日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-04-24

[][]海辺のリア

仲代さんの芝居はすばらしいし、このときの仲代さんをカメラに収めたという意味では価値あると思う。

脚本はもう少し練り込んでほしい。「リア王」の話をなぞっている、それだけになっていて、上の娘原田美枝子の心情やそこからの仲代さんの境遇もざっくりしすぎている。まず気になったのはfilmarksでも書いておられる方がいらしたが、「施設」=親捨てのような表現。この作品の長女は厄介払いの雰囲気だったかもしれないが、なにか簡単に割り切ったそのセリフは現実離れしたもののようにも思えた。

さらに日本映画専門チャンネルで、監督と軽部真一氏の会話の中にあった、これは老俳優のみていた夢とするかどうかという話、老いたる世界というのは、そんなここから認知症とかはっきりしたものでなく、あっちの世界とこっちの世界が混ざり合ったりしていく、グラデーションがあるのではないかと思うのだが。。

また、もう一人の娘黒木華がいわされているセリフもこういうことありそうだなという訴える力に欠け舞台劇ぽくて映画の世界になじんでいない気がした。(演技ではなくそのセリフの設定に問題を感じた。)

海辺のリア [DVD]

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2016-08-02

[][]0.5ミリ

「ゆとりですがなにか」以来安藤サクラが大好きになってしまい、「百円の恋」*1に引き続き安藤サクラ祭。安藤さんの個性が生かせた作品だと思う。

3時間越えと少し長い作品、しょっぱな介護の中で辛い部分から始まり最後まで見終わらせることができるのだろうかと少し不安になったが、円環になっていて、落し前つけるための時間だったかな・・

タイトルの0.5ミリは静電気が起きるくらい近い人と人との距離感ということだけど、映画の中で津川雅彦がいっていた、上から押し付けられた考えでなくて、一人一人の考えが0.5ミリずつでも動いてそれがうねりになることの尊さという話の時もタイトルを意識した。

安藤サクラ演じるサワさんはヘルパーというある種母親業的な仕事をしていて、母性を感じるけれど、そのこととサワさんが母親になるかどうかは関係なく・・その辺の設定もナイス。(と、最初観たときは思ったが、わざわざそのことを表現しなくてもよかったかなという気に後からなっている。)

wowowの「w座からの招待状」を録画しての視聴だったが、小山薫堂長友啓典のお二人が、それぞれ介護を受ける人たちのリアルさについて語っておられたのが救い。わたしも出てくる人たちを身近に感じすぎてこわいほどの気持ちを味わったので。

0.5ミリ [DVD]

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2015-08-29

[][]スクラップ・アンド・ビルド

文藝春秋9月号にて。

少し前に読んだ同じ作者の「ワタシクハ」*1の主人公と、重なるものを感じる。努力は怠らない。他人の観察が冷静。どこかしら漂うユーモア。

二十代で転職求職中の主人公と同居するディに通う祖父とのかかわりを描いているが、出てくる祖父が長崎出身という事で、自分と同じ境遇なものでもうもう祖父に肩入れして、主人公の失礼な言動に我慢しながら読み進めたりしたのだけど、わたしのようなものがそんな気持ちになるのは当然計算されていて、あくまでも若者の心の中のつぶやきで遠慮なく視野の狭さなど関係なしに話が進むゆえに真実味や挙句はっと胸につかれる感じも味わえた。ちょっとこの感覚、先日放映された「団地ともお」の戦後70年スペシャルにも似ている感じ。

羽田さんの作品これからも読んでいこうかなと思っている。


スクラップ・アンド・ビルド

スクラップ・アンド・ビルド

文藝春秋 2015年 09 月号 [雑誌]

文藝春秋 2015年 09 月号 [雑誌]

2015-02-14

[][][]ペコロスの母に会いに行く

まず映画の方を先にみて原作を読んだのだけど、原作をうまく映画向けにしてあるなあと思った。原作の、誠実にあったことを記し、極力盛ったりせず、作者の中での真実と感じられることしか描かないという感じがする風合いが映画として公開するためにちょっと変えられているところもある気がする。映画作りも誠実な方だとは思うけれど、最後のクライマックス的なシーンでの人の配置などにそれを感じた。でも映画、全く悪くない。というかすごく良い。原作をうまく一般的に説明できている感じがあって、この作品の魂に接し理解する裾野を確実に広げていると思う。(原作は原作で訥々とした魅力があるけれど)

介護ものや福祉ものの作品に出会ったときの敬して遠ざけたいような感じはゼロ。映画も原作も楽しく味わえるし、「介護問題」だとか「介護地獄」などという、迷惑かけられる、みたいな話でなく、誰でもはじめからおばあさんじゃないし、自分の延長線上にこの世界があるんだよ、でも悪いことばかりじゃないんだよというのがほんわかとしっかり伝わってよい作品だ。

映画の方の赤木春恵の表情がほんとにリアルで(知人に会ってぼんやりとしているところやはっと認知症の世界から目がさめるようなところ)よいし、岩松了もぴったり。加瀬了の細やかすぎてお酒に溺れる昭和の父親の雰囲気もすばらしい。映画の中で実写がちょっとキツいところはアニメ使ったりその按配もうまい。


ペコロスの母に会いに行く

ペコロスの母に会いに行く

2014-12-16

[][]老いた親とは離れなさい

茶の間においておきにくいタイトル。もちろん姥捨て的な話ではない。

介護のお休みをとることの厳しさとか現状すごくかゆいところに手が届く感じで書いてある。でも厳しい厳しいって嘆いているのでなくどう現状に落としどころを決めてやっていくかに力点が置かれ、よい感じ。

確かに介護ってちょっとだけ休みたいときにそれを口に出すのがはばかられる雰囲気あるんだよな。健全なワークバランスをとっていけるといいな。

老いた親とは離れなさい

老いた親とは離れなさい