音のない世界で

パリに住むろう者たちの生活を追った物語。ハンディキャップが題材のもののとき、みる人が敬して遠ざけてしまうような作りのものがあるけれど、この作品はそういったものの対極にある。ごくナチュラルで、生活を丹念に描いているところからみえるうつくしさ、愉しさに満ちている。唇を読むのはこういう風に、とか、学校はこういうことしているとか、そのときのこどもたちの表情のかわいらしさとかカップルの結婚とか、まったく退屈しない描写できちんと書かれた小説を読んでいるようなすばらしさだった。
ニコラ・フィベール監督はフランスドキュメンタリー界の第一人者とのこと。大島渚監督がボンベイ映画祭でこの作品にグランプリを与えたとビデオジャケットに記されている。この作品を評価する大島渚監督のこともまたいいなと思う。

音のない世界で [VHS]

音のない世界で [VHS]