日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-04-24

[][][]怪異談 生きてゐる小平次

こんなに歌舞伎風にまとめてある映画とは知らなかった。

コトバンクによると、もともと十三世守田勘彌や六世尾上菊五郎によって演じられた演目だそうけど、芝居の役者(緞帳芝居←本格的なものではないの意味らしい)小幡小平次囃子方の太九郎の二人の男に、太九郎の妻おちかがからんでおり、舞台も出てくるし*1、また日常でも舞台ごっこみたいなのをしていて、「助六」からと思われる場面や忠臣蔵の勘平切腹の段などが出てき、セリフ回しも芝居の好きな三人ならではの七五調などが多くとても楽しめる。特に小平次を演じた藤間文彦という人のセリフ回しやしぐさがきっちりしていて良かった。六世藤間勘十郎氏と藤間紫氏の間の息子さんとのこと。

舞台の雰囲気と外での映像がうまくまざりあい強い印象を残す作品。

題字は天知茂氏とのこと。中川信夫監督と信頼し合って仕事しておられたのだなあ。

*1:まずしょっぱなは「船弁慶」だろうか?旅回りで出てくるのは「夏祭浪花鑑」「伊勢音頭」や「曽我兄弟」?←要確認

2018-03-18

[][][]明治一代女

タイトルはきいたことがあったが、こういう話だったんだ・・

川口松太郎原作 1955年伊藤大輔監督作品

映画comの解説を一部使わせてもらうと

木暮実千代演じる柳橋芸者の叶屋お梅は三代目仙之助の名を継いで一本立ちになろうとして上京して来た若手歌舞伎役者沢村仙枝と恋仲であったが、杉村春子演じる「大秀」の女将お秀は、昔仙枝の父と懇意な間柄であったのを理由に、娘の小吉をやがては仙枝の妻にと願っていたために、なにかにつけてお梅に辛く当る。(杉村さんのイジメ、堂に入ってる。また小吉っていうのが・・・っていう表現が巧い!)

いよいよ襲名披露に当たってお梅は自分が取り仕切りたいけれど、財力でお秀にはかなわない・・それをみて普段よりお梅に好意を持っていた田崎潤演じる箱丁の巳之吉が故郷の塩田を売って資金をつくり襲名披露とげたあとはすっぱり一緒になろうという約束をしてくれるが・・というストーリー。

巳之吉の作ってくれたお金が、大きすぎる金額が動く襲名披露の前では微力にしかならず、せめてそれをひとつの形にしてほしいと沢村仙枝に会おうとするも会えないことから、巳之吉に申し訳がたたないと、説明がつくまでお梅は巳之吉に会わないところから悲劇が起きるが、これは誤解されても仕方ないだろうとみている現代人の自分は思ってしまう。歌舞伎文楽をみていても説明不足から起きるドラマに対しいつもそういう風な思いが一瞬頭をもたげ、いやいやこれはそういう世界を味わうものだからと思い直すようにしているが、お梅はやっぱり仙枝の方をずっと好きで、巳之吉という人間と一緒になったとしても本当に巳之吉が好きでというのとは違う感じにみえる。

仙枝を演じた北上弥太朗という俳優さんはこちらによると歌舞伎出身で、のちに歌舞伎に戻られた方という。(こちらによると本名が北上弥太郎という表記らしい。)「三人吉三」の舞台が最初出てきて、お嬢吉三を演じられるが、とても仇っぽく鮮やか。最後も「地雷也」の所作とうまくあわせてあるのはおもしろい趣向。

尾上梅寿郎を演じた市川小太夫氏も歌舞伎の世界での地位がうかがわれるような存在であることの気配がさすが。お二人とも大庭監督の「残菊物語」*1に出ておられるよう。

お梅が潜伏した、黒澤明の「どん底」を思わすような場所、猿回しの人やらなにやら祝儀もののようなものの内職をしている人やら作りこんであって気になる風情だった。

明治一代女 [VHS]

明治一代女 [VHS]

