日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-03-22

[][][][][]獅子の座

昭和28年伊藤大輔監督作品。

ビデオパッケージより

宝生流十五代宗家宝生弥五郎に江戸開府以来第六回目という勧進能が聴許され、その日は将軍家慶も上覧することとなった。演目の“石橋”では太夫の弥五郎が長男石之助と一緒に親子連獅子を舞わねばならず、そのため幼い石之助に対する稽古は厳格を極めた。〜以下略

伊藤大輔監督はビデオに同梱された山根貞夫氏の解説によると、幼いころから能が好きだったそうで、ただ、ご本人の弁として「能のことを知りすぎていたので、題材に溺れてしまった」とのちに語っているそうだ。

yahoo movieのbakenekkoさんという方のコメント欄を拝見していると、“石橋”以外にも能の“羽衣”、“高砂”などが出てきていたらしい。(”熊野”というのも確認できた。)

田中絹代演じるところの石之助の母親 久の教育がキツくてしんどいものがあるのだけど、しごきに耐える息子役の津川雅彦*1は、けなげでなかなかよかった。今だったらカウンセリングが必要と感じられるほど追いつめられている姿がリアルだった。また、帝王教育とは無縁で、放任っぽく対照的に描かれる弟 重次郎も、いざとなったらなかなかの舞台度胸(“忠信”という演目)。長男次男の違いは、中村屋の小さい兄弟のドキュメンタリーなどでも感じることある。重次郎を演じたのは木村国臣という役者さんのよう・・

こちらのブログを拝見していると、この映画でも出てきた津川さんの演じた宝生九郎の雷嫌いは有名な話だったらしい・・

*1:この映画では加藤雅彦の名前で出演 上述のbakenekkoさんのコメント欄によると12歳とのこと

2018-03-20

[][][][][]檜舞台

昭和21年作品。戦争が終わって間もない頃の劇団。その描写がリアル。

瞼の母」を父親に置き換えたような・・と思ってみていたら、「瞼の父」と書いておられる方がいらっしゃった。(こちら

長谷川一夫の鏡獅子が見事。日ごろ、ふや町映画タウンの大森さんが長谷川一夫の所作をほめておられるけれど、なるほどくっきり感じた。

「連獅子」を以前シネマ歌舞伎でみていたので*1今、どこを演じているというのがわかったのもありがたかった。シネマ歌舞伎、良い企画だなあ。

2018-01-29

[][][]女と三悪人

三人吉三*1の話と「天井桟敷の人々」を下敷きにして井上梅次監督が作られたとか・・劇場が舞台なので弁天小僧や娘道成寺などのシーンも出てきて、歌舞伎要素的な楽しみもある。「天井桟敷〜」ずいぶん前にみて、すっかり忘れてしまっているし、いろんな方が言及されているのを見聞きすると、ちゃんと見直さねばと思う。舞台と現実の世界のかかわり方という意味では「生きるべきか死ぬべきか」もちょっと思い出した。

三人の一人、元武士を演じている大木実氏がとても良かった。大木氏、「張込み」*2や「あなた買います」*3の現代劇の青年っぽい姿の印象を持っているものだから、こういう役もされるのだと新たな魅力を感じる。

山本富士子市川雷蔵恋物語のところやら少し脚本のセリフがわかりやすすぎるというかクサいかなという点はあったが、全体的には「三人吉三」の話が好きなのでこういう風にしてあるのだというおもしろさが大いにあった。

女と三悪人 [VHS]

女と三悪人 [VHS]

2018-01-25

[][][][][]北京好日

1992年ニン・イン監督作品。

京劇を上演する劇場の管理人ハンじいさん。舞台を手伝ったりしていて京劇の見識を身につけている。定年退職後、公園で京劇に興じている老人たちにアドバイスしたのがきっかけで、京劇サークルを作って活動。ハンさんの仕切りたがる性格がメンバーの顔を曇らせることも・・さて・・という、もう私の大好きな流れのストーリー。

銭湯やパティオの卓球台などあたたかく趣のある北京の古い町角が映っているが、今どれくらい残っているのかな・・

ハンさんがサークルと出会うきっかけになるダウン症の青年、この登場の仕方、要所要所の行動が、ごく自然でいい。ダウン症だからと特別に腰がひけた感じで扱うのでなくて、個性として、あるときは笑い、あるときはつっこみという本当に自然にそこに一緒に生きている感じがとてもいい。

それはサークルの面々の描写すべてにいえることで、こんないろんなおじいさんたちが集まって京劇を演じている(歌ったり、楽器を鳴らしたり)という空気がまとまりとして楽しい。キャストのエンドロールをみると、実名で「〇〇(実名の名字)老」という役をしている人が多いようだ。これは1992年の映画だけど、最近、「ハッピー・アワー」*1だとか「ジョギング渡り鳥」*2だとかプロの俳優でない人を使っての撮り方というものをいくつかみていて、妙なリアリティがいいなと思ってきていて、そうしたら、黒澤明も役者のありきたりの反応から脱するために素人の人を使ったりもしているという話もみたりして、何かこの映画にもそういう空気を感じた。

ニン・イン監督の作品ににわかに興味を感じる。(こちらに最近・・といっても2013年だけど、の監督作品のことが・・黒澤明のスクリプターだった野上照代さんの名前も。 清流出版 「激変する中国社会を描く至高の映画作家ニン・イン」 高崎俊夫の映画アットランダム)

2017-07-21

[][][]さらば、わが愛 覇王別姫

前から見なければ、と思っていたが見て本当によかった。素晴らしい作品。

レスリー・チャンの訃報の時、この映画を観ていたら、どんなにか悲嘆しただろう・・ほんと今頃なんだけど、哀しい想いをかかえつつの芸一筋の、美しい京劇の女形、気品もありぴったりだった。

京劇というものが20世紀中国の激動の歴史の中で立場を変えていき、それに皆が翻弄されるさまがとても美しい場面とともにすごくわかりやすく描かれていて、3時間近い作品だけどみるものの負担にならないし、本当に一気にみさせる力がある。レスリー・チャン演じる蝶衣の部屋の金魚の情景のはかなげでなんときれいなこと。遊郭で生まれた彼、そして、コン・リー演じる遊郭の女菊仙との相方を巡っての関係がまさに宿命の織りなす糸のようで心に残る。グォ・ヨウという俳優さんが演じた、京劇の保護者で運命に翻弄される袁四爺、抑えた色気のようななにかとても惹かれるものがあった。調べてみるとチャン・イーモウの「活きる」*1に出ておられたよう。

途中、男性や女性ということを超えた観音と女形の関係について語るところでは、「變臉(へんめん) この櫂に手をそえて」*2の人観音のシーンを、また、厳しい修業時代はジャッキー・チェンたちの京劇修業時代を描いた映画「七小福」*3を思い出す。少年時代の蝶衣を演じた役者さん(尹治(イン・チー))もとてもよかったなあ。

またコオロギのお相撲賭博の話が出てくるが、「こころの湯」*4でもコオロギのお相撲の場面が印象に残っているなあ。

さらば、わが愛 覇王別姫 [DVD]

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