俺、つしま

猫の表現がリアルで、ふてぶてしいかわいらしさがたまらない。世話をしている女性のタッチが雑で、女性なのにおじいさんといういい加減さがいかにも猫の頭の中での人間の姿のようでそこにも芸の細かさを感じる。
主人公の猫がつしまって名乗っているのは、ただのイエネコではないとにらんでしまったおじいさんがいたから。本格的な話がはじまる前の冒頭のそのストーリーにも惹かれた。実は自分もうちにいるキジトラがどうも野生が強いなと感じているので。
ぼんやりした猫ちゃーにも親近感。(自分と重ねている)
大滝秀治ホンカンシリーズや「前略おふくろ様」のパロディーに声を出して笑ってしまった。作者(きょうだいらしい)の年齢私と近いのかな・・自分のペースのキャットシッターがシシドカフカ似(しかも「キル・ビル」のユマ・サーマンみたいなジャージ姿)なのもウケた。

俺、つしま

俺、つしま

裁判長のお弁当

日本映画専門チャンネルで放映された東海テレビのドキュメンタリー傑作選にて。2007年の作品。

平成ジレンマというタイトルの東海テレビのドキュメンタリーについてアナウンスしているブログから

ナレーション:宮本信子 プロデューサー:阿武野勝彦 ディレクター:齊藤潤一

ギャラクシー賞 大賞、日本放送文化大賞 入選

弁当が二つ。ある裁判長の注目すべき日常。愛妻弁当を毎日昼と夜、執務室で二回食べる生活サイクル。日曜も祝日も夜十時まで仕事を続けている。名古屋地裁の天野裁判長は、毎年400件の新規事件と100件の裁判を同時進行しなくてはならないのだ。日本で初めて、現役の裁判長に長期密着し、裁判所の内部そして裁判官の肉声を世に出したドキュメンタリーである。

裁判官の考え方が一般市民の考えとかけ離れているといわれることがあるが、つきあっている相手が被告になる可能性も考えてつきあいの幅は広げないようにしているという。
よく学生時代のつきあいが一番といわれるが、確かに一旦社会に出てしまったらその社会のルールが第一義になってしまうよな。
また人数が増やされず扱っている件数が大変多く、以前は裁判官は現場を自分の眼で見に行ったりもしていたが、現在では検察官の書いたものをベースに、それを法に照らしてどうかという判断になるとのこと。(裁判官によって新事実が発見されるような時代劇的な展開は期待薄との話)
時の政権の意に添わない判決を出した裁判官が通常の出世ルートからすっかり外れてしまっている話も紹介されていた。やはりそうなのだ・・その方は辞職勧告にもかかわらず、淡々と自分の道を歩んでおられたが、その中で気持ちを保つことの大変さ、いかばかりであろうか。。身近に感じ、考えさせられる話であった。

お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷

横溝正史原作 昭和34年 沢島忠監督 東映京都作品 
錦之助中村時蔵(三代目)演じる播磨屋歌六という名大役者の息子で、出奔してしまった文七という役。
その兄しうかを演じた中村芝雀さんという方がとても美しく・・調べたら、四代目の中村時蔵。次男が二代目中村錦之助ということで、最近「ワンピース」や「NARUTO」の歌舞伎の話題でみかける中村隼人氏のおじいさんということのようだ。そしてご長男は当代(七代目)の仇っぽい中村時蔵氏!四代目とても早逝されたよう。(62年に34歳で亡くなられたらしい。)
三代目時蔵の演じる「女暫」の舞台、かなり長尺でたのしめるようになっている。女暫の出てくる姿、鉢巻も蝶の触覚めいていると思ったら「あげは蝶」との言葉も出てくる。時蔵さんたちの播磨屋定紋があげは蝶ということにかけた楽しい演出なんだろうな。
大岡越前ともからめてあり、千恵蔵が大岡役。
横溝正史作品、映像化されたものでしか接したことがないけれど、犯罪を派手にショー化する要素が強いと感じる。これもそこまでしたら足がつく(それが主人公たちの作戦)におめおめ乗る犯罪集団。このつくりは歌舞伎的世界と相性はよいように思われる。

お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷 [VHS]

お役者文七捕物暦 蜘蛛の巣屋敷 [VHS]