2017-04-15

[][][]残菊物語

大庭監督の「残菊物語」*1をみて、もともとの溝口監督のバージョンを再見したくなった。

大庭監督の、昭和38年に作られたバージョンはとてもわかりやすく、大庭監督のをみてすぐに溝口監督のを再見すると私には以前みたときより理解が進んだ感じがする。溝口監督版は、昭和14年に作られていて、歌舞伎のお約束のようなものがいろいろ説明しなくてもみている人みんな知っている状態だったと推測されるし、知っていることの説明は野暮とばかり言葉などによる説明よりも心を映す情景に力が入っていると思う。

最初の菊之助の舞台の後の舞台裏の情景や、菊之助が大阪で復活して「積恋雪関扉」の墨染を演じている時、桜の舞う舞台を見守る御簾の中の友人福助の様子、ふと菊之助が物思いにふけるときの寺島の家の庭、菊之助を送り出した後のお徳さんの心のうちをあらわすような大きな影の表現など大変凝った画面ばかり。人物のアップの場面が少なく、絵巻の中の物語のよう。

美術考証に木村荘八氏の名前。でも美しい画面の構成は三木滋人の撮影や美術監督の水谷浩氏のお仕事が大きいのだろうか・・(最後まで読めない記事だけど福田和也氏のこちらの記事参照)

大庭監督版はお徳さんが岡田茉莉子で、これもよかったのだけど、もう一回溝口版をみると、この森赫子という人のはかなげな(でも芯のしっかりした植物のような)感じがさらに話になじんでいるような気持ちもした。

また大庭版で「おっ」という気持ちになった、大泉滉が演じていたドサ周りの一座にいる女形風の役者の描写や、名古屋の宿にいた左卜全などの役回りの存在がずっと薄く(溝口版には左卜全の演じた人出てこず)、きっと大庭監督はこのお二人が好きだったんだろうなとにやっとしたりも。

みたのはVHS版

☆このあと、NHKプレミアムカフェの「杉村春子への手紙 〜1500通につづられた心の軌跡〜」という番組をみていたら、杉村さんと親交のあった人形作家のホリヒロシさんが出てこられ、杉村さんが立ち姿の美しさをこちらの主人公を演じられた花柳章太郎さんの姿から学ばれた話が出てきて、章太郎さんががっちりした体なのに女形をきれいに演じられる話が出てきた。確かに章太郎さんとても美しい姿をされていたし、がっちりなどとは思いもしなかったなあ・・

2017-04-06

[][][][][]残菊物語

「残菊物語」というと溝口健二版の評価が高いけれど、実は溝口版をみた時、まだ歌舞伎とか自分がみていない時分で味わい方も中途半端だったように思う。今回多少は歌舞伎をみるようになった目でみるととてもおもしろかった。

猿之助(現猿翁)が、尾上菊之助の役で、最初ダメな芸だったのが、苦労して向上する役だけどその違いがわかる演じ方でおもしろい。

津川雅彦が友人中村福助の役なんだが、津川氏の顔がなかなか歌舞伎役者っぽくサマになっていた。

大泉滉演じる旅芸人のなんだか女性的な感じ、左卜全演じる木賃宿の老爺、二人とも場面をさらっている。大泉さんは、同じ大庭監督の「京化粧」*1の呉服屋も目をひいていたなあ。

映画com

2017-03-26

[][][]絵島生島

六代将軍家宣の末期から八代将軍吉宗に至る時代を背景に、当時起きた江島生島事件を描いたもの。劇中劇として「助六」「廓文章」「鞘当」が出てくるのも豪華で楽しめるし、二代目尾上松緑が演じる二代目市川團十郎が活きが良くてよい感じ。七代将軍の生母月光院を演じる高峰三枝子が気品がありつつも弱いところがあるというような感じをよく出していた。

間部詮房、よしながふみの「大奥」に出てきたのは憶えているけれどもう一度読まないとどういう感じで出てきたかすっかり忘れている。

絵島生島 [VHS]

絵島生島 [VHS]