傷だらけの映画史

監督で映画をみるクセがついているが、プロデューサーで映画をみるというポイントも必要だなと思わせてくれたのは春日太一さんの東宝の激動の昭和シリーズの解説。
この本もまずはウォルター・ウェンジャーというプロデューサーを一つのくくりとして話が始まる。

ハリウッドが赤狩りで狙われた理由として、ナチスの迫害を逃れた外国出身の亡命映画人やユダヤ人をたくさん抱えるハリウッドの進歩的なプロデューサーたちが、政府も議会も参戦を決めていない時点で、反ドイツの戦争熱を煽るような映画を製作していった。(「海外特派員」、「砂丘の敵」、「生きるべきか死ぬべきか」)。政治より先に「対独参戦」し、その代表がウォルター・ウェンジャーであった。
その結果、進歩的なハリウッドは保守派ににらまれるようになる。それが赤狩りでハリウッドが狙われる原因になったというのが、「傷だらけの映画史」の教えてくれる事実である。

中条省平氏のあとがきより、一部省略して引用。

なるほど、そういう流れになるのか・・という意外さ。
みてない映画も多く、手元においておいて、少しづつみていきたい。
映画題名、人名の索引もついており丁寧なつくり。