大黒学概論 このページをアンテナに追加 RSSフィード

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2017-01-20 「五大記」第五十三話を公開しました このエントリーを含むブックマーク このエントリーのブックマークコメント

五大記」の第五十三話公開しましたタイトルは「個体数」です。

「五大記」に含まれる物語には何らかの宗教が登場するものが多いのですが、それらの物語における私の視線は、多神教的な宗教や仏教的な宗教に対してよりも、アブラハム宗教的な宗教に対して、より批判的に注がれている、ということは事実です。しかし、このことは決して、私がアブラハム宗教を嫌っているという理由によるものではありません。真相はむしろ逆で、それを信仰したいとまでは思わないものの、アブラハム宗教は決して嫌いな宗教ではなく、かなり好きな部類に属する宗教です*1。好きな宗教だからこそ、その問題点を批判したくなるのです。

「五大記」に含まれる物語において、多神教的な宗教や仏教的な宗教に対する批判的な視線が希薄である理由は、私自身がこれまで、それらの宗教が持つ問題点についてあまり深く考えてこなかったからであって、それらの宗教が問題点をまったく持たないからではありません。たとえば、仏教には、性行為の罪悪視という不可解な教義があって、これは大きな問題点ではないかと私は考えています。

日本仏教は例外ですが、仏教においては、出家者たちの性行為は戒律によって禁止されています。したがって、彼らは子供を作ることができません。つまり、出家者は自身の子供を出家者にすることによって出家者の人口を維持することができない、ということです。しかし、仏教徒というのは出家者のみではありません。仏教徒のうちで出家者というのはその一部に過ぎず、その大多数は在家信徒と呼ばれる人々です。在家信徒は性行為を禁止されていませんので、彼らが自身の子供を在家信徒または出家者にすることによって、在家信徒と出家者の人口を維持することができます。

親から子供への伝承によって仏教徒が人口を維持することができるのは、仏教徒のうちで出家者が占める比率が小さい場合のみです。万一、仏教徒たちの間で出家というものがブームになって、仏教徒の大多数が出家者になったとすると、仏教徒は、親から子供への伝承のみでは人口を維持することができなくなります。

仏教徒の人口のみが減少するだけならば、それほど問題ではありません。問題となるのは、その大多数が出家者となった仏教徒たちが、布教活動、しかも出家を奨励する布教活動を実施することによって、人類全体に占める出家者の比率を増大させた場合です。人類の大多数が出家者となった場合、人類の人口は減少の一途をたどることになるでしょう。最悪の場合、人類のすべてが出家者となり、その結果として人類が滅亡する可能性さえも否定できません。

「五大記」第五十三話は、仏教の出家者が人類の人口の大多数を占めるようになった結果として、人類が滅亡の淵に立たされる物語です。ただし、「五大記」は我々の宇宙とは異なる宇宙を舞台とする物語ですので、第五十三話において人類滅亡危機を招く宗教も、仏教ではなく、仏教によく似たケナム教という宗教です。

果たして、その宇宙の人類は、ケナム教が招いた危機を終息させることができるのでしょうか。それとも、為す術もなく滅亡に至ることになるのでしょうか。この先の展開につきましては、ぜひ、本編を読んで確かめていただきたいと思います。

*1:ちなみに私は、「五大記」の作者であるのみならず、「多一教」というアブラハム宗教の一宗派教祖でもあります。

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