長距離ランナーの孤独

この物語を確か高校生の時に読んだと思う。その時より、今、もっとこの物語の主人公の気持ちがわかるようになっている。主人公は感化院に入れられるのだけど、わけのわからない暴力とか違法行為の物語でなく、ごく理解できる平面にいる。
友人と遊びに行った海の輝き、旅の終わりの空気、一緒に笑い倒すテレビのくそまじめな世界・・・その時にしか味わえないあの気分を繊細かつ大胆に表現している。ジャズっぽい音楽もとてもいい。

三浦しをんさんの「風が強く吹いている」*1を読んだ時、登場人物がパンかなにかの万引きをして、走っていくその姿を見込まれて、というようなつくりになっていて、「万引き?」なんて気持ちになっていたのだけど、このお話がどこか下敷きになっているような気もする。