日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-04-24

[][][]怪異談 生きてゐる小平次

こんなに歌舞伎風にまとめてある映画とは知らなかった。

コトバンクによると、もともと十三世守田勘彌や六世尾上菊五郎によって演じられた演目だそうけど、芝居の役者(緞帳芝居←本格的なものではないの意味らしい)小幡小平次囃子方の太九郎の二人の男に、太九郎の妻おちかがからんでおり、舞台も出てくるし*1、また日常でも舞台ごっこみたいなのをしていて、「助六」からと思われる場面や忠臣蔵の勘平切腹の段などが出てき、セリフ回しも芝居の好きな三人ならではの七五調などが多くとても楽しめる。特に小平治を演じた藤間文彦という人のセリフ回しやしぐさがきっちりしていて良かった。六世藤間勘十郎氏と藤間紫氏の間の息子さんとのこと。

舞台の雰囲気と外での映像がうまくまざりあい強い印象を残す作品。

題字は天知茂氏とのこと。中川信夫監督と信頼し合って仕事しておられたのだなあ。


[][]春琴抄

山口百恵版。三浦友和の清潔感、山口百恵の凛とした感じがとても良くて、こっちのゲスな想像を封じる勢い。

クライマックスシーンの演出は少しリアリティが強すぎた気もするが、耽美の影をもたせるというよりわかりやすい映画づくり。それはそれで好感が持てるし、思ったよりずっと風格のある画づくりで良かった。

(以前みた京マチ子*2では、みるものが想像をたくましくする部分がこちらよりあったように思う。でも全体の話の流れがもう少し長くしてあり、こちらほど、あった出来事を段取りよくみせるというより靄の中の物語という感じがよく出ていたように思う。)

春琴に横恋慕する津川雅彦大阪の大店のダメなボンぶりが堂に入っている。

春琴抄 [DVD]

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*1:まずしょっぱなは「船弁慶」だろうか?旅回りで出てくるのは「夏祭浪花鑑」「伊勢音頭」や「曽我兄弟」?←要確認

*2http://d.hatena.ne.jp/ponyman/20130307/1362668765

2018-03-21

[][]小説吉田学校

戦後の政治の世界の人物相関図を知る足がかりにはなりそう。きら星のように登場する昭和の政治家たち。

若山富三郎演じる三木武吉という人物の迫力。これが一番心に残る。

若き田中角栄西郷輝彦が演じていたがこれまた雰囲気が出ていた。

森繁久彌演じる吉田茂麻生太郎財務大臣の姿が頭の中にちらついてしまう。ひょっとしてそれだけ実物と似ていたということだろうか・・

吉田配下の佐藤栄作竹脇無我が演じているが、「だいこんの花」など森繁久彌のおやじに振り回されるドラマを楽しんできた自分はにんまりした。

ラストのテーマソングみたいなのは80年代の映画によくある悪い癖のように感じた。

小説吉田学校

小説吉田学校

2018-03-20

[][][]雪国

岩下志麻主演の大庭監督版。(1965)。「残菊物語」の時も思ったけれど、大庭監督作品は物事をかみくだいて伝えるところがあると感じた。

岸恵子主演の豊田四郎監督版(1957)*1をみたのもだいぶ前でかなり忘れているけれど、かなり違った印象。一番目をひいたのは加賀まりこ演じる葉子。豊田監督版では八千草薫で、生真面目さが少し煙たいくらいだったけれど、加賀さん演じる葉子はいたいけなさみたいなものが濃厚でよかった。

原作は湯沢温泉が主な舞台のようだけど、この映画では、協力として野沢温泉の名前が流れていた。

途中出てくる、子供が昔懐かしい信州味噌のようなわらをかぶったような風俗で歩いている鳥追いというお祭りがとても印象的。またちぢみの製作現場をまわるところも心に残る。美しい風景がおさめられている。撮影 成島東一郎。 音楽は山本直純

雪国 [VHS]

雪国 [VHS]

2018-03-13

[][][][]壇の浦夜枕合戦記

壇の浦の合戦の後日談としてつくられた神代辰巳監督のロマンポルノ。(昭和52年)

義経を風間杜夫が演じて、ビデオジャケットにも「怪演」と評されているけれど、たしかに建礼門院の前にはじめてお目通りを許された時声がひっくり返ったり、源氏のイメージをおもしろく体現してたりする。

清盛を小松方正。祇王と仏御前とのこと、最期など迫力をもって演じている。逝去の時の不動明王と思われるものを部屋に配置しての画面、ひきつけられる。

海に流され即身仏になった法師の逸話と琵琶の音、そこからちょっと俗謡めいたものにもなったり、またジャズっぽい音(こちらのブログによると音楽担当に名を連ねてある沖至という方は伝説的なトランぺッターだとのこと)とあわせたり、神代監督の作品は音楽のあわせ方が特徴的で楽しい。

テンポとても良し。ここで完というエンドロールの出し方も強気のセンスで好ましい。

  • 余談

この映画をみた直後に「義経千本桜」の渡海屋・大物浦の段の顔見世を録画していた劇場中継をみていたら、ちょうど安徳天皇が入水しようとしているシーンがあり、この映画のことを思い出し、確かにこの映画のような解釈(源氏配下による女官の蹂躙)があってもおかしくないと感じた。それと同時に、両方に共通することとして平家の一族の団結の強さを感じた。源氏が仲違いばかりなのに対し、「壇の浦夜枕合戦記」でも建礼門院が維盛のことを思うシーンなどもあり、またこの映画での義経との格差などから平家というのはずいぶん貴族にあこがれその生活に近づけようとしていたのだなあと思ったりもした。

壇の浦夜枕合戦記[ビデオ]

壇の浦夜枕合戦記[ビデオ]

2018-02-28

[][][][][][]お国と五平

yahoo 映画

昭和27年成瀬巳喜男監督作品。成瀬巳喜男監督の全作品が載っている「映畫読本 成瀬巳喜男」での扱いはあまりよくないが、わたしにはみるなり、さすが成瀬監督、端々まで神経の通ったなんと素晴らしい作品、という気持ちになった。

森雅之が、尺八はうまいが、武芸が達者でなく、武士道というものとは無縁の武士という役どころも新鮮。しかも敵役。

夫の仇を追う(といっても原因を作ってもいる)木暮美千代演じるお国と大谷友右衛門演じるおつきの五平。二人の心の揺れの表現がデリケートで見応えあり。仇を追い続ける旅の記録が単調にならないようにか途中で遭遇する旅芸人の結婚式や文楽(二代目紋十郎さん、二代目勘十郎さんなど昭和の名人が出演)のアクセントも良い。成瀬監督の映画、現代ものでもチンドン屋などのアクセントがよくきいているように思う。