日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-07-21

[][][]Sweet Sixteen

ケン・ローチ監督のドキュメンタリー*1で、登場人物の自然な表情、その人らしさをひきだすことを大切に思っておられる話がでてきたが、この映画もまさに、16歳になろうとしている主人公や友人の表情のリアルなこと!

知恵で自分の道を切り拓いていくところは、抑制のきいた「スカ―・フェイス」であり「グッドフェローズ」であり・・・少年が現実突破を考えるところ、そして、そこに立ちはだかる壁の描き方に心をとらえられる。いってみれば監督の「ケス」*2でも「わたしは、ダニエル・ブレイク*3でも、この構図があり・・みていて気持ちを持っていかれる。

友人のピンボールが車を乗り回すシーンの、最初の「魔笛」の夜の女王のアリアが、後半たたきつけるようなロックに変わるあたりの音楽の使い方好き。

[][][][]愛と哀しみのエリザベス

マイケル・ケイン演じる作家にグレンダ・ジャクソン演じる妻

以前はどこへ行くのも一緒の二人で、妻は子どもや家族を大切に思っているが、息抜きの必要も感じ、温泉バーデンバーデンへ。

そこにいたのがヘルムート・バーガー演じる自称詩人

マイケル・ケインのグレンダ・ジャクソンへの屈折した愛情。ヘルムート・バーガーとなにかあったら・・という妄想がおさえられないし、それが創作の原動力にもなっている。川端康成的なものも感じる。

その挙句に、想念がなにかを生み出す、でも三者三様の思惑はかみあってない、という風に自分にはみえたが、解説はいろいろ・・わたしがマイケル・ケインの勝手な空想と思っていたところについて、ほんとに起きたことのように書いてあるものもあって・・でもそれだと本当につまらない話になってしまうのでは・・

2018-07-09

[][][][][]遥か群衆を離れて

movie walker

1967年 ジョン・シュレシンジャー監督、トーマス・ハーディ原作。ジュリー・クリスティ演じる英国の農場経営者(なかなか魅力的)を巡る三人の男性の話。トーマス・ハーディ、「テス」をずいぶん前にみたが、同じ作家という感じがとてもする。

撮影は「赤い影」*1ニコラス・ローグ

三人の男はそれぞれ富と名誉、労働力や精神力、色気みたいに分類されると思われ、三人の中では、アラン・ベイツ演じるガブリエルが一番働き者で頼りになるだろうという感じなんだけど、色悪みたいなテレンス・スタンプに妙に惹きつけられる。落ちぶれて滑稽ななりをしていてもそれがまた魅力にみえる。狂気すれすれの魅力みたいなのもあり、日本の俳優でたとえれば萩原健一の若い頃のような・・「嵐が丘」のヒースクリフを思い出したりもするが、このストーリーの中ではヒースクリフっぽい位置にいるのは、アラン・ベイツの方のようで・・

イギリスの作品で結婚という事が大きな要になっているストーリーをよくみるが、階級社会の中でのその後の生活という部分と愛情のパーセンテージのずれによるドラマが生まれているような気がする。

ストーリーはとても起伏があり、163分があっという間。大河ものっぽい作品が大好きな自分にはもう楽しくて楽しくて。イブ・モンタンの「愛と宿命の泉」なんかももう一度みたくなったりしている。

2015年にもリメイクされたらしい。

2018-06-29

[][][]ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生

是枝監督のカンヌの受賞後の騒ぎなどを思わせるようなところもあり、大好きな映画「ケス」*1製作秘話も。

ケン・ローチと初期の仲間はミロス・フォアマンの映画の、人物の自然な表情を撮るところにとても惹かれたという。(「ブロンドの恋」の場面が出てきていた。)

わたしは、ダニエル・ブレイク*2の撮影についても多く触れられていてみたものには、場面なども浮かびとても興味深かった。

2018-06-26

[][][][]日曜日は別れの時

twitterでdvd化を待っている方の書き込みを読んで借りてみた。

ビデオジャケットより

40歳になるユダヤ人の開業医、ダニエルは若い芸術家ボブと同性愛の生活を送っている。が、ボブには年上の女性アレックスという恋人もいた。アレックスもダニエルもお互いにその存在を知りながら、ボブに問い詰めることもない。表面的には穏やかな時間が流れる中で、互いの感情は複雑だった。誰もがこの関係に不安を抱きながら、しかし3人ともすべてを失うことを恐れているのだった……。

アレックスを演じたグレンダ・ジャクソンの知的な表情がとてもいい。知的ゆえに陥る境遇も描かれていて、静かだけどじんわりしみて、納得のいく映画。グレンダ・ジャクソンの名前で検索すると、元女優で今政治家と出てくるけれど、そうなのかな・・確かに意思はとても強い顔立ちだけど・・*1

ユダヤ社会の中でのダニエルの宙ぶらりんもデリケートな描き方で心に触れる。ダニエルを演じたピーター・フィンチもこの作品で英国アカデミー賞を受賞している。

アレックスがボブと一緒に友人宅でベビーシッターをするのだけど、その描写も細やかだ。そして、そこで起きる事柄から思い起こさせられる出会いと別れ。このアルバイトをする家庭やそれぞれの実家でのエピソードをはさむことで、ただの恋愛ものではない大人の孤独を味わわせる作品になっている。

ダニエル・ディ・ルイスが子役で出ているということで、英国映画の参考にさせてもらっている「英国党宣言」のこの映画のコーナーを拝見するとエキストラで参加、デビュー作らしい。

子どもがマリファナ吸ったり70年代っぽい中にもこどもと出かける時はバックにクラシックな音楽がかかったりして落ち着くなと思っていたが、音楽についても「英国党宣言」に載っていた。歌劇『コジ・ファン・トウッテ』より三重奏。これがあの散歩のシーンの音楽なのかな?

*1:あとの行で紹介する「英国党宣言」の彼女のコーナーに政治家転身の話が載っていた。

2018-03-15

[][]わたしは、ダニエル・ブレイク

京都シネマにて

公式サイト

ケン・ローチ監督の、伝えたいことがずばっと伝わる話法いい。「ケス」*1の少年の怒りの精神がここに、もっと広がりをみせて描かれていると感じる。人間を幸せにするためのシステムのはずが、人間を苦しめている。ユーモアや温かみもまじえての円熟も感じられる。

「京都シネマベスト10企画」ということで、昨年京都シネマでかかった作品の中から投票で決まったベスト10を上映しているのだけど、リバイバル上映にもかかわらず自分と同じか少し上の世代の人たちが朝からたくさんつめかけ、真剣にこの映画を受け止めておられる。。心ある人がこれだけいる、という気持ちに。雰囲気をつかめることが劇場で映画をみられた時の醍醐味だな。