日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード Twitter

2015-11-15

[][]四代竹本越路大夫

越路大夫のお姿には山川静夫さんが司会をされていた古典の番組の特集の回でしか触れたことがない。その対談で話しておられた様子や、その番組で紹介された舞台や文楽の歴史がもっと肉付きを帯びてこちらに迫ってくる本だった。納得のいかない生き方はできないという合理的なものの考え方、でもやるべきと思ったことは徹底してする姿、神々しく気持ちが良い。そして、松竹労働組合の問題から二派にわかれて文楽をされていた時の苦労話・・並大抵のものではない。15年*1もそれが続いたということに敬服の念を持った。

芸談の部分は見にいったことのある演目のところは見当がつくのだけど、未見の演目の詳細について語っておられるところは、みてからのお楽しみになるだろうな。大夫さんの声の出し方、三味線音律の名称など、とても丁寧に脚注がついているのだけど、(人物索引も充実)、私のような初心者はそれをDVDのような音源で確かめることをしてみたいな。

著者の高木浩志さんの文楽の本の丁寧さはかねがねきいていたけれど、読んでみて確かによかったし、ほかの本も読んでみたいなと思った。

四代竹本越路大夫

四代竹本越路大夫

2015年12月

文楽鑑賞の先輩かなさんがこの本を読んだ感想を送ってくださったので、許可を得て転載。

 大夫として決して恵まれた声帯、イキ、口の構造をしていなかったと、と述懐する師匠。大成されてからの映像しか知らなかったので、この発言には驚いた。

 数多くは見聞きしていないものの、美しい声で品の感じられる語りは非常に心に残るものだった。(直接ではないが、つくづくDVDとは有難いものだ。)山城師匠三味線の喜左衛門師匠は゛越路″という大夫を形成する上で欠かせない存在であると同時に2つのおおきな山として立ちはだかっていたのではないだろうか。山城師匠浄瑠璃は一度か二度聴いただけ(無論映像で)、しかも全盛期と言われる頃を過ぎた時期のものでほんのさわりだけだったが、「恐ろしいほどの上手さ」を感じたものだった。

 もちろん生い立ちから語られる越路の話は興味深く良い意味での育ちのいい人の一種の強情さも伺えた。が、個人的には「語り物あれこれ」が演目に取り組む大夫の解釈、姿勢が表されていて「なるほど、そういうものなのか・・」と思わされた。偉大な先人や師匠の語りを基本としながらも、そこに゛越路″の味を加えてゆく。そこには絶対の正解というものはなく、年齢や経験、生き物としての声によって刻々と変化しつつも基(元)になるものはゆるがない、という世界。これこそが伝統というものが持つ底なし沼のような魅力の源泉なのだろう。

 

*1:この本によると15年・・2015年10月14日京都新聞の住大夫さんのことを書いた「戦後70年 わたしの軌跡」には14年と・・月の勘定の仕方が違うのかな・・どちらにしても長い年月である。

かなかな 2015/11/19 14:07 年数問題、気になったのでちょっと探ってみると分裂の開始期を1948年あるいは49年にしている記述が散見されました。どちらが正確なのか?なのですが。四代の浄瑠璃はDVDでしか聴いていませんが、大好きです。本でしか知りませんが、二代・三代目それぞれが大きくしていった名跡を継いだ四代。血縁ではなく実力のある者だけが名乗れる文楽のシステムは好ましいと思っていますが同時に厳しい世界ですね。以前書いたかもしれませんが、四代は何となく亡き祖父に面立ちと雰囲気が似ていて、その点からも好ましく思うのかもしれません。

ponymanponyman 2015/11/19 22:57 かなさん 調べて頂いてありがとうございます。さすがかなさん!
越路大夫、生い立ちから書いてあって、とても魅力的でした。すぱっとしていてとても気持ちがいいのです。
文楽に入門した子たちと、近所の悪ガキのけんかとか、ジャッキー・チェンの京劇修業時代のことを描いた映画とかも思い出しました。
時代はずれるでしょうが、蓑助さんの入門時代の写真とか思い出したり。。
そして、芸を磨くための努力・・公演をみにいくときの新しい視点が与えられました。
わたしも最近自分が生まれたときの祖父の年齢に近づきつつあるもので、祖父が自分と同じ年齢の時どういう仕事の仕方してたのかなとかそういうことを想像するようになってきました。

かなかな 2016/11/26 13:50 最近読んでいる本に年数問題解決のヒントがありました。二派に分裂した組合派「三和(みつわ)会」は1949〜1963年、非組合派(松竹側など)「因(ちなみ)会」は1948〜1963年が活動期間となっていました。カウントの基準をどちらの会に置くかで年数が変わっているのだと思います。ずっと気になっていた問題でしたが「なるほど」と得心している次第です。

ponymanponyman 2016/11/26 22:13 ほう・・文楽の本を読んでおられるの?教えて下さりありがとうございました。すっきりしましたね。それにしても長い期間です・・ご苦労がしのばれます。

スパム対策のためのダミーです。もし見えても何も入力しないでください
ゲスト


画像認証

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20151115/1447553171