ブラックプレジデント第二話

関西テレビブラック・プレジデント」第二話。
このテレヴィドラマが甚だ厄介であるのは、あたかもブラック企業のブラック経営者を肯定しようとしているかのように見えるところだ。服飾の大企業「トレスフィールズインターナショナル」の筆頭株主であり社長でもある三田村幸雄(沢村一樹)は、経営者としてはブラックそのものではあるが、人間としては必ずしも憎めない面もある。もちろん物語は彼の憎めないところを描き出そうとしているので、不注意に視聴してしまっていると、迂闊にも、ブラック経営者も決して悪い奴ではないのかもしれない…とか思い違いをしてしまいかねない。果たして物語は、彼の魅力を描きながらもブラック経営者という存在には厳しく鉄槌を下し得るのだろうか。その点を見守ってみたい。
ともあれ、彼の言い分を完全に否定し去ることはできない気がする。例えば、能率の良い奴が短時間で仕事を処理すれば手当は支給されないのに、能率の悪い奴が無益に長時間の残業をすれば多額の手当が支給されるとは理不尽ではないか?という彼の主張には一理ある(私的には常に同じことを考えている)。しかし、この考え方は多分、一事務員、一技術者、あるいは一兵隊にこそ相応しいものであり、大組織の総帥には相応しくない。三田村幸雄は一人のデザイナーとして生きるべきで、経営者になるには向いていなかったのではないだろうか。
秘書の冴島真理(国仲涼子)や明智志郎(永井大)の造反の余地がそこに生じているように見える。実のところ明智志郎が社長の言動について部下に説明しているのを見ていると、既に謀反の準備を着々と進めているようにしか見えない。
他方、城東大学映画サークル「アルゴノーツ」では今回、映画監督志望の副部長、前川健太(高田翔)と、女優をつとめる部員の岡島百合(門脇麦)との間の微妙な関係が焦点を当てられた。前川健太がインターネット上で知った荒唐無稽な陰謀論を楽しそうに語って聞かせたとき、岡島百合がそれに関心を示さないどころか聞く価値さえも認めていない様子で聞き流していたのが、現実味がありそうで面白かった。部長の工藤亮介(永瀬匡)は前川健太の気難しさを理解した上で、上手く仲良く付き合っている感じだろうか。