日常整理日誌 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2018-08-22

[]フェイクと憎悪

トランプ政権の樹立以降だろうか、為政者にとって都合の悪い話はフェイクニュースといわれてしまうような、また多くの人々が裏ドリを一応ちゃんとした既成の報道でなく、ネットをたよってしまうような昨今、どのように現状をよい方向に持っていったらいいかということを各々の立場で一章ずつ書きわけた本。

以前はそれなりにたのしくみていたはずの関西発の放言番組、ここ数年見るに堪えない調子だなと思っていたら、先日大問題を起こした「ニュース女子」との関連もこちらの西岡研介さんの文章に載っていて、そういうことかと納得したり、ほんとに昨今こういう調子よ、と嘆く側の立場で読み進めていたが、ジュンク堂書店難波店店長福嶋聡さんの、自分と意見の違う人間の言葉もきくための棚ぞろえという話に考えさせられる。

また編者の永田浩三さんのあとがきにある、赤報隊事件のあと、三十年にわたって犯人を追い続け、手がかりを求めて会う、ほぼすべてアンチ朝日新聞の人々を相手に、歴史、とくに戦争についての考え方で相手と大きく意見が異なるときは論争をいとわず、その中で右翼暴力団からも一目おかれ、「新聞と戦争」という連載を生んだ樋田毅記者のことも心に残った。朝日新聞が戦争に加担した時代の検証した記事は連載当時気になっていたが、そういう背景があったんだ・・

著者が多数であるということから多角的かつ、全体に読みやすく書かれており、また編者のバランスのとれた視点も好もしかった。

2018-06-29

[][]春の消息、魂の秘境から

春の消息

春の消息

柳美里氏と佐藤弘夫氏が死者と生者のまじわりの場所を訪ね歩いたもの。写真 宍戸清孝氏。

いわゆる「死んだ子の年を数える」みたいな死者とのかかわり方にはついていけないものを感じていた自分だったが、つい最近母を亡くし、死が身近になった今、この本にたくさん描かれている、生者が死者との交流をするようになっている色々な場所をとても親しみ深いものとしてみている。写真と共にお二人と巡礼の旅に出ているような本だけど書かれていることは革命的でもあった。

柳氏、独身時代の刃物のようなひんやりした文章には緊張を覚えたり、またそのあとの東由多加氏とのことも驚きは感じつつきっちりは触れたりしてなかったけれど、福島で本屋をされているというようなこともきき、その辺を知りたく思っていたところでちょうど良い出会いだった。その後の柳さんのことを、まるで大人になってからの同窓会のように聞きやすくまろやかになったタッチで知ることができた。

佐藤さんのおっしゃっている、死者と生きているものの境目をきっちりつけすぎた挙句、

死んだらどうせ終わりだから、生きているうちにせいぜい好きなことをしようという風潮が、今日多く見受けられます。これは縦横に広がる無数の生命の繋がりの中に居る自分の立ち位置を忘れた見方であり、未来に対する自らの責任を放棄しようとする発想です。

(中略)

生者の論理で世界を見つめるのでなはなく、死者の視点から今の時代を問い直すことが求められています。

という言葉、石牟礼道子さんが水俣病を見つめ続け、それを誰の責任ということを超え、こういうことが起きた「受難」としてとらえる考え方ともつながるものを感じた。誰かの責任で終わるものでなく、もっと広い悲しみ、人間が万物のトップみたいな考え方の驕りについて落ち着いて話されていた石牟礼さん。少し前「魂の秘境から」という朝日新聞に載せておられた連載をまとめたものを読んだけれど、石牟礼さんがどういう風にして育ってこられたかが、豊かに味わえ、でも同じ環境に囲まれていたら誰でも石牟礼さんになれるかといえばそうではなく、特別の感じ、考える能力を持って育たれたことがしっかりわかる。今年の2月10日に亡くなられる直前1月31日が最後の連載であったことなどにもはっとさせられた本だった。石牟礼さんの本ももっと読みたく思っている。

魂の秘境から

魂の秘境から

2018-06-18

[]きのう、きょう、あした

映画「人生フルーツ」*1の後日談。ひとりになられた時の気持ちわかる気がする。そこからの、一歩一歩。

英子さんの魅力的な笑顔を切り貼りした本の構成が愛らしい。

「人生フルーツ」で気になっていたしゅういちさん最後の仕事「まちさな」のことも詳しく載っていて嬉しい。

きのう、きょう、あした。

きのう、きょう、あした。

2018-05-25

[]さざなみのよる

NHKで放映していたテレビドラマ「富士ファミリー」に出てくる人々が出てくる物語。テレビドラマとは別個のスピンオフの小説。テレビドラマに描かれなかったそれぞれの登場人物の物語が描かれ、もっと深く味わえる。テレビドラマでも小泉今日子の演じていたなすみという人の死が核にあったけれど、この小説はもっとそこを深めていて、深めているからこそ身近に感じられるし、世の中に起こっているいろいろなつらいことへの木皿さんのとらえかたがききたいというような気持ちでどんどん読み進む。

さざなみのよる

さざなみのよる

2018-02-06

[][]なつかしい芸人たち

図書館で借りていて、一部読み切れないまま返却期限が来てしまったが、(なじみのない方の章を後回しにさせてもらった。)昭和の大衆史をトピックを選んで語っておられるような本。気になったのが「ヒゲの伊之助」の項。白髭をたくわえた式守伊之助、なぜか私の記憶にもある気がして。。しかし、ヒゲの伊之助は、私の生まれる前に引退しておられた・・

言葉の麻痺になられた春風亭柳朝さんのことを書かれた「明日天気になァれ」は、大切な人への思いがこもっていて、でもそれが野暮ったくなく、心に残る。矢野誠一さんや吉川潮さんのあとがきでもふれられていた。

川崎弘子さんの項、映画「大阪の宿」*1で、子供のための前借を拒否されて一瞬ちらっとみせる憎しみ(恨み)の表情。わたしも印象に残っている。

川崎弘子さんは、川崎大師の近くに住んでいたガラス工場の女工さんだったらしい。水戸光子が万平ホテルのウエイトレス、三浦光子が日劇ダンシングチーム、高峰三枝子が筑前琵琶の娘、高杉早苗が新橋ダンスホールのダンサーというくらいは、子供の頃の色川さんもご存知だったとか。

今回飛ばしてしまった項ももうちょっとしてもっと古い映画などからの蓄積が頭の中で整理出来たらもっと深い理解ができそうな気がする本。

なつかしい芸人たち (新潮文庫)

なつかしい芸人たち (新潮文庫)

光琳社出版の「めんこグラフィティ」のめんこ(鷹家春文所蔵・編)を使ったおかしみのあるカバー装丁は南伸坊氏によるもの