男性対女性 嫁ぐ日まで

先日島津保次郎監督の「浅草の灯」と「兄とその妹」をみて*1なかなかよかったので、さらにキネマ洋装店のたかぎさんにおすすめを教えてもらい、この2本をみる。

特に好きだったのは家庭劇の「嫁ぐ日まで」。「兄とその妹」でも日常生活の描写が細かくていいなと思ったのだけど、この映画でもお台所に立つ原節子さんと妹のシーンとか、あたりの台所用具が影絵のようにみえて、なにか絵本の中の世界のように美しかったし、家族がうちに帰って帽子掛けに帽子をかけるシーンなんかをズームアップして、それぞれの性格を表現したり、愉しいものがあった。あとそうじのことお風呂こと、靴磨き、外出で食べるお弁当などもこまやかに、そして、状況をあらわすのにうまく使われている。原節子の家に後妻さんとしてはいってくるのが沢村貞子さんだけど若々しく、沢村さん自身のしゃきしゃき働いておられる日常がかいまみえるよう・・今で言うと小林聡美さんの演技をみているような感じ。また、女学生の妹のあやうさが、昭和初期でもいたずらしたりぐれたり・・ってあるんだな、っておもしろい。そして、そのさまがジャズ風の音楽にのっていたりして、とてもモダン。島津保次郎監督はちょっと意外な展開をよくみせる、とたかぎさんからきいていたが、この映画でも、「へぇ・・」と思った部分があり、それが心地よかった。

「男性対女性」の方は田中絹代のめがね姿なんかは珍しかったし、桑野通子の映写技師姿もキュートだったけれど、ちょっとスケールが大きすぎて・・(松竹大船撮影所移転記念作品ということでずいぶん力がはいっていたらしい。)吉川満子さんという女優さん、よくお母さん役でみかけるのだけどなんだか好きになった。シニヨン風の髪、憂えたような雰囲気がなかなかいい。調べてみると伊丹監督の「お葬式」にも出てらっしゃったらしく、「お葬式」、もう一度みてみたくなった。