日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-08-06

[][][][]鮫

昭和39年 田坂具隆監督作品。眞継伸彦原作。

主人公は中村錦之助演じるところの越前の漁村(三国付近?)で生まれた「鮫」と呼ばれる青年。流民とかいうことで、漁村の他の連中から差別されている。支配者が漁村の他の連中に祭で気持ちを発散させている時に、流民の部落の方は焼き討ちにあう。大義名分が全くなしではあったが、まあ、どうせ理由なんかあってもこじつけだし、こういうことが往々にして起こるのだよということは充分わかるので、そのまま話を追う。(加藤嘉の、流民を恐れているからという言葉は映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」でのマイケル・ムーアの主張にも通じるところがある)

ただこの時の祭が、「面かぶりの神遊び」を許可するとか支配者がやってきて宣言し、神の島から使いの者が面を届けてくれ、魚介類の面をかぶって浜辺で踊るというようなもので、これはどういうお祭りなのだろうかと、とても興味を持った。

鮫が、加藤嘉扮する祖父に自分の父親についてたずねたところ、「ひじほうもん」という言葉が出てくる。秘事法門ということだろうか・・wikipedia秘事法門の項はこちら

焼き討ちで母を喪った後、鮫と祖父は京の六角堂で願阿弥という僧が飢えているものに施しをしているという話をききつけ、京を目指す。(願阿弥についてのwikipediaの説明はこちら。)

足軽からゆくゆくは、武士にということを目指している鮫だが・・・鮫がいろんな人と出会ってなにかを学んで年をとっていくストーリーになっていて、その出会う相手とのことがなかなか鮮烈に描かれている。

特に足軽隊で出会う元人買いの加東大介現実主義者で、その世界で生きていくコツを教えてくれるのだが、太刀捌きも美しくなんと頼もしいという風にみえる。

そのあと鮫にとっての一番大きな出会いが、三田佳子扮する見玉尼との出会いである。若き三田佳子の清らかで美しいこと。役にぴったり。三田さん、こういう感じだったんだとつくづく思った。

鮫 [VHS]

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2018-02-24

[][][]古都

山口百恵主演の市川崑監督版。(1980年

市川監督の風景の中の人間のショットは美しいと思う。町家などの前に町家のアクセントとして佇む人の姿。町家の中でも住まいに高いポイントが置かれているように思うしその撮り方は魅力的。

山口百恵はとても美しく、境遇が違ってしまった双子の演じ分けが巧みにできている。京都弁も結構がんばっている。(時々は気になるけれど)

古都*1中村登監督バージョン、平成版(昭和版の主人公が母親になっている将来を描いたストーリー)*2とみてきたけれど、基本は同じでも力の入れ具合が違う。中村登監督のでは、宮口精二演じる父親の思い詰めっぷりが心に残っている。この映画では、そこもさらりと描かれつつも、それを冷ややかにみるいけずな常田富士夫演じる番頭とその配下の住み込みの小僧さん二人の姿が印象的。悪口を小僧に言わせておいてたしなめる高等テクニックまで駆使。この映画では父親役が實川延若氏。名前はきいていたけれど、はじめてお姿を確認したと思う。

市川監督の「おはん」(1984)*3でも思ったのだけど、タイアップ企画なのか、この映画では山口百恵歌うところの歌謡曲が、「おはん」では五木ひろしの歌が冒頭かかるのは好みにあわない。もう少し年代がたって、リアルの二人をよく知らない世代の人たちには資料映像としておもしろいかもしれないが。。音楽の使い方も時代のせいかちょっと安っぽい。

あと市川監督の映画をみると思わせぶりなカットというのが特徴のような・・ちょっとしたショットでも意味深だったり、なにかを予感させてドキッとしたり・・

ばらばらに育った双子に巡り合えての気持ちの深まりは幼くして孤児だった川端康成の乾きからきているのかな・・また中村登監督版で強く感じ、この映画にも少し描かれている父親の惑いも川端自身の気持ちを反映しているようにも思われる。

火災で改築する前のイノダコーヒが映っているのも貴重だと思う。

沖雅也さんも、映画での演技をしっかりみたのははじめてくらいかも。実務的で骨のある男性を好演。


古都 [Blu-ray]

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2017-11-11

[][]古都

話としては、昭和に作られた「古都*1の後日談のような感じ。「古都」の主人公の双子(1963年版では岩下志麻が演じていた役、この作品では松雪泰子)が子どもを産んで、その子どもたちがちょうど母親と同じような年齢になり、生き方について色々考えるといった構成。63年版の時代から変わりつつある京都、依然変わらない京都両方を描写している。

前作を踏まえて対照していく楽しさはある。これは、前作で長門裕之の演じてた取引先の人かな?とか、宮口精二の演じていたお父さんかな?(奥田瑛二が演じていて、なんか芸術志向で悩む感じとか前作の雰囲気を引き継いでいた)とか・・松雪泰子の演じ分けもうまい。

全体的には京都のプロモーションビデオみたいなところもあるけれど、元々そういう話みたいな気もするし・・

橋本愛が髪をあげてきりっと着物を着ている姿美しい。また、彼女も成海璃子も、松雪泰子も京都の言葉に違和感がなかった。橋本愛が行っている学校が同志社で撮られているが、学友のおしゃべりは京都弁っぽすぎる気もした。(現実には学生の友人同士ならもっと大阪の言葉がまざった感じになると思うのだけど、えらく濃い京都弁で・・でも、それも見ている人の期待に応えてって感じなのかなとも思った。)

古都 [Blu-ray]

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2017-11-02

[][]ぼくは明日、昨日のきみとデートする

家人が叡山電車茶山駅でこの撮影と出会った話をしていて、みてみた。時間が逆に流れている女性との恋愛もの。この手のものは考えすぎると納得がいかなくなったりするので、さらっと見た方がいい感じ。叡山電車宝ヶ池駅や動物園など京都のおなじみの場所はたくさん出てくるけれど、感激するにはこちらの年が行き過ぎたかな・・

トヨクニハウスという大阪のアパート(物語の中では京都設定)なかなかよかった。

映画に描かれた京都について考察している方の記事が京都新聞にあり。頷きながら読む。


2017-10-02

[][][][][]魂遊び ほうこう

ポレポレ東中野で公開時の紹介ページ

movie walkerの紹介ページより

京都在住の人形師・奥井恵介の仕事ぶりを描くドキュメンタリー。奥井恵介は京都の銀閣寺に近い下宿に住み、顔師を生業としている。顔師とは芸妓や舞妓などにいわゆる白塗りの化粧を施す人のことである。そのかたわら奥井は独創的な人形造りを続け、寺の境内などさまざまな場所で公演を行ってきた。また、音楽も新内、地唄、長唄などの邦楽を始め、電子音楽といったさまざまなジャンルのものを使用している。

高林陽一監督。1988年製作。

ビデオジャケットの「協力」の欄に大林宣彦監督の名前が。ドラマ仕立てで、みているものを代表しているような人が奥井の人形と出会ったりする場面の風合いなどは大林監督の映画風でもあった。何かスケッチブックに描いたようなタッチ。

ロケは京北(バス停に「鬱桜寺」という文字が見えた。)や山陰線の日吉駅あたりか(1996年まで殿田駅という名前だったようだが、「たばこは日吉町で」というような看板がみえる駅前。)

奥井氏の作る人形芝居は、情念などがどろりと沸き立ち、ストリップ劇場「京都道成寺」における 「娘道成寺 日高川」など大変エロティック。土の匂いがした。もしかして原初の人形芝居というのはこういう妖しさを秘めていたものかもしれない。