人形浄瑠璃文楽 平成29年新春文楽公演

第1部
寿式三番叟

奥州安達原
 環の宮明御殿の段

本朝廿四孝
 十種香の段/奥庭狐火の段


第2部 
お染/久松 染模様妹背門松
 油店の段/生玉の段/質店の段/蔵前の段

よちよち歩きの文楽鑑賞ではあるけれど、いつも楽しみにしているのが鶴澤寛治さんの三味線をひいておられる鶴のようなお姿なので、今回御病気での休演はとても寂しかった。昨秋米寿になられたとのことで、番付の「技芸員にきく」でも特集が組まれているのに・・でも、無理のないように長く続けて下さいと心から思う。

お染/久松のお話は、いろいろな形で作られているようで、今まで野崎村に行くのをみていたが、これは、野崎村に行く前で話が終わっている。また、最後の演出は同じ「染模様妹背門松」でも違うパターンもあるようだ。「染模様妹背門松」は大阪での話で、シビアさとコミカルさがまざったようなところがある。番頭の善六というのがトリックスターみたいなところもあり、勘十郎さんが遣っておられた。自分たちの話が演じられているところをみる、という入れ子構造や全体のリアリティ寄りの風合い、割合好きだった。

「奥州安達原」、もともと世話物の方がみるのが楽、という気持ちが今までの自分にはあったけれど、時代物もいいなと思った。ちょうど良質の大河ドラマをみたあとだと、現代の恋愛ものに物足りなさを感じるようなあの心情。重厚もいいなという感じ。御殿の様子をみながら、きちっとした雛飾りなども思い出した。吉田勘壽さんの妻浜夕が心に残る。玉男さんと玉也さんの安部貞任、安部宗任兄弟の変容ダイナミック。

「本朝廿四孝」文楽の動物ってなんか魅力あるんだよな・・勘十郎さんの遣われるきつねの仕草、たのしんでされているのもわかるし、また動物のリアリティーのだしかたがよかった。