特急田中3号第九話

TBS系。金曜ドラマ特急田中3号」。第九話。
脚本:橋本裕志。音楽プロデューサー:志田博英。音楽:仲西匡。主題歌:KAT-TUN「喜びの歌」(J-One Records)。鉄道監修:南田裕介。制作:TBSテレビ。演出:金子文紀
田中一郎(田中聖KAT-TUN])が目黒照美(栗山千明)に怒鳴られる場面は、目黒照美君の怒りの凄まじさに恐れると同時に、照美君を傷付けたくなくて三島健高橋一生)を庇い、何も語らない田中一郎が余りにも可哀そうで、見ていられなかった。帰宅して布団に潜り込んで寝ようとしてもなお照美の怒りの言と表情を忘れることができなかった悲しみの田中一郎の姿は多分、このドラマで最も強烈な絵の一つであるだろう。
田中一郎の母、静江(斉藤慶子)が田中家を出たあと再婚(正確にはあくまでも同棲)していた相手の子、柴原徹(亀梨和也)が、田中クリーニング店に来た。母の衣服を携えて。それは静江にとっては義母にあたる田中ハル(吉行和子)から贈られたもの。田中家の人々には懐かしいものだった。
柴原徹は海外留学中のところ、父の逝去に伴い、あとに一人残された母のことを心配して急遽一時帰国し、今なお田中家の二人の子のことを愛し常々心配してもいた母のことを伝えるため、母のかつての家である田中クリーニング店を訪ねて来たらしい。妙に気さくだったのは海外の流儀なのだろうか。家に上がれ!と田中一郎に誘われたとき彼は喜んで案内されるまでもなく直ぐ家に上がりこんでいた。とはいえ慎重なところもあるようだ。田中家を訪ねるに際し先ずは客として、母の服を携えて来たことがそれを物語る。母のことを田中家の人々が憶えているのかどうかを確かめたかったわけだろう。
柴原徹役の亀梨和也が昔の地味な感じに戻っていた。昨年一年間の彼は何だか色々派手だったものの、正直なところ不相応だった。本来のこの地味な路線の方が似合っていて断然よいと思う。