日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-08-30

[][][][]エンタツアチャコの新婚お化け屋敷

宮沢章夫さんのカルチャー論を録画していたものをみていたら、「書を捨てよ、町に出よう」から糸井重里の「本読む馬鹿が、私は好きよ」へ移行する、肉体中心から頭脳への時代の流れという中で、チャップリンなどが源流のからだの動きによる笑いとは違うタモリやいとうせいこうのコンセプチュアルな笑いという話があったのだけど、この映画はまさに体を使った笑いの最たるもの。エンタツの体の動きの軽妙さに終始なごまされる。

エンタツの女房役を演じたのは霧立のぼるさん。名前だけはきいていたけれど可憐なひと。

高勢実乗氏、泥棒役で登場。よい味だ。楽しめた。いつもよく拝見している立派なひげはなかった感じ。

2018-08-21

[][][]殴られたお殿様

Movie Walker

丸根賛太郎監督ほんとにいい!好きだ。

食い詰めた旅役者の二人が、給料代わりに渡された金持ちの爺様風の衣装(水戸黄門風)を着用して宿屋に泊まっては夜中に逃げ出すという旅を続けていたが、ある城下で夕立金左衛門という男と出会う。ひょんなことからこの三人がお忍びの巡察視と間違えられ・・・というストーリーだが、飄々とした味わいのある笑いあり*1、かといって甘すぎる展開でもなく、監督デビュー作「春秋一刀流*2もそうであったと、もっともっと監督の作品をみたくなった。

市川右太衛門が演じる夕立金左衛門という男が、城内の悪事をみて義憤にかられ、勘違いされているのを利用してそれを糾していくくだり、これは、名前からしても遠山の金さんということ?と期待させておきながら、最終的に遠山の金さんのように権力を使って糺すのではなく、という展開もえらく気に入った。そのあとのシークエンスも楽しめたし、現代でも通用するおもしろさだと思う。

だいたいこの城の腐敗というのが、農民のただ働きだとか、悪事を訴えてもしらばっくれるだとかちょっと今に通じるところもあって・・流れとしてはビデオの山根貞男さんの解説によるとちょうどこの映画の封切の1946年頃、農地改革が始まっていてそういう時代の空気も反映させているらしい。下のものが責任を上にさっさと回す感じも好ましかった。

山根さんはニセ巡察視の話を中心としたドラマ展開はゴーゴリ―の「検察官」にヒントを得たものであろうと書かれている。「春秋一刀流」もフランス映画「我等の仲間」からと書かれつつ、一見そうと思えないところに、つくり手の才能が光っていると書かれている。*3

丸根監督のものをもっとみたくて調べていたら、以前よく拝見していたサダナリデラックスというHPの定成寛さんの書かれた丸根監督に関するブログ記事が出てきて嬉しくなった。定成さんも丸根監督大好きだとのこと。天の巻はこちら。地の巻はこちら

[][]弥次喜多道中

雷蔵の弥次さん、なかなかいい。雷蔵、軽いお芝居の時、いいなと思う事多いように思う。

太陽族」「処刑の部屋」「アプレ」「ラジウム」など制作当時の言葉がたくさん入る軽妙な時代劇コメディー。すごくテンポがよかった。アチャコの「軍隊でたとえれば」と人の地位をいちいちたとえていう繰り返し芸や、あの口調もおもしろい。ローテクな特殊効果みたいなのも愛らしい。山茶花究の医者役(その名も久庵)もいつもほどイケズな感じでなく飄々としていてよかった。

ラジウムを盗もうとするなまりのある悪者二人組が気になったが誰だろう・・

弥次喜多道中 [VHS]

弥次喜多道中 [VHS]

*1:今だとひょっとすると問題になるのかなという吃音がらみのギャグもあるけれどこれもそんなにいやな感じがしなくて。

*2http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20160226/1456443095

*3:後述する定成さんによると、丸根監督の作品は「髷を結った欧風喜劇」とのこと

2018-08-20

[][][]大江戸五人男

昭和26年伊藤大輔監督。「松竹三十周年記念映画とのことで、阪東妻三郎市川右太衛門高峰三枝子山田五十鈴をはじめとして、映画、演劇、歌劇各界のスターを総動員」とビデオジャケットにあるが、豪華な面々。話も、「播州皿屋敷」と「幡随院長兵衛」「魚屋宗五郎」の話がからめてありふくらませてある感じがする。

