、酒を出す店はある。普段だったら寄り道する所だが、先日のダッカでの事件を思うと、真っ先に襲われそうな外国人だらけのバーに立ち寄るのはやめておく。
 コンビニエンスストアとスーパーが並んでいる。クアラルンプールのコンビニには酒は置いていないのだが、スーパーには置いているのが見える。まぁ今日は買って帰らないけど。
 多少でもお腹に入るようなら何か食べるか、とも思ったが、空腹にはならない。今日の夕食は機内で食べたことにしてホテルに戻る。早々に就寝。