播州皿屋敷」は劇中劇として出てくる。また「娘道成寺」のようなシーンもあった。

水木あやめという女形役者を演じた河原崎権三郎(のちの三代目権十郎とのこと)という人にほれぼれ。女形の話し方、動作本当に美しい。権三郎のことを調べていて、お父さんの二代目権十郎溝口健二の「残菊物語」の五代目菊五郎を演じ*1、この映画でも劇中劇で青山鉄山役を演じていた*2らしいと知る。

大江戸五人男 [VHS]

大江戸五人男 [VHS]

*1https://www.kabuki.ne.jp/meikandb/sp/omoide/actor/385

*2:お菊」を演じたとなっているものもあるけれど、お菊はこちらの「大江戸五人男」のwikipediaに載っているように権三郎だ。映画クレジットにそう出ている。

2018-08-18

[][][][]ごろつき犬

1965年作品。

天知茂さんの追悼だったかで天知さんの思い出としてこの犬シリーズの「ショボクレ刑事」を挙げる人がいたが、ほんと素晴らしい!今でたとえたら松田龍平のような、クールな美男がオーラを消してしょぼくれている感じが最高!彼なくしてこの作品のコクは出ない。時代が転倒した言い方を続ければ、ルパン三世に出てくる銭形警部*1のようななりをしているけれど、うまく田宮二郎演じる、銃の手さばきに自信のある、軽くて陽性の男鴨井を転がして、自分は影の立役者みたいな渋い役回り。表面上鴨井にしてやられても、なにか鴨井を信頼したような笑顔がとても魅力的。

twitterで感想を書いたら、田宮、天知の掛け合いを生かした藤本義一の脚本のすばらしさもコメントしてもらったが、たとえば大阪の町の人がぽそっというセリフとかもありそうでツボで笑わされた。

江波杏子はクールでモダン。水谷良重はちょっと重たみもある女、少々のどろくさいエッセンスに逆に惹かれる部分あり。坂本スミ子はコミカルリリーフ。←良い味。

ダイマルラケットのお二人の登場も嬉しい。昭和40年代くらい平日お昼に朝日放送で流れていたラジオ番組楽しんでいたなあ。(調べたら「ダイマル・ラケットのみんなの歌謡曲」らしい。wikipediaをみていると、ミヤコ蝶々の話で出てくる南都雄二氏も出ていたんだなあ。)

宮口精二さんも掘れば痛いところのある大企業の社長役で登場。贅沢な気がした。

ごろつき犬 [VHS]

ごろつき犬 [VHS]

*1:銭形警部もwikipedekiaでみていると、原作ではアニメみたいにコケにされるばかりの感じでなくこの作品のショボクレっぽい感じであったようだ。

2018-08-15

[][][][][]小判鮫

映画com

wikipediaの衣笠監督のところにはこの作品についてこのように載っているが、*1

1946年(昭和21年)、明治開化期の鉄道建設を巡る利権争いを、東宝オールスターで描いた喜劇映画『或る夜の殿様』が戦後第1作となり、翌1947年(昭和22年)に島村抱月と松井須磨子の恋愛事件を描いた『女優』、オムニバス映画の『四つの恋の物語』第4話を監督後、東宝を退社してフリーとなる。同年、長谷川と山田五十鈴が設立した新演伎座の顧問となり、同座製作で『小判鮫』を製作するも、東宝争議もからんで不評となり

自分にはなかなかよく出来た作品に思われた。

長谷川一夫が、歌舞伎役者 中村紅雀と離れ島の役人の息子百太郎の二役をこなす。そして、紅雀の方が、演じる舞台がいくつもあり楽しめる。(多分、揚巻、児雷也(衣装がそれ風)、娘道成寺、あと三人で刀のうちあわせをしているようなのは何だろうか。。)中村紅雀は上方芝居とあるけれど、中村座と称していて、紋の図柄も銀杏。自分には今の中村座と関連があるようにみえた。

山田五十鈴が軽業師。身のこなし、ちょっとすれた感じなどなかなか良かった。

*1:原典 衣笠貞之助 『わが映画の青春 日本映画史の一側面』 、中央公論社〈中公新書〉、1977年。とのこと